覇権拡大狙う中国 ロシア弱体化待ち取引か
By Guy Taylor – The Washington Times – Wednesday, March 23, 2022
米政権が、ウクライナ支援で民主主義陣営の結束を図る一方で、中国はロシア擁護の立場を変えていない。多くのアナリストらは、中国がウクライナ危機を戦略的機会としてとらえ、覇権と権益を拡大しようとするとの見方で一致している。
米シンクタンク、ハドソン研究所のピーター・ロー上級研究員は、「ウクライナでの戦争がこのまま行けば、ロシアは弱体化し、中国への依存を強めざるを得なくなる」と指摘した上で、「ロシアはいずれ、中国に従属するようになる。これは中国にとって戦略的に悪いことではない」と述べた。
ロー氏は、中国が、ウクライナから引き揚げるようプーチン大統領を説得することを望んでいるとすれば、それは夢物語だと指摘、「中国はバイデン政権のリベラルな国際秩序を守るために行動することはない。中国自身の国益を拡大することが狙いだ」と述べ、中国が中立的な仲介者となる可能性を否定した。
一方、米中央情報局(CIA)の元高官、デービッド・ザウアー氏はワシントン・タイムズとのインタビューで、「中国当局者らは(ウクライナ侵攻でロシアを支援することで)台湾の併合に取り組む際に、ロシアの支援が得られると考えているのだと思う」との見方を示した。
中国はこれまでに、制裁を科せられたイランの原油や北朝鮮の石炭を買い入れるなど、欧米の制裁逃れを支援してきており、ザウアー氏は、中国がロシアに対しても制裁で崩壊した経済を支援する可能性があると指摘。中国が目指しているのは、「ロシアから取れるだけ取る」ことであり、「中国はこの機会を生かして、制裁逃れへの国際的な関心を抑えながら、ロシアの資源を買うはずだ」と述べた。
さらに軍の増強を進める中国は、ロシアから軍事技術を引き出そうとするとの見方も出ている。
カーネギー・モスクワ・センターの上級研究員、アレクサンダー・ガブエフ氏は、中国は、「ロシア経済が底を打ち、落ちるところまで落ちる」までロシアを支援することはないと主張。ロシアの弱体化を受けて「中露が接近し、ロシアが先進兵器の設計情報や最先端の核技術情報を中国に提供するようになる可能性が非常に高い」との見方を示した。