テキサス州が不法移民3万人を民主党の「聖域都市」に移送
By Stephen Dinan – The Washington Times – Friday, August 11, 2023
米テキサス州のグレッグ・アボット知事は、3万人以上の移民を同州から全米の聖域都市(不法移民に対して寛容な措置を取る都市)にバスで移送したことを明らかにした。これはバイデン大統領の国境政策に反対する上で最も効果的な共和党の広報活動を展開したという勝利宣言だ。
この戦略は2022年春、連邦議会議事堂近くにバス1台分の移民を降ろしたことから始まった。それ以来、首都ワシントンには1万700人以上の移民が移送された。
一方、現在アボット氏の移送リストのトップにあるニューヨーク市には1万1500人の移民が送られ、エリック・アダムス市長を苛立たせている。さらに4900人がシカゴに、2100人がフィラデルフィアに、520人がデンバーに、290人がロサンゼルスに送られた。
「バイデン氏が職務を果たし国境を守るまで、移民を聖域都市にバスで送り続ける」。アボット知事は11日、X(旧ツイッター)にこう書き込んだ。
アボット氏は、テキサス州が受けているバイデン氏の政策による痛みを少しでも聖域都市に感じさせることが目標だと述べている。
この3万人という数字は、過去1年半の間にテキサス州で拘束・釈放された数十万人の移民のごく一部にすぎない。しかし、わずかな数でも他の地域に送ったことで抗議の声が上がり、民主党の当局者らはホワイトハウスの不作為を非難するようになった。
ニューヨークのアダムズ市長は今週、これ以上の移民は受け入れられないと述べた。
アダムズ市長は大統領に非常事態を宣言するよう要請。市長は現在の状況を「危機」と呼んだが、これは大統領とその側近が避けてきた言葉だ。
ニューヨークは特に最近、アボット氏のバス移送キャンペーンの標的となっており、ここ2週間だけで約1000人の移民が送り込まれた。
アダムズ氏によると、同市には移民が毎週3000人近くやって来ているという。つまり、バス移送キャンペーンが占めるのは、現在ニューヨークに現れる移民の20%未満ということになる。
それ以外は、連邦政府やバイデン政権が移民を目的地に到着しやすくするために資金提供している非営利団体の支援を受けてやって来る。
アダムズ氏は、移民を移送するテキサス州を特に批判し、左派の声高な批判に加わっている。
テキサス州当局が11日、シカゴに向かうバスの1台に乗っていた子供の死亡を明らかにしたことで、こうした批判はさらに強まりそうだ。
当局によると、この子供は他の移民と同様、バスに乗る前に検査を受け、病気の兆候はなかったという。しかし、途中でこの身元不明の子供に「健康上の懸念が現れ」、手当てを受けて病院に運ばれたが、そこで死亡が確認された。
テキサス州によると、バスで移送される人は事前に行きたいかどうかを尋ねられる。その子供が乗っていたバスでは、移民たちはシカゴ行きの意思を確認する同意書にサインしたという。
「それぞれのバスに食料と水が積まれ、車内で配られる。途中で停車して燃料を補給し、運転手が交代する。移民はこれらの停車地で食料を追加購入したり、下車したりできる」と、テキサス州当局者は説明した。
アボット氏は2022年4月にバス移送キャンペーンをワシントンから始め、1年前の8月上旬にニューヨーク、同下旬にシカゴ、11月にフィラデルフィア、今年5月にデンバー、6月にロサンゼルスを移送先に加えた。