アフガンの反タリバン抵抗勢力、米国の支援得られず

(2022年1月4日)

2021年8月15日(日)、アフガニスタン・カブールの米国大使館上空を飛行する米軍のチヌークヘリコプター。アフガニスタンの首都カブールにタリバンが進攻する中、外交官車両が構内を離れると、ヘリコプターがカブールの米国大使館に降り立った。(AP写真/Rahmat Gul、ファイル)

By Joseph Clark – The Washington Times – Tuesday, December 28, 2021

 アフガニスタンのパンジシール渓谷の民主化推進抵抗勢力の指導者はワシントン・タイムズに、戦士らは厳しい戦いを強いられているが、国全域の支配を主張するタリバンに抵抗し、屈することはないと語った。

 国民抵抗戦線(NRF)の対外関係責任者であるアリ・ナザリー氏は、アフガニスタンでよく知られるこの谷にいる民主化運動の戦士らがタリバン支配を崩し、国内に流入したとされる多数のテロ集団を阻止するためには、外国からの支援が必要だと訴えた。

 ナザリー氏はインタビューで、「アフガニスタンで起きることは、国際社会に影響を与える。米国をはじめ、国際テロが自国の安全や国益を脅かすと考える国は、私たちを支援しなければならないと考えている。なぜなら、私たちは国際テロと戦う唯一の勢力だからだ」と述べた。

 8月中旬に米軍が撤退して以来、バイデン政権は「イスラム国」(IS)やアルカイダなどのテロ集団に支援された数多くの戦闘員が同国に流入していることを無視してきた。また、テロ組織と長い間連携してきた推定5万人のタリバンに、経済的、人道的な困難のただ中にあるこの国に安全と安定をもたらすことは期待できない。

 ナザリー氏は、「これらの事実は、国際社会、特に米国に受け入れられていない。国際テロの脅威は日を追うごとに増している。ISだけでなく、アルカイダやタリバン自身によるものだ」と指摘した。

 ナザリー氏によれば、推定1万人の元アフガン兵士、特殊部隊員、警官が参加したNRFは、タリバンとアフガニスタンに殺到する数多くのテロ集団に対抗するために米国に残された最後の選択肢になりつつある。しかし、時間はなくなってきているという。

 「アフガニスタン国内で、すべてのテロリストに軍事的に対抗しているのは私たちだけだ」

 「私たちだけではどうにもならない。米国の政権や議会、政府以外の機関に訴えたいのは、これが米国が持つ唯一の選択肢であるということだ。しかし、いつまでも待ってはくれない」

 米国と同盟関係にあった北部同盟の故アフマド・シャー・マスード司令官の息子、アフマド・マスード氏が率いるNRFは、米国が支援するアフガニスタン政府が崩壊する中、8月半ばに結成された。

 32歳のマスード氏とその支持者らは、1980年のソ連の猛攻の中、父親が守り抜いた山岳地帯へと逃れた。1990年代には、力を付けたタリバンとここから戦った。彼らは、タリバンのイスラム原理主義に立ち向かい、北部同盟が数十年前に謳った民主主義的指針のために戦うことを誓った。

 マスード氏は、タリバン軍がパンジシールを包囲し、部隊と武器の補給路を遮断しているため、長引く紛争に備えより多くの武器が必要になると述べた。

 フロリダ州のマイケル・ウォルツ下院議員とサウスカロライナ州のリンゼイ・グラム上院議員は、8月下旬にNRFの代表者と会談し、反タリバン抵抗勢力への支援を約束した。

 しかし、ホワイトハウスも国務省もNRFを公的に支持せず、9月初旬にはタリバンの戦闘員が、パンジシールに掲げたアフガニスタン・イスラム首長国の旗の写真を投稿し、原理主義政権阻止への希望は打ち砕かれた。

 下院軍事委員会委員で、陸軍グリーンベレーの元隊員であるウォルツ氏は、国家安全保障の観点から、政権がアフガニスタンの抵抗勢力に関与しないのは「極めて無責任」だと述べた。

