クジラ保護か風力発電か 環境保護団体を二分
By Susan Ferrechio – The Washington Times – Saturday, January 28, 2023
米東部で、海岸に打ち上げられるクジラの死骸が急増したことから、洋上風力発電の建設工事が原因だとして中止を求める声が上がっている。風力発電推進派は、工事が原因ではないと主張、クジラの保護と脱化石燃料を訴える環境保護グループを二分する騒ぎとなっている。
この1カ月以内で7頭のクジラの死骸が、ニュージャージー、ニューヨーク州の海岸に打ち上げられた。通常なら年間でその程度であり、異常な多さだという。
これを受けてクジラの保護を求める環境保護団体が、ニュージャージー州のマーフィー知事に、洋上風力発電計画の中止を求めた。海底での圧搾空気を使った装置による衝撃など、タービン設置のための準備作業のために、クジラの回遊、捕食行動が乱れ、けがをしたり、海岸に打ち上げられたりしているとみているからだ。
ニュージャージー州は、大規模な再生エネルギー計画を推進しており、マーフィー知事は風力発電計画の中止要求を拒否している。
国家資源保護協議会(NRDC)、シエラクラブなどの有力環境保護団体も計画の推進を支持した。これらの団体は野生生物の保護にも取り組んできたが、風力発電による脱化石燃料、気候変動対策を優先した格好だ。
それには、風力発電を支持する環境団体が、脱化石燃料のための基金から資金を受けているという事情もある。NRDC、シエラクラブは、2040年までの炭素排出ゼロを目指すニューヨーク洋上風力連合に風力発電企業と共に参加している。
シエラクラブ・ニュージャージー州支部のラモスブソット支部長は、「証拠もなくクジラの死を風力発電のせいにするのは無責任」と主張した。
一方、「海岸を守れニュージャージー」の広報担当、スザンヌ・ホーニック氏は、「クジラなどの哺乳動物が早死にしているのは、(工事のための)航行する船の増加、海底での音や測量が大きな原因」と主張、「科学的な調査と、開発に関わる政府機関の透明性」を求めている。