カナダの研究者が中国軍に協力 致死性の高いウイルスを提供

(2024年3月12日)

2021年2月3日、中国武漢で世界保健機関(WHO)チームの訪問中、武漢ウイルス学研究所の入り口付近に集まった警備員。(AP Photo/Ng Han Guan, File)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, March 6, 2024

 機密解除されたカナダ政府の文書によると、高度な安全対策が取られているウィニペグのウイルス研究所で、中国生まれの研究者2人が中国人民解放軍(PLA)と秘密裏に協力し、致死性の高いウイルスサンプルを中国に提供していたことが明らかになった。

 この2人の科学者、邱香果(Xiangguo Qiu)と成克定(Keding Cheng)は夫婦で、2019年3月に武漢ウイルス研究所(WIV)にエボラウイルスとニパウイルスのサンプルを提供し、コウモリウイルスの研究にも関わっていた。WIVは、その8カ月後に始まった新型コロナウイルス感染拡大の起源の可能性が高いと一部の米情報機関はみている。

 この情報は、公開された600ページ以上の政府文書に含まれていたもので、夫妻の中国に関連する活動に関する議会の調査の一部だ。

 カナダ安全情報局(CSIS)の調査官は、邱氏が2019年にWIVと「コウモリ・フィロウイルス・プロジェクト」に取り組んでいたことを示す中国の記録を発見したと述べた。その目的は「リバースジェネティクス(逆遺伝学)を使って合成ウイルス株を作ること」だったと文書には書かれている。

 部分的に機密解除されたCSISの別の二つの報告書によれば、邱氏と夫の成氏は、中国の生物兵器の主要研究センターである軍事医学研究院(AMMS)の科学者と共同で研究論文を書いている。カナダの調査官によると、AMMSは「中華人民共和国人民解放軍の最高の医学研究機関であり、攻撃的な化学・生物兵器の能力を持っている」。

 中国は、基礎的な民間研究を軍事転用することで、軍の近代化を支援する国家プログラムを推進していると報告は述べている。

 この報告によると、調査官が邱氏に、中国軍と協力すれば、悪事に使われる可能性があると告げると、邱氏は「その通り。それは知っている。ただ、協力関係があるとは知らなかった」と答えている。また、「極秘」のセキュリティークリアランスを持つ邱氏は、中国との共同研究は医療目的であり、生物兵器には使用できないと主張した。

 もう一つの報告は、成氏宛ての生物学的サンプルの荷物に、台所用品と偽ったラベルが貼られていた件に成氏が関与していたと指摘している。

 「成氏は、送られたのは危険性の低い生物学的物質だと思っており、規則や事務手続きを回避するために、意図的に誤ったラベルを貼ったのは中国の運送業者だった」

 邱氏は、民間と軍事での技術開発のために多くの米国や外国の科学者や専門家を採用した中国の「千人計画」に関係していた。

 CSISによれば、バイオテクノロジーの研究開発は千人計画の中心的なテーマだ。

 邱氏はまた、2017年にWIVを訪れ、千人計画の一環として中国の科学者を訓練した。

 CSISの報告によると、邱氏はWIVとの協力の一環として、エボラウイルスとニパウイルスのサンプルをWIVに送ることに同意したという。どちらも致死性の高い病原体だ。

 こうした邱氏の中国への貢献に対しAMMSは2016年、「AMMSの専門家とタイムリーに協力した」として報酬を与えるよう推薦したと報告書は述べている。

 今回の文書公開は、カナダ議会での長時間に及ぶ議論をへて決定された。ジャスティン・トルドー首相の現政権は当初、非公開を求める訴訟を起こし、資料の公開を阻止しようとした。議会は先週、この文書公開を決議した。

 夫妻は2019年夏に国立微生物学研究所の勤務から外され、調査の結果、2021年1月に解雇された。

 夫妻からのコメントは得られなかった。カナダからの報道によると、夫妻は解雇後、中国に移住したという。

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