初の女性首相に「鉄の女」高市早苗氏

(2025年10月23日)

2025年10月21日(火)、東京で行われた衆議院臨時会において、立っている高市早苗氏が日本の新首相に選出された際、議員たちが拍手喝采を送る様子。(AP通信/Eugene Hoshiko撮影)

By Andrew Salmon – The Washington Times – Tuesday, October 21, 2025

 【ソウル(韓国)】日本の国会は21日、初の女性首相を選出したが、保守強硬派の高市早苗氏の勝利を称賛する声は、リベラル派にもフェミニストにも見られない。

 64歳の高市氏は、妥協を許さない右派政治家であり、英国のマーガレット・サッチャー元首相によくたとえられ、「鉄の女」という異名も借りている。趣味はロックのドラムとバイク。防衛問題では強硬姿勢を示し、移民政策には懐疑的だ。

 安倍晋三元首相(在任期間歴代最長)の後継として、間もなく行われる安倍氏の親友、トランプ米大統領との会談に向け、万全の準備を整えているようだ。

 女性でありながら、その保守的な見解は社会問題にも及ぶ。夫婦別姓や同性婚に反対し、皇位継承は男系でなければならないと主張する。

 大阪大学大学院国際公共政策研究科特任教授の佐藤治子氏は「彼女が女性であることは、日本の女性にとって茶番劇だ」と述べた。

 東京在住のアナリスト(男性、匿名で率直な話をしてくれた)の見方は異なる。

 「サッチャー氏と同様、女性であることは高市氏にとって重要な要素だ。頂点まで苦労して這い上がり、ばかにされて黙っている人ではない。…党内革命は起こり得るが、簡単に引き下がることはない」

 過去3代の自民党首相は党内からの圧力で引きずり降ろされたが、高市氏の政治的直感は鋭く、同じ道をたどることはないだろう。

 このアナリストによれば、高市氏の台頭は「(過去3代の首相を含む)穏健派を排除するための右派による議会クーデター」だと指摘した。

 党内の実力者らは中道派の石破茂首相への信頼を失い、10月4日に総裁選を実施。高市氏が勝利したことで、21日に国会で首相指名選挙が行われた。

 10月10日には仏教系政党・公明党による連立離脱という衝撃的な事態に見舞われたが、20日に中道右派の少数政党「日本維新の会」との新たな連立を成立させた。

 21日の衆議院での投票では予想を上回る237票を獲得した。左派の野党第一党・立憲民主党の野田佳彦代表は149票だった。

 この投票は首相指名選挙であり、議席を争う総選挙ではない。

 つまり高市氏は引き続き少数与党を率いることになる。

 衆議院は465議席で構成される。このうち自民党が196議席、日本維新の会が35議席を占めており、連立与党の議席数は231で過半数に2議席足りない。

 外交筋からは、「高市氏の支持率が堅調なら、過半数回復のため早期に総選挙を実施する可能性がある」との見方が出ている。

 自民党は穏健派から強硬右派まで幅広い。高市氏の新内閣には今回の選挙での対立候補も一部含まれている。

 党首選で高市氏の主要な対抗馬だった小泉進次郎農林水産相は防衛相に任命された。安全保障分野の経験は乏しいものの、コロンビア大学で修士号を取得し、ワシントンのシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)で勤務した米国での経歴は、米国との関係を管理するには有用とみられる。

 石破政権で貿易交渉を担い、米国との厳しい関税交渉を主導したことで知られる赤沢亮正氏が経済産業相に任命された。

 佐藤氏は「高市氏の閣僚人事は中道路線で安全策だ」と指摘。「憲法改正や靖国参拝の再開で時間を浪費しなければ、外交上の大きなトラブルを起こさずに乗り切れるかもしれない」と述べた。

 東京の靖国神社には戦没者が祀られており、政治家の参拝は近隣諸国の反感を買う。高市氏は頻繁に参拝しているが、現職首相の参拝は2013年以来ない。

 軍事行動を可能にするために日本の平和憲法を改正したいという安倍氏の夢は壁にぶつかったが、依然として保守派にとっては重要な争点となっている。

 高市氏は、26日から28日にかけてマレーシアで開催される東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議、トランプ大統領の2泊3日の訪日、10月31日と11月1日に韓国で開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議など、外交日程が差し迫っている。

 専門家らは、ここ数週間の緊迫した状況の中での高市氏の抜け目ない働きを高く評価している。

 ハワイに拠点を置く非営利団体「パシフィック・フォーラム」のアジア担当顧問、ブラッド・グロスマン氏は、「連立が成立するかどうかは不透明で、高市氏は共通点を見つける必要があった。それにはかなりの努力を必要とした」と述べた。

 トランプ氏と話し合うべきことがたくさんあり、現状を正しい軌道に乗せることができるかもしれない。

 あるアナリストは「高市氏は安倍氏と非常に親しかったため、安倍氏の妻と共に安倍氏の墓参りに行くのが最善策かもしれない。公式な話ではないが、現地ではそうした見方が広がっている」と指摘した。

 トランプ氏と高市氏は防衛費分担協定の更新に署名する見通しだが、高市氏は他の要求にも応じる必要があるかもしれない。日本は2023年に防衛費を大幅に増額することで合意したが、依然として国内総生産(GDP)比2%未満であり、財源確保への疑問は残る。

 専門家らは、高市氏が防衛、貿易、投資の分野でトランプ氏に屈することはないとみている。

 あるアナリストは「もしトランプ氏と議論になれば面白いだろう。彼女は引き下がるタイプではないからだ」と述べた。

 しかし、たとえトランプ氏が強く迫っても、高市氏が強硬手段に訴える可能性は低い。

 このアナリストは「日本人は、米軍を沖縄から追い出すなどの切り札を持ち出すことはない。そんなことになれば、国防総省はトランプ氏と激しく対立することになり、米政府内でも混乱を招く。日本の政治家は二言目には『日米同盟は日本の防衛の礎』と言う」と述べた。

 沖縄は台湾防衛の要だ。高市氏はこの問題では強硬だが、一部では韓国や中国に対しても強硬路線に戻るのではないかと懸念されている。

 グロスマン氏は「高市氏が抱く保守的なナショナリズムは台湾問題では有効だが、それが中国や[韓国]との関係では問題を引き起こす可能性がある。高市氏は[韓国との]関係には、政治的でなく戦略的に取り組むと表明している。…中国との摩擦が予想される」と述べた。

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