現実となるAIへの反発 大量の電気・水を消費、雇用への影響に懸念も

(2025年12月31日)

エネルギー業界は、電力消費量の多い人工知能システムの利用拡大により電力消費量の大幅な増加を見込んでおり、立法者はそのコスト負担が一般消費者に及ぶのを防ぐ方法を模索している。AIコンセプトファイル画像クレジット:Blue Andy via Shutterstock.

By Susan Ferrechio – The Washington Times – Monday, December 22, 2025

 米出版社メリアム・ウェブスターが選んだ今年の言葉は「slop(スロップ=低品質なもの、ごみ)」だった。この言葉は、膨大なエネルギーを消費するデータセンター、模造された俳優やテレビCM、止めどなくネットに流れてくる偽情報など、人工知能(AI)に関連するあらゆるものに対して抵抗感が高まっていることを象徴している。

 トランプ大統領は就任後数日で、中国ではなく米国が「AIの世界的リーダー」になることを確実にするための大統領令を発令した。

 しかし、この取り組みに懸念を抱く国民が増加している。AI技術が仕事を奪い、社会を劣化させ、さらにはエネルギーコストを押し上げ、水資源を枯渇させる恐れがあるからだ。

 フロリダ州のロン・デサンティス知事(共和党)は、AI開発に関する最近の座談会で「彼らが売り込もうとしているこの物語を、私は信じない」と語った。

 国民は、AIの描く未来に嫌気が差し始めている。

 マクドナルドはクリスマスの2週間前、45秒のAI生成ホリデー広告を削除した。視聴者から「悪趣味」と評されたからだ。その広告には、偽の冬景色の中で、AIが生成した賑やかで、ばたばたと忙しいクリスマスの喧騒から逃げ出し、偽のマクドナルドの店内で、デジタルで作成された客が安らぎを見いだす光景が描かれていた。

 AI生成コンテンツの浸透が非常に速かったことから、メリアム・ウェブスターの編集者らは「スロップ」を今年の言葉に選んだ。この言葉はメリアム・ウェブスターでは「通常、AIを用いて大量に生産される低品質なデジタルコンテンツ」と定義されている。

 AI生成動画がソーシャルメディアにあふれ、閲覧者は自分が見ているものが本物かどうかを疑うようになっている。AI生成の楽曲も登場しており、ヒット曲を生み出す「全員AI」のバンドまで現れた。

 音楽メディアサイト「ビルボード」は今月、「AI音楽は今や音楽界の話題の中で主流となっており、人間が作った作品と市場で競合している」と報じた。

 AIソフトウエア会社のゼブラキャットの推定では、ソーシャルメディア上の動画コンテンツの40%をAI生成動画が占めている。同社は、消費者の半数以上が一般的な動画よりもAI生成コンテンツを「好む」と指摘しているが、全米調査では、一般の人々の見方は複雑であり、ほとんどがこの技術に不信感を抱いていることが示されている。

 ピュー・リサーチ・センターの調査によると、多くの米国の成人がAIに対して否定的な見方をしており、AIが人々の有意義な関係を築く能力を悪化させると考えている。また、成人の半数以上が日常生活でAIの存在感が高まっていることを懸念している。11月にギャラップが発表した世論調査では、成人の77%が、企業がAIを「責任を持って」使用するとは考えていない。

 AIチャットボットの台頭は、子供へのリスクも高めている。チャットボット「キャラクターAI」は最近、18歳未満と会話することを禁止した。これは、テキサス州のマンディ・ファーニスさんの提訴を受けたものだ。ファーニスさんは、ボット上のAIキャラクターが性的・暴力的な表現を使用し、それが自閉症の息子の自傷行為につながったと主張している。

 デサンティス氏は、フロリダ・アトランティック大学で行われたAI座談会で、この技術に対する嫌悪感を表明した。

 「あんなものはすべて、中身のないスロップだ。好きでやっているんならそれでもいいが、中国に勝つために必要だなんていうのはやめてほしい。偽の歌や偽の動画、その他もろもろだ」

