ウクライナ侵攻 北極圏にも余波

(2022年4月19日)

2021年3月26日、ロシア国防省報道部が公開した映像から撮影した配布写真で、不特定の場所で軍事訓練中のロシアの原子力潜水艦が北極の氷を突き破ったところ。北極圏における西側諸国とモスクワの協力関係は、長年にわたる北極圏でのロシアの軍事力増強によって既に緊張状態にあり、現在進行中のウクライナ紛争の中で停止状態に陥っている。(ロシア国防省通信社、AP通信より)

By Ben Wolfgang – The Washington Times – Saturday, April 16, 2022

欧米との新たな火種に

 ロシアのウクライナ侵攻の余波が北極にも及んでいる。ロシアの北極圏での軍備増強を受け近年、北大西洋条約機構(NATO)との間で緊張が高まっていたが、ウクライナ侵攻を受けて、北極圏8カ国から成る北極評議会も、ロシアの排除の検討を始めており、北極圏がロシアと欧米諸国との間の新たな火種となりそうだ。

 NATOのストルテンベルグ事務総長は3月25日、ノルウェーで北極圏の安全保障について演説を行い、「ロシアのウクライナ侵攻は重要な分岐点となった」と指摘、欧州だけでなく、北極圏にとっても安全保障環境は大きく変わったとの見方を示した。また、ロシアが北極圏での軍事活動を活発化させていることについて、「この極北の地の安定と、同盟国の安全にとって最大の脅威だ」と警戒心をあらわにした。ストルテンベルグ氏の母国ノルウェーは、北極評議会の構成国でもあり、北極圏開発ではロシアの主要競合国の一つだ。

 安全保障専門家らによると、ロシアは北極圏に13の空軍基地を新設または再開するなど基地の増設を推進、ロシア軍の砕氷船の数は世界最多となっている。

 北極圏では近年、海氷の融解が進んでいることから、天然資源開発、海上輸送路の開設へ、今後、経済的な重要性を増すことが見込まれている。

 英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)は、今のところ「ロシアとNATOの間で勢力のバランスは取られている」とした上で、ロシアが北極圏でも軍事行動に出れば、これまでの平和的な競合関係が急激に悪化し、コントロールできなくなる危険性が非常に高い警告している。

 北極評議会は3月、ロシアのウクライナ侵攻を受けて事実上、活動を停止した。ロシアを除く7カ国は、北極の開発、環境保護などでの協力促進をうたった評議会の指針への「重大な違反」とロシアを強く非難している。

 ロシアはこれまでも北極圏での影響力強化に取り組んできたが、ウクライナ侵攻による西側からの制裁を受けて、北極圏の資源、航路がロシア経済にとって今後、さらに重要性を増すことは間違いない。

 ロシアの国営タス通信によるとプーチン大統領は4月に入って、「外部からのあらゆる制約や制裁による圧力を考慮に入れ、北極圏関連の全プロジェクト、計画に特に関心を払わなければならない」と述べ、北極圏の開発を急ぐ意向を明確にしている。

米上院議員、中国の脅威警告 電気自動車などで世界市場支配

(2024年09月16日)

アフガン人協力者を見捨て、撤退したバイデン政権―下院外交委が報告書

(2024年09月14日)

ロシアが米インフルエンサー・ネットワークを構築 大統領選への影響狙い

(2024年09月10日)

日本に信教の自由強化を呼び掛け 東京で国際会議

(2024年08月26日)

五輪に性別検査復活を ボクシング金メダリスト巡り議論沸騰

(2024年08月16日)

トランス女子ボクサーに敗れ、抗議の「XX」サインーパリ五輪

(2024年08月10日)

中国の「スローモーション・ジェノサイド」 チベットとウイグルで宗教・文化の抹殺加速

(2024年08月02日)

ポンペオ、頼清徳両氏、信教の自由の重要性強調 東京で会合

(2024年07月27日)

米国は台湾を巡る戦争で中国を倒す-統合参謀本部議長

(2024年07月26日)

ポーランド大統領、ウクライナの早期NATO加盟呼び掛け

(2024年07月15日)
→その他のニュース