アジア各国が対中連携 米国の好機に

(2023年6月23日)

2022年11月15日火曜日、インドネシアのバリ島ヌサドゥアで開催されたG20サミットで、インドのナレンドラ・モディ首相と会談するジョー・バイデン米大統領(左)。(Bay Ismoyo/Pool Photo via AP)。

By Andrew Salmon – The Washington Times – Monday, June 19, 2023

 【ソウル】ブリンケン国務長官と中国の習近平国家主席は19日、北京で2日間にわたって行われた関係修復のための会談に満足していると宣言したが、中国近隣諸国との交渉は難航しており、習氏にとって懸念材料となっている。

 インドとベトナムの国防トップがニューデリーで会談を行っている。両国は中国と戦火を交えたことがあり、未解決の領土問題も抱えている。

 インドのナレンドラ・モディ首相は22日に米国を公式訪問し、バイデン大統領と首脳会談を行い、防衛協力協定を結ぶことが見込まれている。

 また、日本、フィリピン、米国の国家安全保障の責任者が東京に集まり、中国の脅威に対抗するための、この地域で3番目となる米国主導の3カ国防衛パートナーシップの青写真を描いた。

 中国は、ヒマラヤ山脈の高地の領有をめぐってインドと激しく衝突している。南シナ海の領有権をめぐっても周辺国と対立、東シナ海の島々をめぐって日本と対立し、台湾の将来をめぐって激しい論争の渦中にある。各国がさまざまな話し合いを行っても安全への確証は得られない。

 あるアナリストは、これらは、ブリンケン氏の中国訪問を受け入れ、延期されていた会談を実施したことの説明にはなるかもしれないが、中国の行動がこの地域を疎外していることの表れでもあると述べている。つまり、周辺各国の行動は中国が引き起こしたものであり、予測可能だったということだ。

 トロイ大学の国際関係学教授ダニエル・ピンクストン氏は、「ここ数年の傾向として、中国は前向きになっていると思われているが、その強硬姿勢を周辺国は警戒しており、対中連合の形成へと向かっている。中国も何が起きているのか分かっていないわけではなく、行き過ぎたという意識があるのかもしれない。壁にぶつかっているのかもしれない」との認識を示した。

中国への視線

 ベトナムのファン・バン・ザン国防相が率いるハイレベルの代表団が、インドのラジナス・シン国防相の招きでインドを公式訪問している。

 インドは民主主義国家であり、オーストラリア、日本、米国とともに連携枠組み「クアッド」の一員でもある。ベトナムは共産党の一党独裁政権だが、両国とも非同盟であり、ロシアからの武器に大きく依存している。

 また、中国を敵視する理由もある。

 1962年に中国と国境紛争を経験したインドは、ヒマラヤ山脈の確定していない境界線をめぐって中国軍と争っている。

 ベトナムは1979年に中国と国境紛争を起こし、南シナ海の領有権を主張する中国と対立している。

 ベトナムの国営通信は、「ファン・バン・ザン大臣とベトナム代表団の訪問は、ベトナム・インド包括的戦略パートナーシップの重要かつ戦略的な柱である二国間防衛協力のさらなる発展に貢献した」と報じた。

 インドの報道機関は、両国が軍事交流、高官訪問、訓練プログラム、二国間訓練、海洋協力について合意したと報じた。

 インドはアンダマン・ニコバル諸島を支配し、中国や他の東アジア諸国にとって重要な航路であるマラッカ海峡への北西の入り口を支配している。海峡の南東側は、東南アジア諸国が支配している。

 アジア研究所の平和研究プログラムを率いるインドの学者、ラクビンダー・シン氏は「ここ数年、インドはベトナム海軍にミサイルやその他の兵器を供給しており、その観点から、中国を念頭に置いた一種の同盟関係が生まれつつある」と述べた。

 空母2隻、原子力弾道ミサイル潜水艦2隻、通常型潜水艦16隻を擁するインドは、ベンガル湾をはじめとする世界のパワープレーヤーとなるための装備を整えている。

 シン氏は、インドは特定の国をターゲットに軍備を増強しているわけではないことを強調しながらも、「この地域の他のどの国も、インドのような役割を負うことはできない。われわれは人口、経済資源、軍事資源を持っており、力の均衡を図り、法の支配を確保することができる」と述べた。

 モディ氏の国賓訪問の一環として、バイデン政権は、インドをロシア製兵器への依存から脱却させることを目指しているようだ。ロイター通信によると、ゼネラル・エレクトリック(GE)社によるインドの戦闘機用エンジンの製造承認、ゼネラル・アトミクス社製の無人機シーガーディアンの30億㌦相当の購入契約、防衛やハイテク分野の円滑な貿易を妨げる米国の法律や規制の撤廃などで合意が交わされるとみられている。

3国間パートナーシップ

 米国抜きでの、対中連合形成の各国の動きもある。

 日本、韓国、フィリピンの安全保障高官らは、16日に東京で初の協議を行った。3者は、3国間の海軍訓練と日本の海軍装備のマニラへの移転について話し合った。15日には、日米の高官が韓国高官と戦略的会談を行った。

 オーストラリア、英国、米国は安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を構築しており、日比米の新生ネットワークも3者間地域パートナーシップの一つだ。

 中国から見れば、良好な政治環境の中で米国は、台湾の南北にある重要な海峡を支配する一連の防衛関係を構築することが可能になり、これによって中国の地域的野心が本格的に動き出す前に挫折させられる可能性がある。

 フィリピンでは、親米派のフェルディナンド・マルコス政権が、国防総省にパラワン島とルソン島の基地の使用権を与えた。パラワン島は南シナ海をはさんで中国の空軍基地と対峙している。ルソン島は、フィリピンと台湾の間にある戦略的なルソン海峡を通る中国海軍の交通を妨害する理想的な足場となる。

 韓国では、保守派の尹錫悦大統領が、米国との安全保障同盟の強化と日本との関係修復にいち早く着手し、米国の悲願である中国以東の3カ国の安全保障ネットワークを実現した。尹政権は、駐韓中国大使が韓国に対し、米国との密接な連携をめぐって警告を発したことに対して、強く反論したが、これは異例のことだ。

 日本では、保守的な岸田文雄首相が、軍備を増強し、長距離の戦力投射能力を強化し、日本が統治する尖閣諸島や台湾をめぐる中国との対立に備え、より多くの選択肢を得られる長期的な政策を複数実施している。

フィリピン沿岸警備隊が提供したこの写真には、2025年10月12日(日)、南シナ海のフィリピンが実効支配するティトゥ島(地元ではパグアサ島と呼ばれる)付近で、中国海警局の船舶(右)がフィリピンのBRPダトゥ・パグブアヤに向けて放水砲を発射する様子が写っている。(フィリピン沿岸警備隊提供、AP通信経由)

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