北朝鮮、世界の関心が薄れる中、核・ミサイル開発を推進
By Guy Taylor – The Washington Times – Tuesday, November 1, 2022
米国家安全保障会議(NSC)の元高官によると、北朝鮮の金正恩総書記は、ロシアのウクライナ侵攻、中国と台湾の緊張の高まり、依然として猛威を振るう新型コロナウイルスなどに世界の注目が集中しているこの機を生かして、米国と同盟国からの批判をあまり受けることなく、核とミサイルの開発を進めている。
オバマ、トランプ両政権で対北朝鮮政策を担当し、トランプ前大統領の補佐官、NSCのアジア担当部長を務めたアリソン・フッカー氏は、「金氏はこれを、ミサイルと核の双方で進展を得る好機とみているのだと思う」と指摘した。
フッカー氏は今週実施されたパネルディスカッションで「世界の目は他に向いている。世界中がだ」と述べ、米情報機関が5月から、北朝鮮で5年ぶりの核実験が間もなく実施され、弾道ミサイルと巡航ミサイルの試射が長期間にわたって行われる可能性があると警告してきたことを明らかにした。
フッカー氏はワシントン・タイムズ財団が開催している月例のオンラインセミナー「ワシントン・ブリーフ」で、金氏は今、「解放感に浸っている」と述べた。
「この数十年間の体制の主要目的は、核保有国として認められることだった。1990年代半ばからそこに向かって進んできた。今、この目標に向かって自由に進んでいる」
フッカー氏は北朝鮮を「タイミングを計ることに長けている」と指摘、金氏は「この実験の影響を最大限に生かそう」としているようであり、間もなく実施される米中間選挙、習近平国家主席が5年間の3期目を事実上、獲得し、閉幕したばかりの中国共産党大会など、さまざまな要因を考慮に入れていると強調した。
またフッカー氏は、金氏は核実験によって米国と同盟国が制裁を科したり、軍事行動を起こしたりなどの影響がありうることは理解しており、核実験の前に他の新兵器の開発を進める可能性もあると述べた。
金氏は2021年1月の演説でも固体燃料、地上発射の大陸間弾道ミサイル(ICBM)、高出力の水素爆弾、原子力潜水艦、さらには海洋配備の核戦力の開発を目指すことを表明した。
フッカー氏は、その一方で金氏は「サプライズを楽しむ」ところがあり、「金氏が何かしようとしていると私たちが考えると、金氏は違うことをして、世界を驚かせるのが好きなのだと思う」と述べた。
北朝鮮が核実験を行えば、金正恩体制下で2017年以来初めてとなり、2006年以来、全体で7回目となる。
韓国の趙賢東外務第1次官は東京で10月26日、日本の森健良外務事務次官、米国のシャーマン国務副長官との会談後、米、韓国、日本の高官らは、核実験が実施されれば、「前例のない」反応に直面することになると断言した。
しかし、バイデン政権は、この「前例のない」反応が何を意味するかは明確にしていない。