中絶規制で州内二分、先行き不透明も多数
By Ryan Lovelace – The Washington Times – Sunday, June 26, 2022
中絶に対する憲法上の権利を認めた1973年の判決を最高裁が覆したことを受けて、今後は、170年以上に及ぶさまざまな法律が全米の各州で中絶への可否を管理することになる。
24日に発表された「ドブス対ジャクソン女性健康機構訴訟」をめぐる最高裁判決によって、中絶の規制は各州に任せられることになる。一部の州は、中絶を制限する法律を実施することを選択し、他の州は規則を変更するか、完全に無視することを検討している。
AP通信は、ロー対ウェイド判決の結果、中絶に関する大幅な制限または禁止が実施された20の州をリストアップしている。
プロチョイス(中絶支持派)のシンクタンク、ガットマッハー研究所は、最終的に26の州が中絶を全面的に禁止すると見積もっている。同研究所は、最高裁がロー対ウェイド判決を覆した時点で、12以上の州が中絶を規制または禁止する法律を発動したと指摘している。
サウスダコタ州では、妊娠22週目以降の中絶が禁止された。同州で中絶を通常業務の中で行っている施設はスーフォールズにある家族計画クリニックの一つだけだ。
サウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事(共和)は26日、同州の中絶制限を擁護したが、女性が中絶を受けることで訴追されるべきではないと述べた。
ノーム氏はABCニュースの「ディス・ウィーク」で、「私は女性が訴追されるべきではないと考えている。このような状況にある母親が訴追されるべきだとは思はない。しかし、故意に法律に違反した医師は、間違いなく訴追されるべきだ」と述べた。
テキサス州とオクラホマ州には、より厳しい法律がある。テキサス州の法律は、医師や女性の中絶を手助けする人々に対して、民間人が訴訟を起こすことで強制力を持たせている。
サウスダコタ州が、女性を監視したり、テキサス州やオクラホマ州のような制限の多い法律を採用したりするかという質問に対して、ノーム氏はCBSの「フェイス・ザ・ネイション」で、そのようなことは予想していないと答えた。
リベラル派が統治する州の指導者らは、中絶を可能にし、州外の女性にもそのサービスを拡大すると述べている。
カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、オレゴン州とワシントン州の民主党知事とともに、中絶提供者を守るために「西海岸攻勢」を展開し、「徹底的に戦う」ことを表明した。
ワシントン州のジェイ・インスレー知事はツイッターで公開したビデオで、「私たちは必要な人々のために、もっと多くの人々が中絶サービスを受けられるようにする」と述べた。
他の州、特に古い法律が形式的に残っている州では、判断に苦慮している。
ウィスコンシン州のジョシュ・カウル司法長官(民主)は、1849年の州法で中絶は重罪とされているが、中絶をした人を捜査したり、起訴したりすることはないと述べた。
この法律は、ロー対ウェイド判決が中絶を連邦憲法上の権利とする限り、強制力はなく、形骸化していた。州議会はこの法律を正式に廃止していないため、現在では再びウィスコンシン州の法律となっている。
ウィスコンシン州の家族計画連盟は、最高裁の判決後、チャンスを逃すまいと中絶を中止した。
ウィスコンシン州家族計画連盟のウェブサイトには、「ウィスコンシン州に住んでいて中絶が必要な場合、まず地元の家族計画連盟に連絡することが重要です。私たちは、依然、合法である州で中絶の治療を受けられるよう協力します」と記されている。
隣のイリノイ州とミネソタ州では、民主党の知事らが、中絶の権利を拡大し、さらに多くのことを行うことを約束する声明を発表した。
ミネソタ州のティム・ウォルツ知事は、ミネソタ州で合法の中絶サービスに関する刑事責任を追及する他州からの引き渡し要請を拒否する行政命令を発表した。
ミシガン州でも混乱が続いている。グレッチェン・ホイットマー知事(民主)は、24日に州最高裁判所に対し、「ミシガン州憲法が中絶の権利を保護しているかどうかを判断する」よう要請した。
ミシガン州家族計画連盟は、中絶を犯罪とする1931年の州法に対して先手を打って訴訟を起こし、訴訟中の一時差し止め命令を獲得した。つまり、この州では今のところ中絶は文句なしに合法なのだ。
ホイットマー氏はまた、中絶施設がある各郡の主任検察官を訴え、その法律の執行を差し止めるようにした。
共和党が多数を占める州議会は、この法律の存続を望んでいる。
これとは別に、プロチョイスの活動家らは、ミシガン州憲法に中絶を権利として明記するための住民投票を11月に実施する準備を進めている。
ホイットマー氏は24日、「今こそ、女性とリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)ケアを守るために、あらゆる手段を用いるべきときだ。私は、ミシガン州のすべての人が自分の体のことを自分で決める権利を守るために、死に物狂いで戦う」と語った。
24日以降、中絶業者が業務を停止している他の州は、アラバマ、アリゾナ、アーカンソー、ケンタッキー、ミズーリ、サウスダコタ、ウェストバージニアの各州である。
個々の中絶業者や州が次のステップを決定するが、民主党は連邦法で規定することを求め、中絶を中間選挙での有権者の優先事項とする意向だ。
エリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州)は26日、11月のペンシルベニア州とウィスコンシン州の上院選で民主党が勝利すれば、連邦レベルで中絶の権利を固めることが可能になるだろうと述べた。
民主党は議会を支配しているが、上院は半々であるため、リベラルな政策を進めるのは至難の業だ。
ウォーレン氏はABCのディス・ウィークで、「11月の選挙に焦点を当て、民主党側にあと2人の上院議員、中絶の権利を保護し、フィリバスターを排除して通過させる意思のある2人の上院議員を獲得する」と語った。
「そして、そう、ペンシルベニアのジョン・フェッターマン。期待している。ウィスコンシンのマンデラ・バーンズ。期待している。彼らを連れてきて、票を集めれば、どこに住んでいようと、すべての女性を守ることができる」
ペンシルベニア州副知事のフェッターマン氏(民主)は、引退する上院議員パトリック・トゥーミー氏(共和、ペンシルベニア州)の後任として、テレビで有名な医師のメフメト・オズ氏と対決している。
ウィスコンシン州のマンデラ・バーンズ副知事は、同州の上院議員選挙の民主党指名候補者で、11月に共和党のロン・ジョンソン上院議員と戦うことになる。
サウスカロライナ州のリンゼー・グラム上院議員(共和)は26日、中絶が議会、知事、州議会のパワーバランスを決定するとは思わないと述べた。
グラハム氏はFOXニュースで、「2022年の結果を変えることはないだろう。ほとんどの米国民は、選挙で選ばれた議員が人生について決断することに満足していると、私は本当に信じている。各州が好きなようにやらせればいい」と述べた。
グラム氏は、ガソリン価格、犯罪率、国境警備が中間選挙の争点になると予想している。