 ウォルツ氏は、「彼らは今、私たちの協力を切実に求めている。彼らが何のために戦い、何を目指しているかを見れば、政権にとってそれで十分だ」と述べた。

 ある政府高官は、米政府は「さまざまなアフガニスタンの指導者」と話し合っていると述べたが、ホワイトハウスがNRFとどのような関係にあるのかについてはコメントを避けた。

 「政権との関係について詳細を明らかにすることはできない」

 ウォルツ氏は9月、「『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』を手本にする」と約束した。チャーリー・ウィルソンズ・ウォーは、1980年代にソ連の占領と戦うアフガニスタンの人々を武装させるために中央情報局(CIA)に数百万ドルを確保したことで知られるテキサスの民主党下院議員に関する本と映画の題名だ。

 ナザリー氏は、バイデン政権がNRFの要請に沈黙しており、支援はまだ具体化していないと指摘。「この政権の無策には唖然とする」と述べた。

 パンジシールでは、9月の数週間にわたる衝突を通じて、双方が大きな犠牲を出したと主張しているが、真偽は確認されていない。

 パンジシールで抵抗勢力に参加しているアムルラ・サーレ元副大統領は、タリバンが人道的支援を阻止し、電話や電気を遮断したと述べた。また、タリバンがこの地域の地雷原の除去を「徴兵可能な年齢の男性」に強要し始めたとも主張した。

 それでもナザリー氏は、タリバンがこの谷の支配を維持するのは難しいだろうと述べた。

 「パンジシールは、人々が侵略者を歓迎するようなところではない。歴史上、あの谷に入った者は皆、敗北に直面してきた」

 ナザリー氏は、NRFは現在パンジシールの60%以上を支配しており、幹線道路から枝分かれした小さな谷の果てしないネットワークで構成されていると指摘。NRFは、武装したタリバンとの長期的な小競り合いを避けるために戦略を調整し、タリバンが、目に付きやすい幹線道路を支配することを許したと語った。

 さらにナザリー氏は、タリバンが安定を実現できないため、NRFへの支持がパンジシール以外にも広がり始めていると述べた。

 「抵抗勢力が拡大しているのは、住民が人道的危機に直面しているからだ」

 「住民はタリバンを破壊的な勢力、安定と安全をもたらすことのできない勢力、生活を維持するためのサービスを提供することのできない勢力だと考えている。そのため、他に選択肢はなく、唯一合理的な選択肢がNRFなのだ」

 しかしナザリー氏は、NRFは米国の支援なしには長く持ちこたえられないと言う。

 パンジシールの現状は、常に現地から報告が来るわけではなく、把握が難しい。欧米のメディアは、タリバンが攻勢に出た後の数週間、この地域で抵抗勢力の兆候はほとんどないと指摘し、ワシントンでは、タリバンの支配に抵抗できる勢力の出現に悲観的なアナリストもいる。

 しかし、ナザリー氏は、NRFの抵抗を支援することが、国際テロの脅威を阻止し、タリバンを牽制するための米国の唯一の選択肢になるかもしれないと述べた。

 9月、マーク・ミリー統合参謀本部議長は下院軍事委員会で、テロ組織は早ければ6カ月以内にアフガニスタンで基盤を固めることができると述べた。

 ミリー氏はまた、米軍撤退によってこの地域の潜在的なテロの脅威に立ち向かう能力が損なわれたと指摘した。

 「米国民を守るという目的は変わらないが、やり方や手段は変わると思う。アフガニスタンで再結成されたアルカイダやISに対してテロ対策活動を行うことは、今後、より困難になると思う。不可能ではないが…より困難になるだろう」

 バイデン政権は、遠距離からのオーバー・ザ・ホライズン対テロ戦略に自信を示すが、アフガニスタンには軍事拠点がなく、情報収集能力も低下し、無人偵察機を飛ばせる最も近い空軍基地は数時間の距離にあり、ワシントンではこの戦略に対して懐疑的な意見が依然として多い。

