バイデン米政権、対中融和に後戻り 台湾との関係を制限
By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, September 22, 2021
バイデン米大統領は21日の国連総会演説で、トランプ政権の対中強硬政策を後退させ、融和姿勢に回帰することを示唆。中国との関係で、戦略的競争を後退させ、米政権が重要視する新型コロナウイルス感染拡大や気候変動への対応を優先すると明言した。また、新型コロナの発生と拡大で中国政府の責任を問う意思がないことを明らかにした。
バイデン氏は、「過去の戦争を続ける代わりに、未来の鍵となる課題に資源を投入することに目を向けている」と強調、「新型コロナ大流行の終息、気候危機への対応、各国間の力関係の変化への対応、貿易、サイバー、新興技術などの重要な問題に関する世界的なルールの形成、テロの脅威に対応する」と述べた。
バイデン氏は、オバマ元大統領の「背後からリードする」政策へと戻ることを示唆した。米国のリーダーシップを弱め、同盟国、パートナー国が自国で問題解決に取り組むようにさせる政策だ。
バイデン氏は、威圧的な中国が米国に取って代わろうとしているという現実を無視し、世界がブロックに分かれ、敵対する「新しい冷戦」は望まないと主張。全体主義国家、共産主義の中国、プーチン大統領のロシアには言及せず、ベラルーシ、キューバ、ミャンマー、シリア、ベネズエラの問題に触れた。
バイデン氏は最近2度、中国に対し融和的な政策の兆候を示した。カナダ紙グローブ・アンド・メールによると、米司法省が中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の幹部、孟晩舟被告の身柄引き渡しをめぐって中国と協議している。中国は、米国の告発すべてを否定、孟被告の釈放と帰国を積極的に働き掛けている。
さらに米国務省は、台湾との外交、軍事での接触の拡大を進めたトランプ政権の方針を撤回した。
共和党のスコット・ペリー、トム・ティファニー両下院議員は、現在議会で審議されている国防権限法案の修正案を提出。台湾との接触に関するバイデン政権の新たな制限から、米軍と国防総省の民間人を除外するよう求めている。この修正案によると、国務省は6月29日に覚書を発表し、台湾との接触制限緩和が停止され、公式な訪問や通信が制限された。
この方針の下では、国防総省と軍の関係者は、台湾渡航前に国務省から特別な許可を得なければならず、公用パスポートではなく観光用のパスポートを使用しなければならない。また、国防総省は、台湾を国と呼ぶこと、台湾の国旗を掲げること、米国の政府施設で台湾の国歌を演奏することが禁じられている。
また、ワシントンにある、台湾の事実上の大使館である台湾政府代表部の公邸、ツインオークスでのイベントへの参加も禁止された。
ホワイトハウスのサキ報道官は、バイデン氏が演説で中国に言及しなかった理由を聞かれ、気候変動、テロ、サイバーの脅威などの共通の関心事について、中国や他の国々と「共に働きたい」と考えていると答えた。
米国の政策は、「特定の国に向けられたものではなく、基準を満たしていないすべての国に向けられている。民主主義と人権の基準を維持するためだ。このメッセージに、誰もが耳を傾けるべきだ」と述べた。