トランプ陣営の資金、民主・共和両党の全国委員会を超える
By Stephen Dinan – The Washington Times – Tuesday, February 1, 2022
ドナルド・トランプ前大統領は、民主党全国委員会(DNC)と共和党全国委員会(RNC)を合わせたよりも多い、途方もない額の選挙資金を手にしている。
彼の政治活動委員会は2021年の最後の6カ月間で5100万ドルを集め、年末の銀行の残高は1億2200万ドルに達したが、そのほとんどは彼の「セーブ・アメリカ政治行動委員会」のものだった。
トランプ陣営によると、資金は160万件以上の寄付からで、その98%以上は200ドル以下の「小額」寄付とされ、政治活動家らは、現職でない政治家への寄付の額としては異例と指摘している。
フロリダ在住の戦略家で、トランプ陣営と強いつながりを持つフォード・オコネル氏は、国内最大のハイテクメディア企業がトランプ氏をSNSから追い出し、有権者とのパイプを絶たれた後も、このような状況が続いていると指摘する。
オコネル氏は、「彼の力は米国政治で最も強力だ。人々はこの男を葬り去ろうとしたが、相変わらず存在感を示している」と言う。
トランプ氏は今、公務から離れており、この資金を生かして新たな道を切り開くことになる。
ジョージ・W・ブッシュ元大統領は政治から距離を置いた。ビル・クリントン元大統領とバラク・オバマ元大統領は政治に深く関与し続けている。クリントン氏は自身のグローバル財団に、オバマ氏は州の区割り変更作業にと、それぞれ別のプロジェクトに力を注いている。
しかし、選挙資金を追跡する「オープンシークレット」の事務局長、シーラ・クラムホルズ氏によると、この3人は大統領を2期務め、憲法で再び大統領になることを禁じられている。
また、大統領図書館の資金調達に時間を費やしたという。オバマ氏はシカゴにある図書館のために10億ドルを調達することを目標に掲げている。
トランプ氏はまだ再選の資格があり、オコネル氏は、再出馬は現時点で「ほぼ確実」だと述べた。
この資金があれば、共和党の大統領候補指名でライバルを寄せ付けないはずだ。そればかりか、連邦議会や全米の州知事・議会の選挙に影響を与えることも可能になる。
トランプ氏の広報責任者、テイラー・バドウィッチ氏は、「ドナルド・J・トランプ大統領が築き上げた政治組織によって、今後も共和党の未来は決定され、定義される」と述べた。
トランプ氏は、自身の「MAGA(米国を再び偉大に)」運動は、11月の「中間選挙で激突」し、議会の両院と三十数州の知事の支配権が決定されると述べた。
トランプ氏が7月1日から12月31日までに集めた5100万ドルは、他のどの共和党員が報告した額よりも多い。
現金1億2200万ドルは、DNCの6500万ドル、RNCの5630万ドルより多い。
両党の全国委員会の調達額はトランプ氏を上回るが、裕福な支持者からの多額の寄付によって支えられている。
トランプ陣営は、主に小額寄付者からの資金が多かったという。
選挙法の見直しや選挙資金制度の新設を主張する「イシューワン」は、トランプ氏が「大きなうそ」で資金を得ていると主張する。これは、トランプ氏が2020年の選挙を自分から「盗んだ」とする根拠のない主張に、一部の報道機関や政敵が付けた名称だ。
イシューワンのCEO、ニック・ペニマン氏は、「私たちは何年も前から、怒りが資金調達の原動力となることを知っている。悲しいことに、民主主義の健全性に対する執拗な攻撃は、寄付者の財布を開かせることもあるようだ。ドナルド・トランプ氏が、自由で公正な選挙に対する人々の信頼を損なうことで金銭的な利益を得れば、米国民は損をすることになる」と述べている。
実際、トランプ氏の支持者への資金調達の訴えの中には、2020年の選挙について触れているものもある。
セーブ・アメリカからのあるメールには「2020年の選挙は誤り、不正、スキャンダルに満ちていた」と書かれている。
それよりもはるかに多いのは、トランプ氏の写真を提供したり、大きな数字を積み上げて民主党を困らせたりすることが、寄付の誘因になっている。
トランプ陣営は、支持者に数多くの要請をしており、1日に6通のメールが届くことも珍しくない。
セーブ・アメリカが1日に発表した声明の中でトランプ氏は、自分の資金調達が十分に注目されていないと訴えている。
トランプ氏は、「フェイクニュースメディアは、セーブ・アメリカが1億2200万ドルという記録を達成したことを報道せず、昨夜、発表した。私がすべての記録を破ったのが気に入らないのだ」と述べた。
トランプ氏は、自身への支持は「文句なしといっていい」と述べた。
共和党の候補者らは、党の予備選挙を左右するトランプ氏の支持をめぐって熾烈な競争を繰り広げている。
トランプ陣営によると、陣営は2021年に「志を同じくする運動や支持する候補」に135万ドルを提供した。
オコネル氏は、「驚くべきは彼の資金調達だけではない。集会、支持、政策への影響力もある。さまざまな面で、共和党はトランプ氏の党だ」と述べた。