米国、ワクチン接種済みの旅行者すべてを入国許可へ、欧州の圧力で

(2021年9月22日)

President Joe Biden leaves St. Edmund Roman Catholic Church in Rehoboth Beach, Del., after attending a Mass, Saturday, Sept. 18, 2021. Biden is spending the weekend at his Rehoboth Beach home. (AP Photo/Manuel Balce Ceneta)

By Tom Howell Jr. – The Washington Times – Monday, September 20, 2021

 ホワイトハウスは月曜日、米国がワクチン接種済みの外国人を、十一月の早い時期から隔離義務なしで入国を認める、と発表した。これは欧州諸国が長期の汎感染に伴う入国禁止を緩和してきているのに、米国が相応の対応をしていないと苦情を述べてきたことによる大きな変化だ。

 ホワイトハウスのCOVID-19担当官であるジェフ・ザイエンツ氏によると、旅行者は米国に向けて出発する直前の3日以内に実施したウィルス検査での陰性証明を提示しなければならない。

 同氏はまた、米国が旅行者の行先を確認し、発症していないか確認する電話番号と電子メールアドレスを収集するための、接触者追跡システムを設けることを明らかにした。

 「国境を越えた往来は家族や友人をつなぎ、規模の大小にかかわらずビジネスを活気づけ、アイデアや文化の開かれた交流を促進するのに大事だ」、ザイエンツ氏は語った。  

 米国人で海外から帰国するがワクチン未接種の人は、出発直前1日以内にウィルス検査を受け、さらに到着時に再度検査を受けなければならない。

 ホワイトハウスによれば、この新しいシステムは特定の国々を狙い撃ちにする形でなく、個々人に焦点を当てた性格を持つものだ。「我々はすべての国について同様の対応をすることになる」とザイエンツ氏は説明した。 

 疾病管理予防センターは、この新システムが稼働される前に、ワクチン接種済みを認定されるための規準、たとえば、どのワクチンがその規準を満たすのか、などを決定する予定だ。なお新政策は空の旅行者だけを対象にしており、メキシコとカナダに陸路で旅行する場合について、ザイエンツ氏は明らかにしていない。

 ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、「省庁間の協議」を通じて、ロシアや中国で製造され名の知られたワクチンが感染防止を充分に確保できるかどうか、11月までに決定されることも明らかにした。

 米国での旅行制限措置は、汎感染初期にドナルド・トランプ前大統領の下で課された。入国禁止は当初、中国とイランからの旅行者に始まり、その後、英国、欧州連合、ブラジル、南アフリカ、インドなどにも拡大された。

 当然、この旅行制限措置は航空会社と、海外に親戚がいる家族に打撃だった。しかも、ツギハギのような規制措置であり、急速に進化した汎感染の中で、感染悪化しているにもかかわらず禁止条件が軽い扱いになっていた国もあったりして、混乱と非難の応酬を引き起こした。

 特にヨーロッパでは、バイデン大統領が旅行制限をいち早く解除してくれることを期待して、夏の観光シーズンに先立ち欧州への入国規制を緩和した。しかし米国側が入国について厳重な管理を続けたため、不満がたまっていた。

 そして欧州連合はここ数週間、米国からの旅行者、中でもワクチン未接種の旅行者に対しての制約規準を強化し出した。この動きは、米国側で規制該当件数が増加するのに対抗したものだ。米国での規制が続く中では、単なる気休めと見なす向きもあった。

 バイデン大統領の今回の決定は、ニューヨークで始まる国連総会の直前だ。しかもアフガニスタンからの雑な撤退あり、オーストラリアにディーゼル式潜水艦を提供する契約を結んでいたフランスを激怒させる形で、米国とオーストラリアが原子力潜水艦の契約を結ぶなど、欧州指導者を苛立たせる事態が続いていた。

 サキ報道官の説明では、今回の入国禁止緩和は当局者たちが全般的に精査した結果であり、便宜的なものではない。

 「我々の都合で物事を簡単にやっていたら、大統領の初外遊の6月以前か夏の初めに実施できていただろう」。同報道官は 「この発表は全ての手順を完了させてのものだ」と主張した。

 欧州当局者は今回の発表を歓迎している。「渡航禁止が解除された!」と EUの駐米大使スタブロス・ランブリニディス氏はツイートした。「ワクチン接種済みの米国市民が今はEUへの旅行ができるように、欧州市民もワクチン接種しフライト前検査で陰性であれば、11月から再び米国に旅行できます」。

 火曜日にバイデン大統領と会談予定の英国ボリス・ジョンソン首相も、「喜こばしいことだ!」と、次のようにツイートした。「ビジネスと貿易を後押ししてくれる素晴らしい決定であり、大西洋の両側の家族や友人が再会できる喜ばしいものだ」。

 米国内でも旅行業界を全般的に代表する非営利団体の米国旅行協会が、今回の新たな手続きによって「米国経済を復活させ、公衆衛生も保護してくれるはずだ」と期待を語った。

 「これはコロナウイルス対策の大きな転換点であり、海外旅行制限のため失われてきた数百万もの旅行関連業務の回復を加速してくれるはずだ」、米国旅行協会の会長・最高経営責任者であるロジャー・ダウ氏は語っている。

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