米軍のイラク任務も終了へ アフガニスタンに続いて

(2021年12月15日)

2021年7月29日(火)、イラクのバスラで、イランからイラクへの電力の送電線の後ろに夕日が沈む。イラクでは、電力は、宗派間の権力分立制度に根ざした腐敗の象徴となっている。このため、エネルギー資源の豊富な産油国でありながら、1日14時間にも及ぶ慢性的な停電が発生している。(AP Photo/Nabil al-Jurani)

By Mike Glenn – The Washington Times – Thursday, December 9, 2021

 米国史上の最も長い戦争をアフガニスタンで終えてわずか数か月後、国防総省は木曜日、イラクでの米軍による戦闘任務が正式に終わったことを確認した。それは象徴的な変化だが、色々な意味で大きな意味を持つものだ。

 米軍はイラク国内でイスラム系戦闘集団との戦闘任務を終えたが、国防総省当局者は木曜日、軍部隊の帰国までに成就されるべき作業が残っていることを明らかにした。そして「イスラム国」を壊滅させるための国際連帯だった「合同戦闘部隊・生来の決意」は、戦闘分野以外の「助言と支援」任務に移行を完了したことを明らかにした。

 「生来の決意」作戦の司令官ジョン・W・ブレナン・ジュニア少将は、ジハード主義グループとの戦いに重要な役割を果たしてきた「多くの勇敢な男女の兵士たち」を称賛し、米軍は「イラク共和国の招待の下で」、訓練・指導のため残留することになる、と述べた。」

 イラクの国家安全保障担当のカシム・アル・アラジ補佐官は、木曜日に首都バクダッドで挙行された控えめの式典後に、「我々は連合軍による戦闘任務の終了を正式に発表する」とツイートした。

 米軍と連合軍がイラクで展開を続けてきたことは、同国のムスタファ・アル・カディミ首相率いる政府にとって、微妙な問題となってきた。すなわちイラク政府が同国の安全確保を西側の連合軍に依存する一方で、国内のシーア派民兵とイランから強い圧力を受けてきた。特に2020年初頭、バグダッド近郊で米軍が実施した攻撃により、イランのカシム・ソレイマニ将軍とイラク民兵組織のトップ指揮官が殺害されたことも、そうした圧力を高めた。

 ニューヨークタイムズ紙によると、現在はイラク政府の治安部隊に所属しているある民兵グループ関係者は、米国の「約束など全く信頼していない」と語った。そのグループ、「ハラカット・ヘズボラ・アル・ヌジャバ」は声明で、「米軍が年末までに撤退を終えなければ、それは占領を意味するばかりだ」と言い切った。「イラクを占領する米国を攻撃の標的にする勢力を称賛し支援する。」(同グループ)

 米国主導の連合軍がイラクに侵攻したのは2003年3月のこと。その狙いはイラクの大量破壊兵器を壊滅させ、サダム・フセイン大統領(当時)による独裁政権を終わらせることだった。オバマ政権は2011年、いったん軍を撤退させたが、「イスラム国」がこの地域を飲み込むと脅迫した2014年に米軍を復帰させた。

 今回の任務変更の発表は、米国政府とイラク政府の実務協議を受けて行われた。その合意では、年末までにイラク国内で戦闘行動に従事する米軍は存在しないことになっている。国防総省は最近、イラク西部のアンバル州にある兵站本部を、クウェートに移転したことを発表した。

 国防総省の報道官を務めるジェシカ・L・マクナルティ海軍司令は、「イスラム国(ISIS)に対する戦闘能力を強化する上で、ペシュメルガをふくむイラク治安部隊が達成した途方もない進歩のおかげで」、移行が予定より早く進んだ、と指摘した。ペシュメルガとは、イラクのクルド自治地域の軍事力のことだ。

 米国当局者は、イラクに展開する米軍の人員が、新たな任務によって大幅変更することはない、と強調した。約2,500人の米軍要員は、イラク兵への訓練・助言に専念することになる。

 「今現在、イラクでの大きな情勢変化はない。兵員の現有勢力は従来通りだ」、国防総省のジョン・カービー主席報道官は言及した。 「これは任務の変更であって、物理的な態勢の変更ではない。」同報道官はイラクの米軍の人数は、現場の状況次第で調整可能だと語った。

 さらに同報道官は、「我々は相当長期にわたって、この移行作業を進めてきたのであって」、 「今日線引きをしたから唐突に現場の男女兵士たちの日常業務が大きく変わるわけではない。」

 「イスラム国」の脅威が弱まるにつれ、地元政治家や指導者の一部は、イラク国土に米軍が存在し続けることを議論してきた。2020年1月にソレイマニ将軍が殺害された後、米軍はイランによるミサイル攻撃にさらされ、イラク議会も米軍退去を命じる措置を検討したこともある。

 しかしカービー報道官は今回の変更が、イラクでの米国の役割の自然な進化に伴うもので、イラク政府に対する米国政府の約束に沿ったものだ、と言明した。さらに「イラク側も長期にわたり対ISIS攻撃作戦に取り組んできた」のであるから、「今後のパートナーシップに期待している」と語った。

 ブレナン将軍は、ISISに対する国際連帯が展開されて以来、米国とイラクは「長い道のりを歩んできた」と述懐した。当初、ジハード主義グループはイラク・シリアの国境にまたがる広大な領土を「カリフ国家」として支配した。

 同将軍はそして、イスラム国は「後退したが、壊滅したわけではない」、「我々はイラクの人々を守ることができるよう、パートナーであるイラク軍に助言し支援を行う」と語った。

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