子供の性転換を禁止 知事の拒否権覆す―オハイオ州
By Valerie Richardson – The Washington Times – Wednesday, January 24, 2024
オハイオ州上院は、議論を呼んでいた「トランスジェンダー法案」に対するマイク・デワイン州知事(共和)の拒否権を覆し、未成年者の性転換処置とトランスジェンダー選手の学校スポーツへの参加を禁止した。
デワイン氏は昨年12月29日に下院法案68(HB68)に拒否権を発動していたが、上院は1月24日、24対8の圧倒的多数の賛成で拒否権を覆した。下院は1月10日にすでに同様の表決を行っている。
上院の審議にはクロエ・コールさんも出席していた。コールさんは15歳で性転換プロセスの一環として乳房を切除し、17歳で元の性別に戻った「ディトランジショナー(性転換をやめる、または中止した人)」。医療ミスで医師らを訴えている。
コールさんは「きょう、オハイオ州は知事の拒否権を覆して、子供の権利を守り、女性のスポーツを守ることに成功した。議会は信じられないほど意欲的に取り組んでくれた。子供の性器切除、ジェンダー思想はこれで終わる」と語り、表決を歓迎した。
この表決により、HB68は90日後の4月23日に施行される。オハイオ州は未成年者に対する性転換治療を制限する22番目の州となり、トランスジェンダーの選手が性自認に基づいて女子の学校スポーツに参加することを禁止する24番目の州となる。
上院共和党がこの法案を可決するには、5分の3以上、つまり20票の賛成が必要だったが、民主党の激しい反対にもかかわらず、共和党はこのハードルを難なくクリアした。
ケント・スミス州上院議員(民主)は議会で「この法案では、子供や青少年を守れない。トランスジェンダーやジェンダーノンコンフォーミング(性別不適合)の子供の権利を法的に制限することになる」と反発した。
審議に混乱がなかったわけではない。トランスジェンダーの人々が議員らに向かって抗議の声を上げ、「イエスは幼い子供たちを愛している」という歌を歌い、警備員に退場させられるという一幕もあった。
反対派はこの拒否権が覆されたことを非難し、提訴すべきだと訴えた。民主党が強い少なくとも8州が、性転換治療を禁止する同様の法律をめぐって提訴されている。
人権団体「全米市民自由連合(ACLU)オハイオ」は「これは恥ずべき立法行為だ。私たちは全力で闘う」と表明した。
ヒューマン・ライツ・キャンペーンは「この政治家らは、トランスジェンダーの若者のことを、彼らの両親や医師よりもよく知っているつもりになっている」と非難した。
一方、保守系団体「アメリカン・プリンシプル・プロジェクト」のテリー・シリング会長は、「ジェンダー思想から州の子供と家族を守るために行動した」議会に喝采を送った。
デワイン氏は拒否権発動後、18歳未満の性転換手術を禁止する行政命令に署名することで、共和党議員に歩み寄ろうとしたが、この命令でも未成年者が思春期抑制剤や異性間ホルモン剤を利用できることに変わりはないと批判されていた。
知事は24日の表決の前に、子供の治療を決める親の権利が奪われることへの懸念を改めて表明したが、拒否権が覆されたことに異議を唱えるつもりはないと述べた。
オハイオ・キャピタル・ジャーナル紙によるとデワイン氏は、「議会は、私が署名した法案や、私が拒否権を発動した法案を無効にする憲法上の権利を持っている。それが私たちの制度だ。私はそれを尊重する。この表決を支持するということではないが、私はこの制度を尊重する」と述べた。
上下両院の民主党議員で、賛成票を投じた者はいなかった。上院の共和党議員ネイサン・マニング氏も民主党に歩調を合わせた。
法案には、すでに性転換薬の服用を開始している未成年者が、その服用を継続することを認める適用除外条項が盛り込まれている。
また、男女別学スポーツの擁護者らは、この法案によって女子学校スポーツで公平な競争条件が確保されることになると、この法案を歓迎した。
自由防衛連合(ADF)上級顧問のクリスティアナ・キーファー氏は、「この法律の保護のもとで、公正なスポーツ競技が守られる。女性は、不公平な生物学的優位性に直面することなく、自信をもって競争できなければならない」と述べた。