 一方のタリバンは、国際的な認知を求め続け、アルカイダとは距離を置き、人権に関する国際基準を順守することを約束したと主張している。

 民主主義防衛財団の上級顧問であるリチャード・ゴールドバーグ氏は、「タリバンと交渉できると考える人々は、時間をかければタリバンの行動を変えられるという誤った前提に立っている。ここ数年のタリバンを見ていると、タリバンからの約束や声明は全く無意味であることがよく分かる」と述べた。

 ナザリー氏は、世界の指導者らがすでにタリバンに屈し始めていることを懸念し、タリバンが権力を持ち続ける限り、テロの脅威は拡大し続けると主張している。

 バイデン政権は先週、悪化するアフガニスタンの経済危機を緩和するために、人道支援に関する制限を一部緩和すると発表した。これによって、多くの支援団体が、タリバンとアフガニスタンのイスラムゲリラ集団であるハッカニ・ネットワークに対する制裁に違反することなく、タリバンが支配するこの国で援助ができるようになる。

 専門家らは、この動きは間違ったメッセージを送ることになると指摘する。

 下院外交委員会の共和党トップであるテキサス州のマイケル・マロール下院議員は、「残念ながら、バイデン政権の近視眼的な決定は、米国の納税者の資金を、武力で権力を握り、国際規範を守ることに興味を示さないタリバンに報い、正当化し、可能性を与えることになるかもしれない」と語った。

 ナザリー氏は、バイデン政権と世界中の指導者が、原理主義的な政府を承認する方向に傾きつつあることを懸念している。

 「タリバンの承認まではいっていないが、タリバンに与えるものが多すぎると考えている」

 「タリバンが知っているのは破壊だけだ。彼らはそのために作られた。彼らは良い統治のために作られたわけではない。政治家になるために作られたわけでもない」

 ホワイトハウスは、米国を含むどの国もタリバンを承認していないと繰り返している。タリバンもハッカニ・ネットワークも、米国と国連から制裁を受けたままだ。

 ある政権高官は「私たち国連や他の国際機関と協力し、アフガニスタンの人々の基本的な人道的ニーズが満たされるように、流動性と資源の提供を加速してきた。冬が近づいており、国中の人々に支援を届けている」と語った

 「わが国の外交官は、基本的人権の問題に取り組み、女性や少女が教育を受けられるようにし、テロ対策の約束を果たすよう、複数のチャンネルを通じてタリバンに圧力をかけ続ける」とこの高官は付け加えた。

 ゴールドバーグ氏は、NRFを特に支持するわけではないが、米国がタリバンを牽制するためにアフガニスタンでパートナーを探すことは意味があるかもしれないと述べた。

 「議員は、情報機関から一連のブリーフィングを受け、存在する抵抗勢力について詳しく調べるように要請すべきだ」

 ナザリー氏によれば、アフガニスタンがますます悲惨な状況になっているにもかかわらず、NRFの米国支援の要請は政権に聞き入れられなかったという。

 NRFはパンジシール奪還の機会をうかがう一方で、アフガニスタン国外の有力者に影響を与える取り組みを強化している。先月、NRFの支持者が世界22都市でデモを行った。

 ナザリー氏は、「世界中の移民コミュニティーがNRFを支持していることを示すことができた。私たちアフガニスタン国内外を問わず、大衆の支持を得ている」と述べた。

 また、NRFは世界中のアフガニスタン人コミュニティーを動員していると主張した。

 「タリバンが地理的に支配しても、私たちには民衆の支持がある。私たちには正統性がある」

 10月、NRFはワシントンでロビー活動団体として登録した。

 ナザリー氏は「もし米国がアフガニスタン国内の状況を完全に無視し、タリバンが状況を安定させると信じているなら、今後数年間、西側、特に米国で多くの脅威を目の当たりにすることになるだろう」と述べた。

北朝鮮政府が提供したこの写真には、2026年4月26日(日)、北朝鮮の平壌で行われた記念博物館の開館式に出席する、同国の指導者キム・ジョンウン氏、ロシアのヴィャチェスラフ・ヴォロディン下院議長、アンドレイ・ベロソフ国防相が、前列右から左の順に写っている。(朝鮮中央通信/Korea News Service via AP)

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