米政府の対イラン譲歩は国事犯に近い-トランプ政権のボルトン顧問語る

(2022年8月22日)

2019年9月30日、ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)で講演するジョン・R・ボルトン前国家安全保障顧問のジェスチャーするファイル写真。(AP写真/Pablo Martinez Monsivais、ファイル)

By Joseph Clark and Guy Taylor – The Washington Times – Wednesday, August 17, 2022

 トランプ政権で国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたジョン・R・ボルトン氏は、バイデン政権がイラン・イスラム共和国との間で結ぼうとしている核合意に関して、将来の米国大統領が同合意を終了しにくくなるような保証をすれば、それは「国事犯に相当するような」取引になるかもしれない、と述べた。

 ボルトン氏はイラン問題のタカ派で、オバマ政権下で結ばれたイランとの核合意から、2018年に撤退する際にトランプ大統領と緊密に働いた人物だ。水曜日に同氏は、バイデン政権がイランと締結しようとしている合意内容の如何を問わず、将来の共和党政権は間違いなくそれを覆そうとするだろう、と述べた。

 同氏の発言は、イランの交渉担当者がバイデン政権に対し、如何なる合意であれ、将来の米国大統領がそれを破棄する場合はイラン側に「補償」をする「確約」を求めた、との報道が飛び交う中、在ワシントン記者らとの懇談の中で飛び出したものだ。

 バイデン政権は補償云々の報道に関してコメントしていない。

 米国・国務省のネッド・プライス報道官は、欧州連合が最近流布している核合意に向けた「最終テキスト」に対する、イラン側の対応を検討していると述べた。「最終テキスト」では、対イラン制裁の緩和と引き換えにイランが核活動を制限するとした、2015年の核合意を再開する道筋が提案されている。

 一年以上も断続的に続けられている交渉で、核合意の実現が差し迫っているのか否か、未だ不明だ。その背景には、ボルトン氏をふくむトランプ政権の当局者暗殺疑惑など、イランの対米挑発があった。

 プライス報道官は、非公開の対イラン交渉の状況についてはコメントできないと述べた。

 将来の米政権も核合意を了承するよう具体的な保証をイラン側が要求したか否か、国務省とホワイトハウスは確認をしていない。

 ホワイトハウスのある報道関係者は、イランが要求していると報じられているような、将来に渡って合意順守を確約するための「補償など提供した前例がない」と語った。

 米政府が対イラン交渉中に提供したという保証措置に関して、ホワイトハウスはワシントンタイムズに対し、2021年10月から米・仏・独・英の共同声明の中で、「イラン側が同様に応じる限り、米国はJCPOA(包括的共同行動計画)を完全に遵守し、それを維持する、というバイデン大統領のコミットメント」を示唆した。

 しかしCNNの火曜日の報道では、この交渉に関して説明を受けた外交官の言葉として、イランの交渉担当者は将来の米国政府が合意から撤退することを懸念していると述べた。

 同外交官によると、「合意再開を妨げている一番の問題は、本当の解決に達する前に、将来の米国政府が合意から再度撤退すると決定した場合を想定して、イラン側が求めている保証措置だ」という。

 イラン側交渉チームのモハマド・マランディ顧問がCNNに確認したところでは、米国大統領が再開された核合意、正式には「包括的共同行動計画」から撤退した場合に、米側が「何らかの代償を支払う」保証をイラン側は求めている。

 イランが具体的にどのような補償を求めるかは明らかでないが、ボルトン氏によると、イラン当局がワシントンは合意を破棄しようとしていると判断すれば、イスラム共和国が米国に代価を払わせるための様々な方法を追求するだろうという。

 「ひとつは外交における損害という発想で、後に続く米政権が合意から撤退した場合、イランに損害賠償を支払わなければならないというものだ。これが過去数週間、マスコミで報じられている問題だ」、ボルトン氏は指摘した。

 「数週間もしくは数ヶ月前に、イランはロシアなどの国に運び出した可能性のある濃縮ウランを運び戻す提案をしたと報じられた」。このボルトン氏の主張について、ワシントンタイムズは、そうした報道があった事実を裏付けることができなかった。

 前政権の国家安全保障問題担当大統領補佐官はさらに言う、「仮にバイデン政権が、今後の大統領が核合意から撤退することを想定して、米国に損害を与える条件で交渉しているならば、それは国事犯に匹敵しかねない」と述べた。

 「この合意に参加したい、将来の大統領もそれに留まってほしいと望むことと、その合意から撤退しにくくするために米国の国益を損なわせることは別の話だ」、ボルトン氏は強調した。

 司法省は先週、イスラム革命防衛隊(IRGC)の工作員一人に対して、ボルトン前補佐官を殺害する目的で、米国内の複数の接触先に最大30万ドルを支払おうとしていた容疑で告発したことを発表した。

 ボルトン氏は、イラン抵抗国民会議(NCRI)がイランの核計画をテーマにワシントンで開催したパネルディスカッションに出席後、上述の発言をした。NCRIという組織はイラン・イスラム共和国から国外追放され、イランが秘匿してきたナタンツ核施設を、2002年に暴露したイラン人反体制派グループ「ムジャヘディン・ハルク」と関係がある。

 バイデン政権は、2015年に締結された核合意の再開をめぐる交渉が数ヶ月にわたって停滞しているため、泥沼状態だ。前トランプ大統領が2018年に同合意から撤退した時、オバマ大統領が合意の条件として緩和した対イラン制裁を、再び課すなどしてイランへの圧力を強めた。

 トランプ政権はまた、IRGCを国務省の公式な外国テロ組織リストに載せた。

 核合意の再開に向けた欧州連合からの「最終テキスト」に対するイラン側の書面回答全文は公表されていない。イランは過去一年間、米国および欧州の当局者との協議の中で、様々な要求を提出してきた。

