ロシアはテロを阻止できなかったのか―元米当局者
By Ben Wolfgang – The Washington Times – Sunday, March 31, 2024
ロシアがテロ攻撃を知っていながら未然に阻止しなかったのかどうかについての疑問が渦巻く中、元米軍当局者は31日、米国が130人超の死者を出したモスクワのコンサートホールでのテロ事件を回避するのに役立つ十分な情報をロシア側に伝えていた可能性が高いと述べた。
退役大将のマッケンジー元中央軍司令官は、ABCの番組「ディス・ウィーク」で、ロシアは米国からの警告を基にテロ攻撃を未然に防げた可能性が高いと考えていると語った。攻撃の警告の一つはモスクワのクロッカス・シティ・ホールへの攻撃の2週間前の3月8日に来ており、過激派がモスクワでのコンサートを攻撃しようとしているとはっきりと指摘していた。
3月22日のテロ攻撃はモスクワ会場でロックコンサート中に行われた。
マッケンジー氏は31日、「米国はロシアにかなり正確な情報を与えたと思う。IS-K(イスラム国ホラサン州)とこれらすべての組織が抱える問題は、彼らが海外でテロ攻撃を行う際、情報のやりとりをせねばならず、われわれにはそのやりとりを聞く機会がある」と語った。
「もし実際に提示された情報を聞いていたら、ロシアは今回のテロ攻撃をおそらく回避することができたと思う」
アナリストは、そのような場合に米国とロシア間の情報共有は難しいものであり、米国は敵に自分の利益を増進させることに使用できる情報を与えることに慎重でなければならないと言う。トランプ大統領の下で国務省のテロ対策調整官だったネイサン・セールス氏は、軍事行動や国内の政治的取り締まり、またその他の活動のために「敵対者はテロ対策を口実に用いることが多い」と最近、ワシントン・タイムズに語った。
テロ攻撃を受けて一部のロシア当局者は、その主張を裏付ける証拠がないにもかかわらず、IS-Kのテロ攻撃についてウクライナを非難している。ロシアはウクライナ侵攻を正当化するため、テロ攻撃の責任をウクライナに負わせようとした可能性がある。
ロシアがこのテロ攻撃を利用する方法は他にもある。その一つは、親ウクライナ組織やロシアの戦争努力に批判的なロシア人によって広く使用されているテレグラムのようなソーシャルメディアを取り締まることだ。
先週発表された国営メディアとのインタビューで、ロシアのペスコフ大統領報道官はテレグラムの創設者パベル・デュロフ氏を批判し、このアプリは「ますますテロリストが用いる道具となっており、テロリストの目的に使用されている」と述べた。
プーチン氏らロシア高官がクロッカス・シティ・ホールのテロ攻撃を知っていたとする直接の証拠はない。しかし、証拠はその方向を示しているようだ。
ロンドンに拠点を置く調査組織ドシエセンターは先週、ロシアの事前情報の可能性について新たな疑問を呈した。同センターは詳細な報告書で、モスクワのクロッカス・シティ・ホールへの3月22日の攻撃前に、「ロシアの情報機関はIS-Kを注意深く監視していた」と指摘した。
同センターによると、「テロ攻撃の数日前、(ロシアの)安全保障会議のメンバーは、タジキスタン市民がロシア領土へのテロ攻撃に利用される可能性があるという警告を受けていた」という。