イラン、核合意「最終」文書に異議

(2022年8月18日)

2018年8月16日(木)、ワシントンのホワイトハウスのキャビネットルームで行われた閣議で、マイク・ポンペオ国務長官(左)を伴って発言するドナルド・トランプ大統領。(AP Photo/Andrew Harnik)

By Ben Wolfgang – The Washington Times – Monday, August 15, 2022

 イランは15日、オバマ政権時の核合意を再建するための西側の「最終」提案に依然として異論があることを示唆する一方で、週末の作家サルマン・ラシュディ氏刺傷事件を正当化し、イラン国営メディアはドナルド・トランプ前大統領とマイク・ポンペオ前国務長官が襲撃される可能性もあると警告を発した。

 経済制裁の緩和と引き換えにイランの核開発を制限する多国間の核合意を復活させるバイデン政権との交渉が大詰めを迎える中、土壇場でイランは、米国を強く威嚇した。

 ラシュディ氏への攻撃に対するイラン政府の「不快な」反応や、イラン軍の工作員がポンペオ氏とジョン・ボルトン元大統領補佐官(国家安全保障担当)の米国内での暗殺を企てたとする司法省の告発の後も、米政権はイランとの交渉を放棄しないことを改めて表明した。

 国務省のネッド・プライス報道官は、現在進行中の核協議の問題を、拡大するイランの挑発行為から切り離そうとしており、米国とその交渉パートナー国は、イランの核兵器開発計画の危険性に依然、焦点を合わせていると述べた。

 プライス氏は記者団に対し、「バイデン大統領は、チームに対して明確な指示を与えている。イランに核兵器を持たせることはできない。私たちは依然、イランの核開発を検証可能かつ恒久的に抑制するためには、外交が圧倒的に最善かつ最も効果的な手段であると信じている」と述べた。

 「(核合意をめぐる交渉は)私たちがイランと直面している唯一で、中心的な課題、核心的な課題、イランから受ける最大の脅威的な課題、すなわち核兵器に関するものだ」

 15日は、2015年の核合意(正式名称は「包括的共同行動計画」)を復活させるという欧州連合(EU)の提案に対して、イランが回答を出す期限だった。トランプ氏は2018年、米国、イラン、英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国が署名した同合意から米国を離脱させた。

 イラン政府当局者は、EUの提案は交渉の実質的な進展を意味するが、テヘランの重要な懸念のいくつかに対処していないと述べた。

 イラン外務省のナセル・カナニ報道官は、米欧はまだテヘランの「譲れない一線」と要求のすべてを受け入れてはいないと述べた。

 国営イスラム共和国通信(IRNA)によると、カナニ報道官は、「相対的な進展はあったが、イランの法的要求を完全に満たすには至っていない」と述べている。

 イランは特に、国内での未申告核物質の疑いに関する国際原子力機関(IAEA)の調査を制限することを望んでいる。また、イスラム革命防衛隊(IRGC)に対する経済制裁の解除を望んでいることを示唆している。IRGCは、司法省がボルトン氏殺害計画に直接関係していると主張したエリート準軍事組織だ。

 プライス氏は、政権はそのような要求を受け入れる気はなく、IRGCのテロ組織としての指定を解除するつもりもないことを示唆。米国が合意を得るためにそのような措置を検討するとの報道を「極めて不正確」と非難した。

 イランのメディアは、米国がイランの「要求」のうち二つに合意したと報じたが、詳細を明らかにしていない。

 バイデン政権は、イランと合意を交わした場合、強い反発に遭うことになる。合意に批判的な人々は、この1週間だけでも、イラン政府と取引することは甘く、実に危険であることを示す十分な証拠を提供している。

 下院外交委員会のマイケル・マコール委員(共和、テキサス州)は14日遅くに声明を発表し、「イランは、複数の米国民に対する攻撃を計画している。攻撃されるまで結果を待つのは職務怠慢だ。政権の優先事項は米国人を守ることであり、欠陥のある核合意の交渉ではない」と述べた。

 マコール氏は、ラシュディ氏(75)が襲撃されたのは、イラン政権が長年にわたってラシュディ氏の死を呼びかけてきた「ファトワ(宗教令)」の直接的な結果だと指摘した。

 ラシュディ氏は19日、ニューヨークでの講演中に少なくとも10回刺された。インド生まれの英国人作家で、イランの最高指導者、アヤトラ・ホメイニ師が1988年の著書「悪魔の詩」に対してファトワを発令して以来、脅威にさらされてきた。一部のイスラム教徒は、この本には預言者ムハンマドを冒涜する描写があると言っている。

 襲撃したハディ・マタル容疑者(24)はすぐに拘束され、殺人未遂の罪で起訴された。

 イランはこの事件との関連を否定している。

 カナニ氏は15日、襲撃を引き起こしたのはラシュディ氏自身だと指摘。

 「われわれは、彼が行った侮辱と受けた支援は、あらゆる宗教の信奉者に対する侮辱だと思っている」と述べた。

 プライス氏は、カナニ氏のコメントを「卑劣」「不快」と呼び、14日のアントニー・ブリンケン国務長官の言葉を繰り返した。

 ブリンケン氏は声明で、「イランの国家機関は何世代にもわたってラシュディ氏に対する暴力を扇動し、国営メディアは、彼の命が狙われたことを内心喜んでいる。これは卑劣なことだ」と述べていた。

 イランの国営メディアは、ラシュディ氏への攻撃は暴力の波の始まりに過ぎないかもしれないと指摘している。

 イランの最高指導者、アヤトラ・アリ・ハメネイ師が自ら編集者を選ぶイランのケイハン紙は、15日に掲載された1面社説で、「神はラシュディに復讐した」「今度はトランプとポンペオの番だ」と宣言した。

 英語メディアの翻訳によると、「(ラシュディ氏への)襲撃は、トランプとポンペオに同様の復讐をすることが難しい仕事ではないことを示しており、今後、彼らはより生命の危険を感じるだろう」 と主張している。

 司法省は先週、IRGCメンバーのシャフラム・プルサフィ容疑者(45)を、米国内の接触者にボルトン氏殺害に最高30万ドルを支払うと申し出たとして起訴した。

 米政府当局者によると、イラン当局は2020年1月の米軍の空爆で、強い権力を持っていたカセム・ソレイマニ司令官を米国が殺害したことへの報復として暗殺を計画していたという。

 ボルトン氏は、米国とイランを戦争の瀬戸際に追い込んだソレイマニ司令官への攻撃のとき、大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めていた。プルサフィ容疑者起訴に詳しい関係者によると、ポンペオ氏も標的になっていたという。

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