親よりソーシャルメディアから人生学ぶ10代が増加-調査

(2023年12月19日)

路上で携帯電話を持つ若者たち。ファイル写真:Carballo via Shutterstock.

By Sean Salai – The Washington Times – Wednesday, December 13, 2023

 最新の調査によると、自由時間のほとんどを、家族や友人と過ごす現実世界よりも、「TikTok(ティックトック)」やインスタグラムといったネットの世界で過ごすティーンエージャーが増えている。

 ピュー・リサーチ・センターが11日に発表した調査によると、13~17歳のティーンエージャーの半数近くが、インターネットを「ほぼ継続的に」利用していると回答、2014~2015年に行われた同様の調査の24%からほぼ倍化していることが分かった。また、ほぼ5人に1人がユーチューブやティックトックを「ほぼ継続的に」利用していると答えている。

 ピューは、公衆衛生当局からの警告や、中国資本のティックトックを禁止しようとする政府の努力にもかかわらず、ソーシャルメディアの利用は2022年春の前回調査以降も「比較的安定している」と指摘した。今年の調査では、10代の若者のほとんどがスマートフォンを使ってインターネットを利用しており、95%がスマートフォンを持っていると答えた。

 ピューの研究者モニカ・アンダーソン、ミシェル・ファベリオ、ジェフリー・ゴットフリート氏らは、この調査の中で、「スマートフォンの所有率は、性別、年齢、人種、民族、経済的背景の異なる10代の間でほとんど変わらない」と述べている。

 新型コロナウイルスの大流行以来、精神衛生の重要性を訴える人々は、ソーシャルメディアが若者の間で不安、うつ病、自殺のリスクを高め、「孤独の蔓延」を助長していると非難してきた。また、ソーシャルメディアは若者の間で増加する精神衛生の危機の原因そのものというより、その兆候の一つだという意見もある。

 学校や教会に青少年の自殺防止について助言している弁護士のテレサ・サイドボサム氏はワシントン・タイムズにこう語った。「精神衛生上の懸念が高まり、全体に虚弱になっている。特に若者の間で顕著だ。依存性のあるソーシャルメディアは、若者を下降スパイラルに巻き込む。これは、強い不安感、強靭さの欠如、自殺率の増加など多くの症状として表れる」

 一方、ソーシャルメディアを運用するメタ、バイトダンス、アルファベット、スナップは、これらの問題のスケープゴートにされていると反論する。これらの企業のうちの一部はワシントン・タイムズへの声明で、保護者の同意ガイドライン、コンテンツモデレーション(投稿監視)ポリシー、年齢相応のコンテンツに視聴者を誘導するアルゴリズムなど、10代の若者への懸念に対して対策を講じていると訴えた。

 アルファベットのグーグルが所有する動画ストリーミングサイト、ユーチューブの広報担当者は「ユーチューブでは以前から、若者のプライバシー、安全、精神的衛生、健全性を業務の基礎としてきた。私たちは、ユーチューブが10代の若者の生活に果たす重要な役割を認識し、ユーチューブを利用する時間が有意義な時間になるよう真剣に取り組んできた。外部の専門家との緊密な協力のもと、青少年のための年齢に合った体験と保護、親による家族への管理ができるよう努力している」と述べた。

 インスタグラム、フェイスブック、スレッズ、ワッツアップを運用するメタの広報担当者は、10代の若者とその親が責任を持ってアプリを使用するための「30以上のツールとリソース」を開発したと述べた。これらのツールには、プライバシーの設定や、親が閲覧時間に制限を設ける方法などが含まれている。

 バイトダンス傘下のティックトックの広報担当者によると、ティックトックでは、13~18歳のユーザーの閲覧時間を自動的に1日60分に制限し、10代の若者への深夜の通知を無効にし、親が子供とアカウントをリンクできるようにし、成人向けのコンテンツをフィルタリングし、精神衛生を支援し、危険な投稿や誤解を招く投稿を検閲する「4万人以上の安全の専門家」を雇用しているという。

 新型コロナで学校や社会的施設が閉鎖された際には、子供や10代の若者の閲覧時間は増加、それとともに精神衛生に関する苦情も増加した。最新の報告によると、新型コロナの規制が弱まっても、どちらも上昇したままであり、ペアレンタルコントロールを使って子供のネット利用を制限している親はほとんどいない。

 ギャラップ社が10月27日に発表した思春期の子供と親を対象とした調査によると、米国の10代の若者は今年、1日平均4.8時間を七つのソーシャルメディアアプリのうち少なくとも一つに費やしていた。七つとは、ユーチューブ、ティックトック。フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、ウィーチャット、ワッツアップだ。

