米北方軍、本土に対する中露北からの脅威は高まっている
By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, June 1, 2022
米北方軍司令官が議会で最近、中国、ロシア、北朝鮮からの米国への脅威が高まっていると述べた。
バンハーク司令官(空軍大将)は、ミサイルの脅威、サイバー攻撃、情報戦が組み合わさったことで北方軍は「かつてないダイナミックで戦略的に複雑な脅威に直面している」と述べた。
上院軍事委員会での5月18日の証言でバンハーク氏は、「北方軍と北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)に託された任務を遂行する能力が侵食されてきており、今後も侵食される」と述べた。バンハーク氏は、米国とカナダが運用するNORADの司令官でもある。
「米国は毎日、情報空間、サイバー領域で攻撃を受けている。競合相手は、わが国の基盤と民主主義、世界中の民主主義を弱体化させることを狙って、偽情報を拡散させ、活発に分断の種をまき、内部対立の火をあおっている」
中国、ロシア、北朝鮮などの敵国は、安全保障の弱点、政策の食い違いに付け込み、とりわけサイバー領域で活発に活動している。
「これら敵国は、潜在的な危機と紛争に備えている。国家の重要インフラを危険にさらし、米本土からの戦力投射を妨害、遅延させ、各地での危機に介入する意思をくじくことで、米国のリーダーらの判断の余地を狭めることを狙っている」
バンハーク氏は、敵国はこの1年間に「米本土を脅威にさらすことを特に狙った」兵器の配備を加速させており、米国の強さの核心である制度と同盟を弱体化させるための「絶え間なく、一致した」取り組みも米国にとっての懸念となっていると指摘した。
バンハーク氏によると、中露は、新型の攻撃的なサイバー・宇宙兵器、巡航ミサイル、極超音速兵器、発見されにくい攻撃兵器の配備を意欲的に進めており、これらの兵器は「さまざまな方向から、あらゆる領域で米本土の標的を攻撃」可能という。
北方軍は、米本土、プエルトリコ、カナダ、メキシコなどの地域を担当し、これらの脅威に対抗するため、高性能のセンサーと新型兵器、この危機に適合した政策を必要としている。
バンハーク氏はロシアを米本土にとっての「主要な軍事的脅威」と指摘、ロシアが取っている手法は、他国もまねしていると述べた。ロシアは、2019年12月に極超音速ミサイルを配備した。高速で低空を滑空し、飛行経路の変更が可能なため、発見、追跡が困難とされている。
ロシアの次の主要兵器は、新型長距離ミサイルで、数年後に配備される。プーチン大統領は、このミサイルは北と南のどの方角からも米国を攻撃可能と主張。これによって、米国の指導者らは、政府の機能を守り、報復攻撃を命じることができなくなるとしている。
ロシアのサイバー攻撃と地上発射衛星攻撃ミサイルも主要な懸念材料であり、空中発射のAS23など新型長距離巡航ミサイルは、ロシア領空から米国を攻撃可能だ。