中露首脳欠席、気候変動サミットに暗雲

(2021年10月30日)

2021年1月14日(木)、ドイツ・ヴィスマール港でロシアのパイプ敷設船「フォルトゥナ」の位置に着くタグボート。この特殊船は、バルト海の独露ノルドストリーム2ガスパイプラインの建設工事に使用されている。(Jens Buettner/dpa via AP)

By Guy Taylor – The Washington Times – Wednesday, October 27, 2021

 

 世界最大の温室効果ガス排出国、中国の国家主席は参加しない。ロシアのプーチン大統領も参加しない。世界がロシアの化石燃料を輸入し、燃やすのをやめれば、ロシア経済は破綻する。

 

 両国トップの欠席に加えて、インド、ブラジル、メキシコなど他の主要な汚染国は、弱く曖昧な気候変動対策しか出しておらず、31日にスコットランドのグラスゴーで始まる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に暗雲が漂っている。

 

 バイデン大統領は、「喜んで」出席すると述べた。バイデン政権は、かつてない規模の温室効果ガス排出削減を約束し、貧困国の気候変動対策支援を倍増させると宣言しているが、世界的なエネルギー危機と新型コロナウイルスの影響でCOP26への機運は高まっていない。

 

 また、トランプ前大統領が2017年、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を離脱、米国は国際社会から激しく非難された。協定は、拘束力のない排出削減計画で、2015年の国連気候サミットで採択され、190カ国以上が署名した。

 

 トランプ氏は、この協定が米企業に厳しい制限を課し、中国などの国には承認を与えたと主張した。中国は、経済大国として台頭してきたにもかかわらず、「発展途上国」だけに認められている水準での二酸化炭素排出を続けることを許された。

 

 COP26が近づくにつれ、温室効果ガスの排出量の削減が進んでいないのは中国だけでないことが明らかになっている。AP通信が引用した報告書によると、パリ協定から6年がたつが、ほぼすべての国が気候変動への対策を怠っているという。

 

 9月に公表された報告書「クライメート・アクション・トラッカー(CAT)」によると、排出量を削減し、温暖化を摂氏1・5度までに抑えるというパリ協定の目標を果たすために行動を続けているのは西アフリカの小国、ガンビアだけだ。

 

 CATは、ドイツの非営利団体「クライメート・アナリティックス」と「ニュー・クライメート研究所」が共同で作成。各国政府の炭素汚染削減の約束と、発展途上国のクリーンエネルギーへの投資を支援するための富裕国の約束を調査した。

 

 報告は、米国、欧州連合(EU)、ドイツ、日本による最近の約束と資金援助は「不十分」であり、地球の温暖化は19世紀後半からの3度というペースとほぼ変わらないとしている。

 

 一方、温室効果ガスの排出量が最大の中国と、二酸化炭素の排出量が第3位のインドは、その取り組みが「非常に不十分」であり、産業革命前と比べて気温が4度上昇した場合に相当するとしている。

 

 9月中旬に報告書が発表された後、中国の習近平国家主席は国連総会での演説で「中国は今後、海外に石炭火力発電所を建設しない」と発言し、世界的な話題となった。

 

 この発言は、バイデン政権が、中国の経済圏構想「一帯一路」を通じた工場への資金提供をやめるよう何カ月もかけて説得してきた結果だと評価された。

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