自信付けるイラン、しぼむ米の核合意への期待
In this image taken from video provided by UN Web TV, Iran’s President Ebrahim Raisi remotely addresses the 76th session of the United Nations General Assembly in a pre-recorded message, Tuesday, Sept. 21, 2021, at U.N. headquarters. (UN Web TV via AP)
By Ben Wolfgang – The Washington Times – Tuesday, September 21, 2021
バイデン大統領は、イランとの外交関係を強化し、トランプ前大統領が離脱した国際的な核合意を復活させることを約束したが、就任から9カ月がたった今、成果をほとんど示すことができていない。
対応を誤ったことで、イランにさらに大胆で好戦的な政権を生み出したのではないかとみられている。
21日にニューヨークで行われた国連総会で、両国間の溝がいかに深く、米国の外交努力にもかかわらず、事態がいかに進展していないかを示す新たな証拠が示された。大統領として初めての国連演説でバイデン氏は、イランに和平への手を差し伸べ、米国は経済制裁の緩和と引き換えにイランの核開発を制限した2015年の共同包括行動計画(JCPOA)に戻る意思があると述べた。
しかし、そのわずか数時間後、イランのライシ大統領はこの世界の舞台で、バイデン氏と、その政治的キャッチフレーズ「米国が戻ってきた」を公然と嘲笑した。ライシ師は、米政府を出し抜き、交渉の場で有利な立場に立っていると考えていると断言した。
「米国はイランを絶望させ、打ちのめせると思っていたが間違っていた。忍耐力でイランはそれを乗り越えた」
バイデン氏が就任した時、欧州の同盟国はイラン核合意の復活に意欲的に取り組み、外交的には有利と考えられていた。しかし、現状はそうなっていない。
トランプ氏は、2018年に核合意を離脱し、イランとその貿易相手国に対する「最大限の圧力」の一環として、経済制裁を再発動した。これによってイランは広範な経済的困難に直面したが、イランの強権的な指導者らがいずれ交渉に応じるだろうという米国の期待通りには進まなかった。
バイデン氏は直ちに方針を転換し、イランが核施設でのウラン濃縮を制限するなどの義務を果たせば、制裁を解除して核合意に復帰すると述べた。
今夏には、新たな核合意への一歩として、イランの元政府関係者や企業に対する制裁を一部解除した。
しかし、専門家らは、バイデン氏は状況を大きく見誤ったとみている。2015年の核合意を強く支持してきた穏健派、ロウハニ大統領との交渉の機会は、イランの夏の大統領選挙で失われた。強硬派によって、核合意に個人的にも政治的にも関わってこなかったライシ氏が当選したためだ。
専門家によると、21日のライシ氏の自信に満ちた発言は、米国には実際に影響を及ぼすことはなく、打つべきカードが尽きつつあるというイラン政府内の考え方を反映しているという。
バイデン氏、ブリンケン国務長官ら米高官は、米国が融和的姿勢を取り、新たな取引を行い、地域や世界経済でのイランの孤立を緩和する機会が与えられれば、イランは、ウラン濃縮を直ちに中止し、中東の米軍を日常的に標的としているテロ組織や民兵への支援の削減など、大幅な譲歩を行うと考えていたようだ。