米軍、空中戦にAIを投入

(2024年4月29日)

2022年8月26日、カリフォルニア州エドワーズ空軍基地上空を飛行するX-62 VISTAを捉えた空軍研究所提供の写真。(空軍撮影:Kyle Brasier)

By Ryan Lovelace – The Washington Times – Monday, April 22, 2024

 米軍はカリフォルニア州のエドワーズ空軍基地上空で人工知能(AI)が制御する航空機に対して有人のF16戦闘機を戦わせる初めての「AI空中戦」を完了したと述べた。

 空軍研究所(AFRL)は、最先端のAI技術で制御された実験機X62Aは、時速1930㌔の速度で飛行し、有人の敵機F16に600㍍圏内まで近づいたと語った。

 軍が今月、空軍テストパイロットスクール(USAFTPS)と国防高等研究計画局(DARPA)による画期的な成果を発表したことを受けて、ケンドール空軍長官はこの対戦を「変革の瞬間」と呼んだ。

 ケンドール氏は声明で「自律的な空対空戦闘の可能性は何十年も前から想像されていたが、現実は今まで遠い夢のままだった。2023年、X62Aは戦闘飛行で特に重要な障壁を打ち破った」と述べた。

 今月発表されたDARPAのビデオによると、X62A VISTAは事実上、飛行シミュレーター実験室を丸ごとF16の機内に詰め込んだような機体だ。

 DARPAによると、人間のパイロットがAI空中戦の間、機内にいたが、パイロットは航空機を制御するためにセーフティースイッチを入れることはなかったと言う。

 ロッキード・マーチンX62A主任飛行制御エンジニアとして働いていたキュー・ハリス氏はDARPAのビデオで、機内には飛行制御装置がAIから命令を受け取る統合スペースが設けられていると述べた。

 USAFTPSのジェームズ・バルピアーニ学校長(大佐)はビデオで、「今年、信じられないほどの大きな成果を挙げた。機械学習装置を、現実世界の環境にあるX62に搭載したことだ」と述べた。

 AI装置は2022年12月に初めて戦闘機の飛行経路を制御することに成功した。実験に取り組んでいるチームはその後、他のAIを実験機に組み込み始め、毎日訓練し、一晩でフライトプログラムを書き直したりもしてきた。

 X62Aは昨年9月に初めて有人F16と戦った。

 USAFTPSのマリアン・カーレン副校長(中佐)はDARPAのビデオで、「安全に注意を払いながら演習を行い築き上げてきた。最初は防御的、次に攻撃的、次いで高度な接近戦を行ってきた」と語った。

 AFRLもDARPAも、空中戦で機械と人間のどちらが勝ったかは明らかにしていない。

 DARPAのビデオによると、以前シミュレーターで人間のパイロットと対戦したAIは、「結局5対戦すべてで勝ち、人間を打ち負かした」。しかしシミュレーターのAIはまだ、パイロットの安全を確保する規則を順守するようには訓練されていなかった。

 AFRLよると、X62Aのシステムの開発に取り組んでいるチームは、21回のテスト飛行で、10万カ所以上の飛行に不可欠なソフトウエアの変更を行ったという。

 DARPAのプログラムマネジャー、ライアン・へフロン中佐は、「現実世界の環境で使用するには、これらのアルゴリズムは信頼できるものでなければならない」と述べた。

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