トランプ氏のリバタリアンへの働き掛け

(2024年6月2日)

2024年5月25日(土)、ワシントンのヒルトンで開催されたリバタリアン全国大会でスピーチする共和党大統領候補のドナルド・トランプ元大統領。(AP Photo/Jose Luis Magana)

By Editorial Board – The Washington Times – Tuesday, May 28, 2024

 ドナルド・トランプ前大統領は、自分が信じるもののために立ち上がることを恐れない。2020年の選挙で16%しか得票できなかったニューヨーク・サウスブロンクスのような場所であっても、大規模な集会を開く。

 トランプ氏は25日、リバタリアン党大会の出席者を取り込むため、これまでで最も敵対的な場所であるワシントン・ヒルトンに乗り込んだ。同氏の発言は、プロの政治家にありがちな平凡なものではなかった。

 トランプ氏は「この1年で、私は91の異なる件で政府に起訴された」と述べた。「だから、以前はリバタリアンでなかったとしても、今は間違いなくリバタリアンだ。ジョー・バイデンとは違って、私は自分の意見に反対だからといって人々を刑務所に放り込んだりはしない」

 演説では、左翼ファシズムの台頭と、自由の大義を抱くすべての人がそれを打ち負かすために団結する必要性について述べた。トランプ氏は、他人とうまくやっていくのが苦手な聴衆たちにとっては容易ではない、共通の土台を探った。

 重要な問題において、共和党の旗手であるトランプ氏は、正しい立場にいる。言論の自由、宗教の自由、銃規制の緩和、減税と規制緩和だ。現政権による権力の乱用に終止符を打ち、世界中での終わりのない戦争への米国の関与に歯止めをかけるだろう。彼は、現在司法省と連邦捜査局(FBI)を牛耳っている活動家を解雇することで、立憲的な法の支配を回復するだろう。

 11月にバイデン大統領を打ち負かすために、力を合わせようというリバタリアンへの呼び掛けにはヤジが飛んだが、自由を支持する人々が今日直面している問題の深さを、これ以上ないほど明確に表明した。

 「バイデンの下で目撃しているのは、マルクス主義左翼、ディープステート(闇の政府)、軍産複合体、政府のセキュリティー・監視部門、そしてその仲間たちの有害な融合であり、これらすべてが融合して米国の体制を醜悪に変質させている」とトランプ氏は述べた。「まさにその通りだ」

 トランプ氏が聴衆に約束したことは、ほぼ間違いなく実現するだろう。同氏は、内閣にリバタリアンを入れると言った。バイデン政権によって政治犯となった中絶反対派、1月6日議会乱入事件のデモ隊、そしてリバタリアン党の最優先事項であるオンライン市場「シルクロード」創設者ロス・ウルブリヒト氏を恩赦するという。これは良い取引だ。良識ある政治集会の聴衆であれば、迷わず受け入れるだろう。

 しかし、トランプ氏はリバタリアン党で演説していた。代表団は、物事を成し遂げるために強力な味方になる可能性のある人物に協力する代わりに、ドラッグクイーンと国境開放を愛すマスクを身に着ける人物をリバタリアンの顔として指名した。

 しかし、前大統領の言葉は会場であるヒルトンをはるかに超えて伝わった。投票所では、トランプ氏の寛大さが、まだ自由を信じているリバタリアンの心をつかむかもしれない。今回も接戦となる選挙では、それが勝敗を分けるかもしれない。

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