中露、米国の訴訟から軍事情報入手か
By Alex Swoyer – The Washington Times – Tuesday, January 24, 2023
ジョン・ケネディ上院議員(共和、ルイジアナ州)は、米国の司法制度が悪用され、ロシアや中国などの敵国が米企業に対する訴訟に資金を拠出して、開示手続きで軍事技術や知的財産を入手する可能性があると警告した。
ケネディ氏は上院司法委員会の委員でもあり、今月、最高裁のロバーツ長官とガーランド司法長官に書簡を送り、第三者による訴訟費用の拠出は透明性が確保されておらず、国家の安全を脅かすと訴えた。
ケネディ氏は1月6日の書簡で、「どの法律、規則、規制にも、敵国が第三者として開示されないまま、連邦裁判所での民事訴訟に関与するのを防ぐ条項がない。これによってわが国の国家安全保障と政府全体が、操作される可能性がある」と主張した。
「司法委員会の一員として、司法省に、この脅威を緩和するためどのような措置が取られてきたかについての詳細を知らせてほしい。また、合衆国裁判官会議に、外国の組織がわが国の司法制度を乗っ取ることのないようにするために、全米の裁判所に事前に指針を出すことを検討するよう勧告する」
これは第三者訴訟ファンド(TPLF)と呼ばれ、営利目的で、第三者が原告の裁判費用を負担するもの。この第三者はヘッジファンドや政府系ファンドであることがあり、勝訴した場合の裁定額の一部を受け取ることを目的とする。
米商業会議所系の権利擁護団体「司法改革研究所」によると、この慣行は米国で拡大し、25億ドル~50億ドルもの市場になっている。
政府監査院(GAO)が調査し、昨年12月に報告書を公表、TPLFは2010年ごろに米国で始まったと指摘している。
GAOは報告で、TPLF業界は連邦法では「特に」規制されておらず、訴訟費用提供についての合意を開示する全国的な基準は存在しないとしている。
「この市場に関して入手可能な情報は限定的で、一部政治家が資金提供の手配などに関する透明性に懸念を表明している」
司法改革研究所は報告書で、中国の政府系ファンド、中国投資有限責任公司が米国内での訴訟に資金提供している可能性があると指摘している。
「米国の訴訟への外国からのTPLF投資がどの程度のものなのかは、TPLFの透明性が現在、欠如しているためほとんど分からない(それ自体が国家安全保障への懸念)が、入手可能な限定的な情報からは、外国の政府系ファンドを含む米国民でない人々が、米国のTPLF市場に参入していることは確かだ」
中国大使館の報道官、劉鵬宇氏は、米国の裁判に中国が干渉しているのではないかとの推測を否定した。
「中国は、このような主張を強く否定する。全く主観的であり、捏造に過ぎない。中国は常に、他国への不干渉の原則を守っている。米国の司法プロセスに干渉することはない」