ウクライナ侵攻で中国 西側結束、台湾侵攻に影響も-米情報機関トップ見解
By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, March 8, 2022
米情報機関トップは8日の下院情報特別委員会での証言で、ロシアのウクライナ侵攻を受けて中国が、台湾への軍事侵攻に慎重になる可能性を指摘しつつも、台湾支配への決意に変わりはないとの見方を示した。
国防情報局(DIA)のベリエ局長は、ロシアのウクライナ侵攻を中国が台湾侵攻のモデルとするのではないかとみられていることについて、アジアでの米軍の抑止力は強く、「台湾とウクライナはまったく違う」と否定的な見方を示した。
一方、ヘインズ国家情報長官(DNI)は、情報分析官らが、ロシアのウクライナ侵攻に対する制裁を多くの国が支持していることから、中国が台湾への軍事侵攻に慎重になる可能性があるとみていると指摘。その上で「台湾に関して習近平国家主席と中国指導部の決意が揺らぐことはない」と、今後も台湾支配への中国の活動が弱まることはないとの見方を示した。
ヘインズ氏はまた、習氏がウクライナ侵攻と、それに対する西側の強い反発と結束に「驚き、動揺している」と指摘、「台湾に関する中国の計画に影響があると思う」と強調した。
侵攻による米中関係への影響については、両国の接近は限定的との見方を示しながらも「依然、懸念材料だ」と指摘した。
また、中央情報局(CIA)のバーンズ長官は、習氏は、侵攻によってロシア軍の弱みが露(あら)わになったことをよく思っていないと証言。中国は「欧州との関係を重視しており、米国と欧州の間にくさびを打ち込むことを重視している」ため、侵攻を受けて米欧が協力関係を強めていることに神経質になっていると分析した。
公聴会で公開された年次報告は北朝鮮について、「米国と同盟国を標的とする」核兵器、通常兵器の拡充、強化を着実に進めていると指摘、年内に核実験が実施される可能性があると警告している。