ネバダ州のリチウム鉱山、10年に及ぶ法廷闘争を経て着工

(2023年3月13日)

2018年9月13日の写真では、ネバダ州フンボルト郡のオロバダとキングスバレーの間の敷地で、パーミッティング・リチウム・ネバダ社のサッカー・パス・プロジェクトのための探査掘削が続いており、遠くに見える掘削機のシャベルの向こうに示されている。ネバダ州で計画されている巨大なリチウム鉱山をめぐる1年にわたる高額な法廷闘争が、2023年1月5日(木)に再開される。法廷では、鉱山会社、それを承認した連邦機関、それに対抗する牧場主、部族、保護主義者の弁護団が弁論する。(Suzanne Featherston/The Daily Free Press via AP))

By Bill Gertz – The Washington Times – Saturday, March 4, 2023

 米国最大といわれるリチウム鉱山を巡り、建設会社が法的障害を押しのけて作業を開始した。バイデン政権が支援するプロジェクトだが、左派の環境保護団体や一部のアメリカ・インディアンが反対していた。

 電気自動車などのバッテリー技術に重要な役割を果たすリチウムの世界的な需要が高まる中、ネバダ州北部にある鉱山に反対する人々は、10年以上にわたり激しい法廷闘争を繰り広げてきた。

 ゼネラル・モーターズは1月、この鉱山に6億5000万㌦を投資することに合意した。この鉱山は、年間100万台の電気自動車にバッテリーを供給できると見込まれている。

 カリフォルニア州の左翼傾向が強い第9連邦高等裁判所は今月1日、作業中止を求める反対派の緊急の訴えを退けた。これは、ネバダ州北部の敷地を巡る10年にわたる法廷闘争の最新ラウンドだった。

 ネバダ州リノから北西に約200マイル、オレゴン州との州境に近いモンタナ山脈にあるサッカー・パスのリチウム鉱山ではその前日、作業員が着工した。この工事では、敷地の整備や土壌、岩石、地下水を評価するための掘削、水道パイプラインなどその他のインフラ整備が行われる。

 リチウム・ネバダ社のティム・クローリー副社長によると、ベクテル社がこの工事を請け負っている。

 主な作業は、今年の夏の終わりから秋の初めにかけて開始される。第1段階は完了までに約30カ月間を要し、約1000人の作業員が加わる予定だ。

 クローリー氏は「第1段階が完了すれば、リチウム・アメリカズ社はゼネラル・モーターズの電気自動車に使用される炭酸リチウムを4万㌧生産できるようになる」と指摘。第2段階ではリチウムの生産量を2倍の8万㌧にするという。

 ネバダ州には、リノ近郊にリチウムイオン電池と電気自動車のモーターを生産するテスラの「ギガファクトリー」もある。テスラのイーロン・マスクCEOは1月、36億㌦を投じてリノ近郊に大型電気トラック工場を建設する計画を発表した。

 隣接するカリフォルニア州では、2035年までにガソリンエンジン車の販売を段階的に廃止していく。この動きによって電気自動車の需要がさらに高まると予想されている。

 第9連邦高裁の判決は鉱山反対派にとって後退となったが、政治目的のために裁判所を利用する法廷闘争キャンペーンが消滅したわけではない。

 環境保護派は、鉱山を所有する内務省土地管理局が発行した許可証の合法性に異議を唱え続けている。この訴訟では、1万8000エーカーの鉱山から出る廃棄物や鉱滓(こうさい)のためにこの土地を使用することを、同局が許可していないとしている。

 「リノ・スパークス・インディアン・コロニー」と「サミット・レイク・パイユート族」という二つアメリカ・インディアン部族は、サッカー・パスを国家歴史登録財に加えるよう内務省に要望書を提出した。

 両部族は、砂漠を中心としたこの地域は神聖な場所であり、パイユート族とショショーニ族の薬草採集、狩猟、釣り、儀式の開催に使われていると主張している。

 両部族によると、鉱山そのものではないが、鉱山周辺は古くから部族間の虐殺が行われ、1865年には連邦軍によって50人のパイユート族が虐殺された場所だという。この土地を国家遺産に認定すれば、採掘は一切できなくなる。

 約10年にわたる調査と法廷闘争を経て工事が始まったことは、政府と鉱山を運営するリチウム・アメリカズ社、その現地法人であるリチウム・ネバダ社にとって大きな勝利だ。

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