中国が宇宙に兵器配備を計画か 衛星破壊能力も強化へ-米報告

(2022年12月8日)

新華社通信が公開した写真で、2022年11月29日火曜日、中国北西部の九泉衛星発射場から発進した後、長征2F Y15キャリアロケットの上に、打ち上げられた有人宇宙船神舟15号の光跡が写っている。中国は、国の恒久的な軌道上の宇宙ステーションの建設を完了するために、3人の宇宙飛行士を乗せたロケットを火曜日に打ち上げた。(Ren Junchuan/Xinhua via AP)

By Bill Gertz – The Washington Times – Thursday, December 1, 2022

 中国が、宇宙空間に地上への攻撃を想定した兵器を配備する計画に取り組んでいることが国防総省の最新の報告から明らかになった。中国は衛星破壊兵器(ASAT)など宇宙兵器の開発を強化しており、米軍は警戒を強めている

 米国防総省は11月末に公表した中国の軍事・安全保障分野の動向に関する年次報告書で、中国が宇宙兵器の増強を急ピッチで進めており、ASAT、レーザー兵器、軌道上のキラーロボット、サイバーツールなどを使って衛星を無力化するなど、敵の「目と耳をつぶす」ことを目指していると指摘した。

 報告はさらに、米国防情報局(DIA)の情報を基に、中国が、地上を攻撃可能な宇宙配備の兵器開発に取り組んでいることを初めて、明らかにした。

 「遅くとも2006年には、政府系の研究者らが、宇宙配備の運動エネルギー兵器に関連した航空宇宙技術の調査を開始した。地上、海、空を軌道上から攻撃するための兵器だ」

 だが、宇宙から兵器を発射することは、距離や大気圏への再突入という課題があり技術的に難しい。

 この計画は、中国が昨年7月に初めて実施した「部分軌道爆撃システム(FOBS)」の試験発射の一部として進められているとみられている。この実験で、極超音速滑空飛翔体を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)が発射され、約4万㌔を飛行、宇宙空間を1時間40分以上にわたって飛行した。報告によると、中国の対地攻撃兵器の実験としては最長という。

 FOBSは旧ソ連が1980年代に研究を行っていたもので、米国にはこれに相当する兵器はない。

 米シンクタンク「宇宙法・政策ソリューションズ」のマイケル・リスナー所長は、「米国の宇宙施設の機能をまひさせることを狙うのは、PLA(人民解放軍)にとって当然の動きだ。中国の抑止力の考え方は、基本的に先制攻撃であり、敵が紛争をさらにエスカレートさせたくなくなるレベルまでエスカレートさせることとされているからだ」と指摘。報告で、これらの宇宙兵器が、大規模な攻撃の前の先制攻撃の中で米軍を無力化するために使用され得ることについての検討がなされていないと懸念を表明した。

 中国軍が配備しているミサイルは、地上から2000㌔以下の低軌道上のどの衛星も攻撃でき、PLAは演習でASATの訓練を定期的に行っている。

 さらに中国軍は、静止軌道上の衛星を攻撃できるミサイルの開発にも取り組んでいるとみられている。多くの軍事・情報衛星は地上から3万6000㌔の静止軌道上に投入されている。

 中国は2013年に最大高度3万㌔に達する物体を弾道飛行させた。リスナー氏は、これは「衛星破壊技術を使って、低軌道だけでなく、さらに遠くの(静止軌道上の)衛星を標的とする」ためのものだったのではないかとみている。

 PLAは昨年1月、技術実験衛星「実践21号」を打ち上げた。デブリ(宇宙ごみ)の排除のためとされ、静止軌道上の「北斗」衛星測位システムの使用済み衛星を、静止軌道よりさらに外側の「墓場軌道」に移動させた。「実践」の任務の詳細は明らかになっておらず、他の衛星への攻撃にも利用可能だ。

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