民主党、AIが差別助長、規制法案を提出
By Ryan Lovelace – The Washington Times – Friday, September 22, 2023
民主党の上院議員十数人が、新たな人工知能(AI)規制「2023年アルゴリズム説明責任法案」を提出した。雇用、教育、住宅などを巡る判断に影響を及ぼす自動化ツールによって生じうる差別を抑制することを目的としている。
法案によって、連邦取引委員会(FTC)はAI規制の策定を義務付けられ、規制を執行するための75人の職員採用に必要な予算が充当される。
法案の筆頭提案者であるロン・ワイデン(民主、オレゴン州)、コリー・ブッカー(民主、ニュージャージー州)両上院議員は、AIツールによってすでに教育、雇用、医療、住居に関する判断を巡って差別が生じていると指摘した。
ワイデン氏は「法案によって、これらのシステムを公開し、重要な決定を担う人工知能が実際に機能し、どこに住み、どこの教会に行き、肌の色が何かを基に偏見を助長させることのないように、継続的に試験を行うことを義務付ける」と語った。
ブッカー氏は、自動化されたツールによって、病院で黒人患者が抱える問題が過小評価され、女性やマイノリティーが雇用で差別されていると訴えた。
この上院議員らは、既存の差別撤廃政策でこの問題に対処するのではなく、FTCにこの問題に取り組ませようとしている。上院議員によると、法案は、企業がAIを業務に適用した場合の影響を評価することを義務付け、その評価に関する規則を作るようFTCに命じるものだという。
法案の共同提案者エリザベス・ウォーレン上院議員(民主、マサチューセッツ州)は、「この法案は、アルゴリズムの影響に関する透明性の確保に役立ち、FTCに消費者保護を強化する権限を与える」と述べた。
共和党議員らはFTCを信用しておらず、一部の共和党議員は、AIを規制する新たな法律を作ることに疑問を呈している。
今月初め、テッド・クルーズ上院議員(共和、テキサス州)はFTCのリナ・カーン委員長に書簡を送り、差別や偽情報の問題に対処するためにAI規制を強化するFTCの方針に懸念を表明した。
クルーズ氏はその後、議員やバイデン政権がAIの問題を大げさに宣伝し、連邦規制を強化しようとしていると述べた。
上院商業委員に所属するクルーズ氏は同委の委員らに、AIに関して議会が恐れなくてはならないのは議会そのものだと語った。
クルーズ氏は文書で、「私たちが直面している最大の存亡の危機は、私たち自身だ。現時点では、議会はAIについてほとんど理解していない」と警告した。
クルーズ氏は、米国は欧州のような強力な規制案の真似をすべきでないと主張、「規制を課す前にいったん立ち止まる」よう呼び掛けた。
だが、バイデン大統領は立ち止まる気はないようだ。国土安保省サイバー・インフラ安全局(CISA)のジェン・イースタリー局長によると、ホワイトハウスは、バイデン氏が年内に署名できるよう、AIを巡る懸念に対処するための大統領令を準備している。
バイデン政権は、議会がAIに焦点を当てた新法に合意する前に、AIを取り締まる構えだ。チャールズ・シューマー上院院内総務(共和)は、ケビン・マッカーシー下院議長(共和)とAI法案について話し合ったが、成立を急がないよう警告した。
民主党が上院に提出したアルゴリズムに焦点を当てたAI法案と対になる法案が、イベット・クラーク下院議員(民主、ニューヨーク州)によって提出された。アルゴリズム説明責任法案は昨年も提出されたが、可決されていない。