バイデン政権の「イラン核合意」
By Editorial Board – The Washington Times – Friday, June 23, 2023
外交官の仕事は、交渉し、歩み寄ることであり、論争することもある。正式な対面外交が失敗した場合、別の手段で交渉し、歩み寄り、論争する。
いわゆるイラン核合意を復活させようという取り組みは実を結ばなかったが、バイデン大統領の交渉チームは、非公式かつ間接的にイランとの交渉を続けているようだ。
しかし、イランの不誠実な外交の歴史を考えれば、文書化されない非公式の了解など、何も書かれていない紙ほどの価値もない。
タイムズ・オブ・イスラエル紙とニューヨーク・タイムズ紙の報道によれば、米国とイランの交渉は、オマーンの仲介を受け、間もなく終了する。
この「文書化されない合意」中の条項で、イランは核分裂性物質の濃縮レベルを、核爆弾製造の水準以下の60%に制限することになっている。
イランはまた、国際原子力機関(IAEA)の査察官による核施設への立ち入りを拡大し、シリアとイラクでの代理テロ攻撃への支援を制限し、ウクライナで使用される無人機のロシアへの輸出を停止し、3人の米国人の人質を解放する。
米側は、イランの核合意違反に対する国連の制裁案を棚上げし、新たな経済制裁を控え、数十億ドルのイラン資金の凍結を解除すると報じられている。
新たな合意が、神経をすり減らす緊張を緩和するのであれば、それでいいのだが、イランが、握手したり、グータッチしたり、署名したりして合意を結んでも、守らないことはよく知られている。
イランと、米国、英国、ロシア、フランス、中国、ドイツ、欧州連合(EU)で構成されるいわゆるP5+1が承認した2015年のイラン核合意「包括的共同行動計画(JCPOA)」は、経済制裁の緩和と引き換えに、イランの核開発計画の大半を10年間停止することを求めていた。
イスラエルがイランの核兵器研究に関する膨大な極秘文書を発見したという衝撃的な出来事により、トランプ大統領(当時)は2018年、米国によるイランとの取り決めの順守を打ち切った。
今回の交渉でイランが信頼できると信じる理由はほとんどない。経済制裁に反して原油を輸出するイランの能力を考えれば、なおさらだ。
インドや中国など、欧米の金融システムの外で取引を行う手段を持つ国々に原油を売ることで、イランは2022年に記録的な原油収入を得た。
ハメネイ師の挑発にも、イスラエルによるイランの核兵器開発計画の暴露にもかかわらず、バイデン氏の交渉担当者らは、恥ずかしいほどの馬鹿正直さで交渉を突き進めている。
正式な核合意がイランとの平和促進に失敗した今、文書化されない非公式の合意も同様に失敗する運命にある。