 こうした反発が起きる一方で、トランプ氏は米国が中国とのAI競争に勝つための措置を講じている。

 AIは単に「スロップ」を量産しているだけではない。

 AIは科学や医学において大きな進歩を遂げ、政府の効率を向上させ、米国の情報機関による脅威分析を支援してきた。全米科学・工学・医学アカデミーによれば、アルツハイマー病やパーキンソン病などの研究を加速させた。AIの進歩は、スマートホームの管理や車のルート案内など、多くの人が気づかないところで日常的に国民の役に立っている。

 トランプ氏は12月、メタ、アマゾン、グーグル、マイクロソフトなどのAI企業が米国に数兆ドルの投資を行う計画だが、州法が障害となる可能性があることを指摘した。

 トランプ氏は今月、政府に対し、州によるAI規制を阻止し、国家のAI政策を規定する連邦指針を作成するよう指示した。

 トランプ氏のAI訴訟タスクフォースは、州のAI関連法に異議を申し立て、トランプ氏の連邦政策でそれらを無効化するためのものだ。パム・ボンディ司法長官の命令で設置され、州のAI法を巡って法廷で争うことのみを任務とする。

 トランプ氏は、「私は大手企業すべてと話をした。承認、あるいは不承認の窓口が一つでない限り、これは成功しない。50カ所に足を運ぶわけにはいかない。私たちは団結しなければならない。中国が団結しているのは、1票しかないからだ。それは習近平国家主席が持っている」と語った。

 一方、デサンティス氏はその真逆だ。AIの弊害や巨大データセンターのコストから州を守るための「AI権利章典」を提案している。

 AIに反対している政治リーダーはデサンティス氏だけではない。

 州や地方の当局者はAIの急速な進歩を遅らせ、あるいは停止させる動きを見せており、地域コミュニティーは居住区への巨大なAIデータセンター建設を阻止している。

 12以上の州の郡が、騒音、エネルギーコスト、膨大な水の消費への懸念から、大規模な「ハイパースケール」データセンターを阻止するための措置を講じている。

 バージニア州ウォーレントンの住民は、郊外に22万平方フィート(約2万平方メートル)のアマゾンのデータセンターを建設する計画を承認した議員を落選させた。新たに選出された議会は7月、ゾーニング条例の改正を全会一致で承認、将来のデータセンター建設を禁止した。

 インディアナ州のいくつかの郡でも、ウォーレントンで計画されていたようなハイパースケールデータセンターの建設を一時停止(モラトリアム)した。

 データセンターはすでに電気代を押し上げており、2030年までに米国の全電力の約12%を消費するようになると予測されている。

 また、プロセッサーを冷却するために、1日あたり最大30万ガロン(約1135キロリットル)もの膨大な水を必要とする。

 データセンターへの地域社会の反発を受けて、一部の共和党議員は、トランプ氏が取り組む米国内での急速なAI推進に疑問を呈したり、反旗を翻したりしている。

 間もなく辞職するマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(共和党、ジョージア州)は、AI推進のためのトランプ氏の大統領令は行き過ぎだと警告した。

 「中国と競うということは、中国のようになることを意味しない。州の権利を脅かし、人々の仕事を奪い、大量の貧困を生み出し、環境や重要な水源に壊滅的な影響を及ぼすことはあってはならない。慎重で賢明なアプローチが必要だ。AI大統領令はその逆を行っている」

 マッキンゼー・グローバル研究所の11月の報告書によると、現在のAI技術で作業時間の57%を代替できる可能性がある。報告書は仕事がなくなるというよりも、人間とAIの協力関係が深まると予測している。

 「その過程で、一部の役割は縮小し、一部の役割は成長したり移行したりする。その一方で新しい役割が出現する。仕事は、人間と知的なマシンのコラボレーションを中心に展開されるようになるだろう」

 議会では、AIが国家に与える影響について議論が続いている。一部議員は、AIの進歩を遅らせるための法的措置を求めている。

 最近行われた下院国土安全保障委員会のAIに関する公聴会で、アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員(民主党、ニューヨーク州)は、州にはこの技術を規制する権限があり、トランプ氏の大統領令はその権限を奪うものだと批判した。

 「このようなことが起きている一方で、AIチャットボットが子供たちを自死に追い込み、AIデータセンターが電気代を急騰させ、地域社会を汚染している。そして、多くの国民が、AIに仕事を奪われ、永久に失業するのではないかと心配している」

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