中国が経済制裁への対応で緊急会合 台湾侵攻へ準備の兆候

(2022年5月9日)

022年冬季五輪を前に、ゲンティン・スノーパークで揺れる米国と中国の国旗(2022年2月2日、中国・張家口にて)。(AP Photo/Kiichiro Sato, File)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, May 4, 2022

 中国政府は先月下旬、緊急会合を開き、西側による制裁からの自国の防衛について協議した。ロシアのウクライナ侵攻を受けたものとみられ、米情報機関は、中国による台湾侵攻への準備の一環の可能性があるとみている。

 4月22日に実施された会合には、中央銀行にあたる中国人民銀行、財政省、英金融大手HSBCなど国際金融機関が参加。これは、中国が台湾侵攻の準備を進めている重要な兆候とみるべきだ。

 英紙フィナンシャル・タイムズは4日、中国企業がロシア原油の購入を増やしていると報じた。一方、国有企業は、西側からの制裁の恐れからか、ロシア原油購入を手控えているという。中国の外貨準備は3兆2000億㌦とみられ、経済制裁を受ければ凍結される恐れがある。2月24日のウクライナ侵攻を受けて、約6300億㌦のロシア資産が凍結されている。

 中国の習近平国家主席は、あらゆる手段を講じて台湾を併合するとみられているが、中国政府高官らは、ウクライナ侵攻による欧米との衝突にロシアのプーチン大統領がどう対処するかを注視している。

 上院外交委員会の元顧問で中国専門家のウィリアム・トリプレット氏は、「この緊急会合は、西側の制裁から自国を守る方法を探るためのものだが、中国の『ウクライナでのプーチンから学ぶ』事例が表面化したのはこれが初めてだ。これだけではないのは間違いない」と指摘、「中国が空と海の封鎖、台湾の蔡英文総統が世界のテレビに出演できなくするためのサイバー封鎖の計画を見直していることは確かだ」と述べた。

 トラス英外相が、北大西洋条約機構(NATO)は台湾防衛に備えるべきだと発言したことで、台湾併合をもくろむ中国の侵攻作戦にも影響が及ぶとみられている。

トラス英外相「NATOは台湾を守る」

 トラス氏は4月27日のロンドンでの会合で、「NATOは世界を見据え、世界的脅威に対処する備えをすべきだと思っている。日本、オーストラリアと協力し、確実に太平洋を守れるよう、インド太平洋地域での脅威に先手を打つ必要がある」と主張、「台湾のような民主主義体制が自衛できるようにしなければならない」と台湾防衛へのNATOの関与の必要性を強調した。

 米国は台湾関係法のもとで自衛用兵器の供与を約束しているが、軍事侵攻に対して台湾防衛に関与するかどうかについてはあいまいな態度を取っている。

 NATOのストルテンベルグ事務総長もトラス氏と同様、台湾防衛関与には前向きだ。

 昨年10月、「台湾はNATO加盟国ではない。加盟国となることもない。しかし、中国は近隣諸国に対してより厳しい態度を取るようになっており、…これはNATOにとっても重要なことだ」と台湾防衛の重要性を訴えた。

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