 この調査によると、これらのアプリを1日5時間以上利用する10代のうち41%が、激しい怒りや不安、抑うつを感じ、自殺のリスクが高まったと報告している。それに比べ、アプリの利用時間が1日2時間未満の若者のうち、こうしたネガティブな感情を経験したのは23%に過ぎなかった。

「助けになるか邪魔になるか」

 精神衛生の専門家によれば、このような調査結果は、子育てをバーチャルベビーシッターに委託する大人が増加し、若者が自分だけで不安やうつに直面するようになっているという現実を浮き彫りにしている。また、バーチャル世界を主な人間関係の源としている子供は、感情的に成長しない可能性が高いという調査結果があることを指摘している。

 「重度の不安症」の娘を持つ母親で、不安症に関するベストセラー児童書の著者であるアマンダ・ベーコン・デイビスさんは「親の関与に代わるものはない。子供たちがストレスや不安を乗り越えられるようにするには、時間とエネルギーが必要」と主張する。

 ディザレット・ニュース紙が12月5日に発表した家庭を対象とした年次調査では、ネット上の犯罪者、閲覧時間、不適切なコンテンツに対する懸念の中で、ほとんどの親がソーシャルメディア企業に対する政府の規制を支持していることが分かった。また、大半の親は子供のソーシャルメディア利用を制限する措置を取っていない。

 ディザレット・ニュースは、6割以上の親が、10~18歳の子供がインスタグラム、ティックトック、ユーチューブにアクセスすることを許可していることを明らかにした。また、5割以上の親が、子供がフェイスブックとスナップチャットを利用していると答えた。

 全米遠隔医療ネットワーク「グロー・セラピー」の認定セラピスト、ジョシュア・ゴールドマン氏は、親の方も多くが精神衛生をめぐって苦労していると述べた。

 ゴールドマン氏は、「残念なことに、ほとんどの親は、フルタイムの仕事をし、大きな困難に直面し、それでも子供の前では良い模範でなければならないという非常に困難な立場にある。多くの子供たちは、メディア依存を強め、それが成績の低下につながることも多い。また、学校側の体制も、好奇心や創造性を育み、人間関係を築くためのアプローチとしては時代遅れなものがほとんどだ」と指摘した。

 しかし、こうした傾向はユーチューブ、ティックトック、インスタグラムのせいだと主張する人ばかりではない。慎重かつ限定的な使い方をすれば、若者にとってソーシャルメディアは助けになると指摘する専門家もいる。

 アイルランドのリマリック大学のスポーツ心理学者、ジョン・ペリー氏は「もし(ソーシャルメディアが)存在しなければ、他の方法で交流するはずだ。それはそれで、精神衛生にさまざまな影響を及ぼすことだろう」と指摘した。

 ボストン大学の公衆衛生研究者、モニカ・L・ワン、キャサリン・トガー両氏は、医学誌JAMAペディアトリクスに11日に掲載された論文で、ワクチン、病気、ダイエットに関するソーシャルメディア上の誤った情報によって、少女や、社会から疎外された10代の若者が摂食障害などの「有害な行動」を取る可能性が統計的に高まっていると指摘した。

 両氏は論文で「しかし、青少年のソーシャルメディアの利用を一律に制限することが、これらの課題に対する答えになるとは限らない。適切な保護策の下で、十分な情報を得た上でのサポートがあれば、ソーシャルメディアは建設的なつながりを促進し、精神衛生を損なうよりも、むしろ高める大きな可能性を秘めている」と指摘している。

 一方で、ソーシャルメディア中毒は問題をさらに悪化させる可能性があると指摘する専門家もいる。これらの専門家らは、多忙で疲れ切った片親、離婚した親、未婚の親の増加により、かつて子供を育んできた伝統的な構造が崩壊しつつあると主張している。

 レストランチェーン、チックフィレーのオーナーらが始めたキリスト教系の里親制度「ウィンシェイプ・ホームズ」のカウンセラー兼臨床責任者、フィル・ブラッドフィールド氏は、対面での人間関係が希薄になるにつれ、若者は共感性を欠き、自分は宇宙で孤独な存在だと思い込むようになると言う。

 「多くの大人が『今の子供たちのどこが間違っているのか』を問うが、『今の子供たちに何が起こっているのか』

を問うべきだ。技術とソーシャルメディアの進歩により、人々は一日のうちに、以前の世代が一生のうちに経験するよりも多くの悪いニュースにさらされている。これらの進歩は、社会が知恵を獲得する能力を超えている」

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