中国、ロシアの支援で高速炉建設 核兵器用プルトニウム生産が目的か
By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, January 23, 2024
空軍シンクタンク、中国航空宇宙研究所(CASI)は最新の報告で、中国がロシアの支援を受けて建設を進める新型の原発は、核兵器増強に必要なプルトニウムを生産するためのものとの見方を示した。
この原発は2基の高速中性子炉を備え、台湾の対岸の中国福建省沖の島で建設が進められている。1基は2017年に建設が開始され、昨年末に発電を開始したとみられ、2基目は2026年に稼働する予定だと分析されている。
報告は、この2基の原子炉でプルトニウムが生成され、それらは「急速に拡大が進められている中国の核兵器の製造に使用される可能性がある」と指摘している。
これらの原子炉が、中国が増強を急いでいる核兵器計画の一部ではないかという疑惑は、最初に建設が始まった年に指摘されていた。同年、中国は国連の監視機関である国際原子力機関(IAEA)へのプルトニウム備蓄の報告を停止した。
ブルームバーグ・ニュースは2月、ロシアの国営原子力企業ロスアトムが、福建省で建設が進められている原子炉で使用する6.5トンのウランを中国核工業集団に引き渡したと報じた。
その1カ月後、ジョン・プラム米国防次官補(宇宙政策担当)は下院軍事小委員会の公聴会で、中露の核協力の拡大によって中国の新型核弾頭の製造はさらに進むと語った。
「この点での中露協力は非常に厄介だが、さらに厄介なのは、増殖炉がプルトニウムを作るためのものであり、プルトニウムは兵器を作るためのものであるという事実だ」と述べた。
報告は、中国の核弾頭保有量は急速に増加しており、高速中性子炉のプルトニウム生産能力を考慮に入れると、2030年までに1270発に達する可能性があるとしている。
国防総省の中国軍に関する最新の年次報告は、「中国は新しい高速増殖炉と再処理施設を使って核兵器計画のためのプルトニウムを生産するとみられるが、中国はこれらの技術は平和目的だと公言している」と指摘している。
CASI報告は45ページからなり、中国とロシアの原子力協力は、3月に署名された協力関係強化に関する合意を受けて拡大していると指摘している。調査によると、原子炉はロシアの支援を受けて中国核工業集団公司によって開発された。
ロシアのOKBMアフリカントフ社は、原子炉の運転と核燃料の取り扱いのための主要機器、安全システムの計算コード、サービス・技術サポートを提供したと報告されている。また、ロシアの専門家は中国の職員の訓練にも協力したという。
原子炉の試験装置と燃料は、ロスアトムの核燃料会社TVELの子会社であるロシアのマシノストロイテルヌイ・ザボド(MSZ)が供給した。
報告は「この原子炉は、単に電気を供給するだけでなく、高速炉が増殖炉、つまりプルトニウムを生産する原子炉として機能する能力を実証することを意図している」と指摘している。
また、原発は福建省霞浦県の島にあり、大出力の高速中性子炉を備えたロシア国外初の原発となるという。
高速中性子炉は高速炉とも呼ばれ、高速の中性子によって核分裂連鎖反応が持続する。熱中性子炉として知られる原子炉もあり、遅い熱中性子が使用される。
核不拡散政策教育センターのヘンリー・ソコルスキー事務局長は、「高速炉は効率よく電気を作るのには不向きだが、超兵器級プルトニウムを作るのには最適だ」と述べた。
「憂慮する科学者同盟」は今月初めに発表した中国の核兵器に関する報告で、中国の核兵器の近代化が近年加速し、拡大していると指摘。霞浦に建設される民生用原子炉CFR-600を使用することで、かなりの量のプルトニウムを入手する可能性が高いと述べている。
2023年10月の衛星画像に写っていた冷却塔から立ち上る蒸気の様子から、1基目が稼動していることが判明した。