米欧とアジア、防衛協力を強化 日印戦闘機が初の共同訓練

(2023年1月23日)

2021年12月7日、北海道恵庭市の南恵庭キャンプで行われた年次訓練で、陸上自衛隊の90式戦車が標的に向けて砲を発射。日本は2022年7月22日(金)に発行された年次防衛報告の中で、ロシアのウクライナ戦争と中国の台湾との緊張に起因する国家安全保障上の脅威の激化を警告し、日本は軍事力と支出を強化しようとしている。(AP Photo/Eugene Hoshiko)

By Andrew Salmon – The Washington Times – Tuesday, January 17, 2023

 米国と同盟国は台頭する中国を前に、2国間、多国間で防衛協力を築き、インド太平洋地域にとどまらず、世界各地の民主主義国家をつないでいる。日本とインドは16日、11日間に及ぶ初の共同訓練を開始し、航空自衛隊のF15戦闘機と、インド空軍のロシア製戦闘機SU30が参加。また、日米、英国、オーストラリア4カ国の空挺部隊が今月、初めての合同降下訓練を日本で実施した。

 日英は1月11日、「円滑化協定(RAA)」を交わした。自衛隊と英軍の相互訪問、装備の融通などを可能にするもので、昨年、オーストラリアとの間で同様の協定が交わされている。

 これらの協力関係は、これまでの各国間の大きな隔たりを埋めるもの。対共産圏包囲網として1954年に、米英仏豪など8カ国が参加して発足した東南アジア条約機構(SEATO)は、効果を挙げることなく、ベトナム戦争後の1977年に崩壊した。以後、地域防衛を担い、中国や北朝鮮への脅威に対処するための各国間の調整役を果たす「アジア版北大西洋条約機構(NATO)」のような組織は生まれていない。

 シンガポールの安全保障専門家、アレックス・ニール氏はこれについて、「米国にとって、第2次世界大戦後、冷戦中に欧州大陸をまとめるビジョンをつくることは比較的容易だった。インド太平洋地域についてはマーシャル・プラン(戦後復興支援計画)はなく、一時的な2国間での取り組みで対処してきた」ことが一因と指摘する。

 米国はオーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、韓国、日本の安全保障に個別の条約で対処してきた。一方、台湾への関与について米国の態度は曖昧なままだ。

 ところが、長い空白の期間を経て、多国間での組織化の動きが出ている。まだ最終的にどのような形態になるかは不明だ。

 憲法上、軍事面での制約がある日本は、かつてないほど活動範囲を拡大している。この2年間で、フィリピン、ベンガル湾、南太平洋のパートナー国と演習を行った。さらに、上陸部隊の整備、「軽空母」、長距離ミサイルの調達など、攻撃的兵器の強化を進めている。

対中包囲網を構築へ

 また、日韓が昨年、NATO首脳会議に招待され、ドイツ空軍の戦闘機がオーストラリア、日本を訪れ、合同演習を実施した。

 ステルス戦闘機F35を搭載した英空母「クイーン・エリザベス」が半年に及ぶ初航海でインド太平洋地域を訪問した。フランスの空母「シャルル・ドゴール」もインド洋で演習を実施しており、仏空軍の戦闘機ラファールがシンガポールを訪れたばかりだ。

 これらの動きには二つの要因がある。米国からの同盟国への要請と中国の経済的、軍事的台頭への対抗だ。

 フィリピン大学のリチャード・ジャバド・ヘイダリアン教授(国際関係)は、「引き金は、トランプ政権だった。『ハブ・アンド・スポーク』のネットワーク全体に衝撃を与えた。それは中国の台頭と並行して進んだ」と指摘した。

 ニール氏は、「小規模の兵力では抑止力を保障できないが、相乗効果は期待できる」と指摘、英国や日本のF35を米空母に搭載したり、米軍機が同盟国の空母を利用するなどの案を提示している。「米海軍にとって、現在のプレゼンスの維持は難しい」と指摘、「他国からのローテーション」でそのギャップを埋めることは可能だという。

 米国が世界の安全保障に目を向ける一方で、中国はアジアにその力を集中させており、域内の民主主義国家が独自に対応の強化を迫られるのは避けられない。中国に隣接する大国、日本とインドが合同軍事演習を実施したのは、このような認識があるからだ。

 日本は、2028年までに、NATOの水準である防衛費の国内総生産(GDP)比2%を約束した。世界最大の民主主義国インドは、反中姿勢を強めている。

 ヘイダリアン氏は、「量だけを見ていては重要な点を見失う。見るべきは、趨勢であり、中国だ」と、さらに広く、深い同盟による対中包囲網構築の必要性を訴えた。

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