重罪から無料まで、州によって大きく異なる米国の中絶法
By Sean Salai – The Washington Times – Tuesday, April 12, 2022
米オクラホマ州では、ケビン・スティット知事が12日に署名した法律により、中絶手術は最高で懲役10年の重罪となる。そのわずか3日前、メリーランド州の議員は逆に、中絶手術を行える人を拡大するとともに、保険加入者には手術費を無償でカバーすることを義務付けた。
オクラホマ州とメリーランド州の新法は、共和党が支配する州では中絶制限を制定する一方、民主党が支配する州では中絶権の成文化を急ぐという、分裂が急速に進む法的情勢を反映している。6月に下される見通しの連邦最高裁判決は、過去半世紀にわたって中絶の権利を保障してきた「ロー対ウェイド判決」を覆す可能性がある。
共和党のスティット知事は12日、オクラホマ州の中絶禁止について、議会閉会から90日後に法律となり、母親の命を救う場合にのみ例外が認められると述べた。
オクラホマ、メリーランド、その他の州の立法措置は、中絶法をめぐり全米で相違が拡大していることを象徴している。
保守派団体「家庭調査協議会」が先週公表した地域別報告書「州別生命保護法」は、米国では州が女性の中絶へのアクセスを決定する時代に近づいていることを示している。
アメリカ・カトリック大学の政治学者で、中絶の統計を分析しているマイケル・ニュー氏は、家庭調査協議会の地図について、6対3で保守派が過半数を占める連邦最高裁が中絶を規制する権限を州に与えた場合、「米国の半分以上の州が何らかの生命保護法を持つ」ことを確認するものだと指摘した。
「もしロー対ウェイド判決が覆されたら、政治的にリベラルな地域では、中絶反対派が胎児を保護することが困難になる」とニュー氏。「しかし、南部と中西部の大部分では、胎児の実質的な法的保護が生まれることになる」
連邦最高裁は、妊娠15週以降の中絶を禁じたミシシッピ州法をめぐる「ドブス対ジャクソン女性保健機構裁判」について、今年の夏に判決を出すとみられている。
司法関係者によると、この判決は女性の中絶手術を制限する方法や期間を連邦議会や州議会に認めることで、妊娠中の中絶を合法化した1973年のロー対ウェイド判決を覆す可能性があるという。
そうなれば、ロー対ウェイド判決前後に制定されたものの、州が施行できていない休眠中の生命保護法が発動される可能性がある。中絶に制限を設けていない州には影響がない。
家庭調査協議会の報告書によれば、18州がほとんどあるいはすべての状況下での中絶を制限する法律を制定。胎児の心拍が確認できた時点で中絶を制限している州が4州、特定の妊娠期間での中絶を禁止している州が5州、胎児が子宮外で生存できる場合に中絶を禁止している州が3州ある。
他の14州は広義の健康上の例外を除いて出産まで中絶を認めている。「いかなる時点、いかなる理由でも合法的な中絶」を認めている州は6州あるという。
コロラド、ニューメキシコ、オレゴン、バーモント、アラスカ、ニュージャージーの各州は、妊娠9カ月までは中絶に何の制限も設けていない。アリゾナ、ユタ両州以外に、狭義の健康上の例外を除いて受胎後の中絶を禁止している州は、アイダホ、ワイオミング、ノースダコタ、サウスダコタ、オクラホマ、テキサス、ウィスコンシン、ミズーリ、アーカンソー、ルイジアナ、ミシガン、ミシシッピ、アラバマ、テネシー、ケンタッキー、ウェストバージニアだ。