台湾侵略の準備完了、米議会委員会の報告書 前例なき中国の核兵力で高まる威嚇

(2021年11月23日)

2021年6月28日(月)、北京で開催された中国共産党創立100周年記念式典に先立つ祝賀会で、海軍の空母を示すディスプレイの近くでパフォーマンスを行う中国の軍人たち(AP Photo/Ng Han Guan)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, November 17, 2021

 米議会の中国関連の委員会が発表した最新年次報告書によると、中国軍はすでに台湾への全面侵攻が可能な状態であり、民主的な台湾を攻撃する目的で、人民解放軍は新型ミサイルと水力両用艦船を追加している。

 米・中国経済・安保検証委員会の報告書は、中国と台湾の対立を不安定にしている理由の一つが、中国の攻撃を抑止する米軍の能力が「危険なほど不透明」な状態にあるためだ、と結論付けている。

 中国は台湾に自国の主権が及ぶと主張し、自立するこの島国を標的にした中距離ミサイルの数を、過去数年間に30基から200基にまで急速に増やした。新型の水陸両用船舶も中国海軍に補充され、「こうした事態の進展を考慮すれば、米国の通常兵力だけで中国指導者に台湾攻撃を思い留まらせることは難しくなった」と報告書は記した。

 台湾をめぐる戦争の危険性が高まっている、これは全551ページに及ぶ年次報告書が指摘している主要なポイントの一つで、中国の核攻撃能力の急速な増強が核戦争の危険性を高めていると警告した。

 台湾政府への軍事的圧力は急激に高まり、危機や紛争ぼっ発の可能性を高めていると報告書は指摘した。

 中国軍は台湾侵攻に向けた軍事力増強の里程標を2020年と設定し、作戦準備に実に20年近く費やしてきた。

 「人民解放軍(PLA)は、台湾の制空権と海上封鎖、サイバー攻撃、ミサイル攻撃を実施する能力をすでに達成した」と報告書は指摘した。「PLAは中国指導部の命令を受ければ、台湾に向けたハイリスク侵攻作戦を実施するだけの初動能力を保有している、あるいは、まもなく保有可能だ、と査定する可能性が高い。」

 同報告書は具体的に、中国が2018年には中距離ミサイル発射装置を30基保有していたが、2020年までにその数を200基まで増やした。同期間に中型ミサイル発射装置は120基から150基に増加し、短距離発射装置は300基から250基まで減少した。

 「PLAロケット軍による中距離弾道ミサイル発射装置の大量生産が示していることは、中国の中距離弾道ミサイル(IRBM)の保有数に関して国防総省が明示的に述べてきた数字よりも多数のIRBMを備蓄している可能性があることだ」と報告書は述べている。

 台湾侵攻の引き金になるとすれば、中国指導者が、米軍は台湾防衛に兵力を割けないと判断するか、あるいは米国指導者にその政治的意思が欠けていると判断することだ。

 「我々の見るところ、中国は台湾侵攻の初動能力を保有したか、間もなく保有できる段階にある」、共和党の元上院議員(ミズリー州)で、同報告書をとりまとめた11人の委員の一人、ジム・タレント氏は記者ブリーフィングで言明した。

 中国の軍事力に関する委員会による聞き取り調査と諜報ブリーフィングに基づいて出された今回の警告は、年初に統合参謀本部議長マーク・A・ミリー将軍が出した声明とは食い違いがある。同将軍は6月に合衆国議会で、中国は台湾侵略をする能力をまだ保有していない、と語った。

 同将軍は言った、「中国が軍事的手段で台湾全島を実際に占領しようと望んでも、作戦遂行のための本格的能力を完成させるには、まだ暫くの時間を要するだろう」、同将軍はそう指摘したものだ。

 ミリー将軍は中国軍で同レベルの関係者に電話をかけて、米国が中国攻撃をする計画はない、万一そうした計画があれば北京に警告すると約束したことが暴露され、議会の共和党員たちから総スカンを食らった。同陸軍大将は、中国が軍事攻撃を実施する理由は「ない!」と述べた。

 ちなみにミリー将軍の報道担当者によれば、報告書は統幕議長が証言した通りの発言を記録していないという。

 それとは対照的に委員会の報告書によると、中国の習近平国家主席はリスク許容度が比較的高く、彼は生涯業績のひとつとして台湾奪還を達成したいと考えている。このふたつの点が組み合わされば、米国の警告にもかかわらず台湾攻撃決定を後押ししかねないという。

 報告書の中の特別セクションで同委員会は、中国の軍事ドクトリンが提言していることとして、北京が台湾占領作戦の一環として、台湾または周辺地域に展開する米軍への先制攻撃の可能性を示唆していると結論付けている。

 同報告書はさらに、北京がその支配システムは西側のものより優れていると主張しているのとは裏腹な、中国共産党と高級指導者たちとの分裂の実態を明らかにしている。

 報告書は中国が前例なき核兵器増強に取り組み、核兵力において米国と対等に近いレベルになりつつあるという。その増強の内容には、長距離ミサイル用の数百基の地下格納庫の新設、弾頭の備蓄数の増加、攻撃兵器の精度向上などが含まれている。

 「中国の核兵力の質的および量的変化は、中国が従来採ってきた最小限の核態勢の方針から明らかに転換したことを示している」と報告書は指摘した。

 核兵力を蓄積することで、中国はアジアその他の地域で通常兵力を今までよりも強力な軍事的威嚇の目的に使用できるだろう、と報告書は警告している。

 「最も重要なことは中国の核能力の増大によって、インド太平洋地域で通常兵力による紛争が起きている際に、意図しない形で核兵器にエスカレートしたり、意図的に核戦争のリスクを高めることだ」と報告書は指摘した。「中国の攻撃的な核戦略は、米国の同盟国や友好国に向けられた通常兵力攻撃や核兵力による威嚇に中国指導部を煽り立てることによって、米国の広範な抑止力を圧迫する可能性がある。」

 ホワイトハウスの国家安全保障担当のジェイク・サリバン補佐官は今週、中国が米国と軍備管理交渉を行う用意があることを明らかにしたが、これは北京がこれまで拒否してきた内容だ。

 しかし米国の防衛・軍事当局者は、中国が過去にも軍備管理を、米軍を制約する手段として利用してきたと述べた。

 報告書が明らかにしたことだが、PLAロケット軍は2017年以来ミサイル部隊に10個旅団またはそれ以上の兵力を追加し、現在では40個旅団を保有し、そのうち20個旅団は核攻撃に用いており、2個旅団は10弾頭のDF-41ミサイルシステム運用に充てられている。

 それらミサイルは中国全土に展開しており、PLAの核弾頭の大半が貯蔵されている陝西省の一基地を含む七カ所の基地に備蓄されている。

 中国西部で建設中の3つの新しいミサイル基地は、270を超える新型長距離核ミサイルを配備していることを示している。

 過去に中国は、ミサイルと核兵力を貯蔵・隠ぺいするために地下トンネルのネットワークを好んで用いていたので、サイロ増加という事実は驚くべきものだ。

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