バイデン氏、習氏は「独裁者」 発言評価する専門家も

(2023年6月25日)

2022年11月14日、インドネシア・バリ島で開催されたG20首脳会議の傍ら、握手を交わすバイデン米大統領(右)と習近平中国国家主席。先進7カ国(G7)の首脳は、中国への懸念を表明することで一致している。問題は、その懸念をどのように行動に移すかである。(APフォト/アレックス・ブランドン、ファイル)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, June 21, 2023

 2月に米空軍が大西洋上空で中国のスパイ気球を撃墜した際の対応について、バイデン大統領が、中国の習近平国家主席を「独裁者」と呼んだことに中国が強く反発している。

 バイデン氏は20日、カリフォルニア州で行った資金集めパーティーで「(スパイ気球を)撃ち落とした時、習近平国家主席が強く反発したのは、この気球のことを知らなかったからだ。…独裁者にとって、何が起こったかを知らなかったということは大変な恥だ」と述べた。ブリンケン国務長官が関係改善のために中国を訪れた直後のことだった。

 中国外務省の毛寧報道官は、この発言について「極めて不条理で無責任」とし、「基本的な事実、外交儀礼、中国の政治的尊厳に著しく反し」「政治的挑発」でもあると非難した。

 中国問題のアナリストらは、習氏が軍のサイバー・宇宙戦を管轄する戦略支援部隊のスパイ気球計画を知らなかったとは考えにくいと言う。この気球は、弾道ミサイル発射場を含む複数の米軍の施設上空を通過した。

 アナリストらは、気球は米軍施設付近で大気のデータを収集していたとみている。高空を飛行する極超音速ミサイルの誘導に役立つ可能性があるからだ。中国は、スパイ気球であることを否定し、気象観測用だと主張している。

 米政府は撃墜した気球を海中から引き揚げたが、今のところその詳細については公表していない。

 この事件は、台湾などをめぐって中国との関係が悪化していることを懸念し、中国との緊張緩和を求めていたバイデン氏の計画を狂わせた。ブリンケン氏の訪中計画は延期を余儀なくされたが、今月中旬にようやく訪中し、習主席や中国政府高官と会談を行った。

 バイデン氏はその後、中国は米国と「再び関係を持ちたい」と考えており、ブリンケン氏の訪問はより良い関係を築くための取り組みの一環だと指摘、その上で「それには時間がかかる」と述べている。

 バイデン氏の「独裁者」発言について米国務省の元政策顧問マイルズ・ユー氏は、「公の場で習氏を独裁者と呼んだことは、米国の立場を強くし、ブリンケン国務長官の北京詣でを補強する役割を果たしたかもしれない」と評価した。

 また、「中国を相手にするには率直であることが最も重要であり、その方が(中国の)指導者らに届きやすい」と強調、「米中2国間関係の多くは、『ウィンウィン』や『曖昧戦略』といった、自己満足的で危険な誤解を招くような意味の分からない言葉に基づいており、双方に確かな信念がない」と苦言を呈した。

 ユー氏は、「これらの(曖昧な)発言から、米中の争いの本質が浮かび上がってくる。すなわち専制と独裁対自由と民主主義だ」と指摘、曖昧な態度が米中間の対立をさらに悪化させるとの見方を示した。

1989年5月17日、中国・北京の天安門広場は、民主化を求める集会で数千人の群衆で埋め尽くされた。(AP通信/Sadayuki Mikami)

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