 中でもイランは、国内に貯蔵されながら未申告が疑われている核物質について、国際原子力機関の査察を制限したい。イランはまた準軍事エリート集団であり、米国司法省がボルトン氏の殺害計画に直接関与しているとにらんでいるIRGCに対して、米国と欧州が経済制裁を解除するよう求めている。

 米国務省のプライス報道官は今週、バイデン政権がそうしたアクションには消極的であり、IRGCのテロ組織指定も解除しない、と記者団に語った。同報道官は、米国が核合意を確かなものにするために、そのような措置を検討している、といった「非常に不正確な報道」を非難した。

 議会の民主・共和双方の議員たちは、核合意を再開しようとする政府の試みを半信半疑で眺めている。議員たちはホワイトハウスが、テヘランとの交渉の経緯を隠し過ぎているとして公然と批判した。

 しかしバイデン大統領は議員らの反発を無視するように、核合意を再開させる決意を堅くしている。

 ボルトン氏は水曜日、民主党内に核合意への反対意見が高まっていると指摘した。そして「今の時点で合意に戻るべきか否かの議論では、民主党内により多くの反対がある」と語った。「2015年に最初の核合意を開始する際に直面した反対よりも強い反発が起きている。特に秋の中間選挙を前にして、基本的に擁護しようのない政策を擁護しなければならないことに懸念を深めている民主党員が大勢いる。」

 ボルトン氏は、新たな核合意によって将来の大統領の選択肢を制限するような試みは、必然的に米国に害を及ぼす、と断言した。「現政権が何を言おうと関係ない。将来の大統領が合意から撤退したければ出ていくまでだ。それだけだ。」

この写真は北朝鮮政府が提供したもので、1994年6月17日、北朝鮮の南浦市で西海防壁を視察するジミー・カーター元米大統領(左)と当時の金日成主席が写っている。(朝鮮中央通信/朝鮮通信社提供、AP通信経由、資料写真)

北朝鮮、個人崇拝のルーツはキリスト教 敬虔な家庭で育った金日成氏 カナダ人ジャーナリストが新著

(2026年09月22日)
2026年9月8日火曜日、モスクワのクレムリンで行われた会談で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がトヴェリ州のヴィタリー・コロリョフ知事代行の話を聞いている。(ミハイル・メッツェル、スプートニク、AP通信経由クレムリン・プール写真)

ロシア、硬軟交え日本に揺さぶり 中朝と関係強化、国内ナショナリズムを鼓舞

(2026年09月15日)
北朝鮮政府が提供したこの写真には、2026年9月6日(日)、北朝鮮の元山港で行われた駆逐艦「康建」の就役式に出席する金正恩総書記とその娘が写っている。北朝鮮政府が配布したこの写真に写っているイベントを取材するために、独立系ジャーナリストは立ち入りを許可されなかった。この画像の内容は提供されたものであり、独自に検証することはできない。情報源から提供された画像には、朝鮮語の透かし「KCNA」と記されている。これは朝鮮中央通信社の略称である。(朝鮮中央通信社/AP通信経由)

北の「金王朝」、危機乗り越え盤石の体制に 正恩氏後継は未定―専門家

(2026年09月14日)
2022年8月20日土曜日、中国南西部重慶市龍泉村にある貯水池では、擁壁からの漏水により貯水池の水がほぼ枯渇し、ひび割れた乾燥した泥が見られる。周囲の農地や険しく美しい山々を含む巨大都市、重慶の景観そのものが、異常に長く激しい熱波とそれに伴う干ばつによって変貌を遂げた。(AP通信/マーク・シーフェルベイン撮影)

中国、気象を兵器化へ 軍事目的で環境を操作する技術開発

(2026年09月12日)
中央から、トルコのハカン・フィダン外相が、パキスタンのイシャク・ダル外相(右)、サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハン・アル・サウド外相(右から2番目)、トルコ、パキスタン、サウジアラビアの軍および民間高官らとともに、2026年8月31日(月)、トルコのイスタンブールで開催されたメッカ共同防衛協定に基づき設立された戦略政治防衛委員会の第1回会合で記念撮影に応じた。(AP通信/カリル・ハムラ撮影)

イスラム3カ国が新同盟 米国の信頼性に懸念 中東に新たな勢力図

(2026年09月07日)
2019年2月27日、ベトナムのハノイで、ドナルド・トランプ米大統領(左)が北朝鮮の金正恩委員長と写真撮影に応じた。(AP通信/エヴァン・ヴッチ撮影)

トランプ氏、金正恩氏との再会談模索 非核化巡り溝

(2026年09月05日)
韓国統一教会の指導者である韓鶴子総裁が、2025年9月17日(水)、韓国ソウルの特別検察庁に到着した。(AP通信/イ・ジンマン撮影)

「韓国の民主主義にそぐわない」宗教指導者への実刑判決に強い非難

(2026年09月04日)
韓国統一教会の指導者である韓鶴子総裁が、2025年9月17日(水)、韓国ソウルの特別検察庁に到着した。(AP通信/イ・ジンマン撮影)

旧統一教会トップに懲役2年 宗教右派へ圧力強める韓国左派政権

(2026年09月02日)
中国と新型コロナウイルス感染症のパンデミック イラスト:リナス・ガーシス/ワシントン・タイムズ

中国共産党は新型コロナの責任果たせ 米ハドソン研究所中国センター所長 マイルズ・ユー

(2026年08月31日)
米海軍作戦部長のダリル・コードル提督は、2025年11月17日、東京訪問中に選ばれた記者団と会見した。(AP通信/マリ・ヤマグチ撮影)

海軍作戦部長、中東への戦力移動は中国抑止に影響

(2026年08月30日)
→その他のニュース