共産主義体制固める中国、バイデン政権は融和へ傾斜

(2022年6月19日)

2021年3月18日木曜日、アラスカ州アンカレッジのキャプテンクックホテルで開かれた米中会談のオープニングセッションで発言する中国共産党外交部長Yang Jiechi(中央)と中国国務委員王毅(左から2人目)。(フレデリック・J・ブラウン/プール・ビア・AP)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, June 15, 2022

 中国の外交トップ、楊潔★(Yang Jiechi)共産党政治局員は、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)との会談で、中国の共産主義体制の転覆を試みないよう米政府にくぎを刺した。

 楊氏は、対米強硬姿勢から「タイガー・ヤン」の異名を持つ。会談は13日、ルクセンブルクで行われた。米政府は、「率直で、実質的で、生産的」だったとしているが、外交で「率直」は、激しい言葉の応酬を意味する。

 会談について米側からの発表はわずかしかなく、これについて専門家らは、バイデン政権が対中融和姿勢を強めていることの表れとの見方を示した。

 また、対中強硬派の間では、バイデン政権が、核兵器の増強、台湾への威嚇などの重要な課題をめぐって中国と対立するのを避け、スポーツのような公正な「競争」関係を築こうとしているという批判的な見方も出ている。

 一方の中国は、米国がこれまでの政策を変更し、共産主義体制を崩壊させようとするなど中国の現体制に反する動きを強めていると反発している。

 中国は、毛沢東の下で1949年に共産党が権力を握り、欺瞞と疑似資本主義のもとで国を発展させてきた。習近平国家主席のもとで共産主義思想が復活し、現在は米国主導の民主主義体制に代わりうる思想として、共産主義の輸出を図っているとみられている。

 中国の外交トップの楊氏は、党中央政治局委員、党中央外事活動委員会弁公室主任の肩書を持つが、どちらも共産党の役職であり、習体制の下で外交の主導権を党が握っていることを示している。

 国営新華社通信は会談について楊氏が、米国は「新冷戦を求めず、中国の体制転換を目指さない」というバイデン氏の約束を守るよう強く求めたと報じた。

 中国共産党幹部らは近年、体制転換への懸念を強めているとされ、米中央情報局(CIA)など米国の情報機関が共産主義体制の転覆を狙っていると強く非難している。

 楊氏はサリバン氏に、中国に対する戦略的視点を改め、共産主義体制の転覆を追求しないというバイデン氏の約束を「具体的な行動」に移すよう求めたという。

 中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報によると楊氏は、親中派で知られるキッシンジャー米元国務長官の助言に従って、緊張緩和に取り組むべきだと主張したとされており、バイデン政権の融和への傾斜にさらに拍車を掛けようとしている。

★=竹かんむりに褫のつくり

中国の核戦力、米国の予想を超える可能性-専門家が警告

(2024年10月12日)

中国、AI利用しソーシャルメディア影響工作を強化-ランド研究所報告

(2024年10月09日)

米軍、インド太平洋にドローンを大量投入へ 中国の攻撃を阻止

(2024年10月05日)

沈没の中国潜水艦は新型の核・通常ハイブリッド攻撃艦か

(2024年10月03日)

中国で残虐な動物実験 研究所に米が補助金

(2024年09月27日)

中国、対米戦に備え数百基の衛星を配備 宇宙軍が警告

(2024年09月25日)

台湾の国際機関への加盟妨害は不当 駐米代表が中国を非難

(2024年09月24日)

ポンペオ前国務長官、台湾の独立承認を呼び掛け

(2024年09月20日)

国防総省、量子コンピューティング時代に備え新構想

(2024年09月19日)

米上院議員、中国の脅威警告 電気自動車などで世界市場支配

(2024年09月16日)
→その他のニュース