覇権拡大狙う中国 ロシア弱体化待ち取引か

(2022年3月26日)

北京で会談する中国の習近平国家主席(右)とロシアのプーチン大統領(2022年2月4日撮影)。ウクライナ紛争は、北京の共産党政権がロシアの見解を大きく受け入れたことで、米中間の新たな冷戦の最初の大きな戦いの様相を呈してきた。(Alexei Druzhinin, Sputnik, Kremlin Pool Photo via AP, File)

By Guy Taylor – The Washington Times – Wednesday, March 23, 2022

 米政権が、ウクライナ支援で民主主義陣営の結束を図る一方で、中国はロシア擁護の立場を変えていない。多くのアナリストらは、中国がウクライナ危機を戦略的機会としてとらえ、覇権と権益を拡大しようとするとの見方で一致している。

 米シンクタンク、ハドソン研究所のピーター・ロー上級研究員は、「ウクライナでの戦争がこのまま行けば、ロシアは弱体化し、中国への依存を強めざるを得なくなる」と指摘した上で、「ロシアはいずれ、中国に従属するようになる。これは中国にとって戦略的に悪いことではない」と述べた。

 ロー氏は、中国が、ウクライナから引き揚げるようプーチン大統領を説得することを望んでいるとすれば、それは夢物語だと指摘、「中国はバイデン政権のリベラルな国際秩序を守るために行動することはない。中国自身の国益を拡大することが狙いだ」と述べ、中国が中立的な仲介者となる可能性を否定した。

 一方、米中央情報局(CIA)の元高官、デービッド・ザウアー氏はワシントン・タイムズとのインタビューで、「中国当局者らは(ウクライナ侵攻でロシアを支援することで)台湾の併合に取り組む際に、ロシアの支援が得られると考えているのだと思う」との見方を示した。

 中国はこれまでに、制裁を科せられたイランの原油や北朝鮮の石炭を買い入れるなど、欧米の制裁逃れを支援してきており、ザウアー氏は、中国がロシアに対しても制裁で崩壊した経済を支援する可能性があると指摘。中国が目指しているのは、「ロシアから取れるだけ取る」ことであり、「中国はこの機会を生かして、制裁逃れへの国際的な関心を抑えながら、ロシアの資源を買うはずだ」と述べた。

 さらに軍の増強を進める中国は、ロシアから軍事技術を引き出そうとするとの見方も出ている。

 カーネギー・モスクワ・センターの上級研究員、アレクサンダー・ガブエフ氏は、中国は、「ロシア経済が底を打ち、落ちるところまで落ちる」までロシアを支援することはないと主張。ロシアの弱体化を受けて「中露が接近し、ロシアが先進兵器の設計情報や最先端の核技術情報を中国に提供するようになる可能性が非常に高い」との見方を示した。

中国が空挺部隊による台湾奇襲を計画 ロシアが協力か

(2025年08月22日)

トランプ氏が大統領の間は台湾侵攻しない-習主席

(2025年08月19日)

大飢饉からレストラン経営まで、脱北女性が赤裸々証言

(2025年08月18日)

中国の「人道に対する罪」を非難、少数派が標的に-米人権報告

(2025年08月18日)

北極海で中国「調査」船の活動が活発化-沿岸警備隊

(2025年08月16日)

GM、中国軍需企業とバッテリーで提携 米議会が懸念

(2025年08月15日)

裁かれる韓国の大統領経験者ら 正義か復讐か政治的見せ物か

(2025年08月13日)

中国系企業が銅鉱山取得へ 公約に反しホワイトハウスは前向き

(2025年08月11日)

アジア各地で脅かされる信仰 宗教会議に世界から指導者300人超-韓国

(2025年08月10日)

中央北極海の商業的魅力は「限定的」-シンクタンクが予測

(2025年08月08日)
→その他のニュース