世界で火薬不足 中国の供給制限とウクライナ侵攻で
By Stephen Dinan – The Washington Times – Monday, June 3, 2024
戦闘中のロシアとウクライナは、1日に最大6万発の砲弾を発射していたことがあり、この春に米国のウクライナ支援が休止していた期間は1日平均、約1万2千発だった。
その結果、世界的な火薬不足となり、米国の個人向けの小売価格に影響が出始めている。
アモランド(銃火器系ニュースメディア)によると、個人消費者のリロード(銃弾の再利用)用の無煙火薬を供給するアライアント・パウダー社は販売を停止し、未処理の注文をキャンセルした。
オクラホマ州のディーラー、SGAmmoのオーナーであるサム・ガバート氏は、9㍉ルガーの価格変動はより広範な価格上昇の主要な指標だが、正確に何が起こるかを語るのは難しいと述べた。
ガバート氏は今年、ラスベガスの大会で、火薬危機が迫っているという話を聞いたと、オンラインで警告を発した。
ガバート氏はワシントン・タイムズに電子メールで、原因は「私の理解では、ニトロセルロースの供給の引き締めと、小口径(スポーツ)タイプの弾薬から、軍の兵器用の火薬に利用可能なニトロの製造へのシフトの両方だ」と述べた。
一部の銃器関係者によると、さらにビジネスを促進しようとしていることを示唆したが、危機感を感じ始めている人々もいるという。
全米射撃スポーツ財団の上級副会長であるローレンス・キーン氏は、問題は需要と供給の両側面にあると述べた。
世界的な紛争、特にロシアとウクライナの戦争は火薬の需要を急増させたが、ニトロセルロースと火薬を製造する米国の能力は限られている。
一部の報告によると、ニトロセルロースの主要な世界的サプライヤーである中国は、米国への出荷を制限しているという。
その結果、入手が困難になり、米国での生産が制限されてしまう。
弾薬市場の重鎮で、ビスタ・アウトドア社広報担当副社長のフレッド・ファーガソン氏は、「弾薬用の火薬は弾薬の口径を問わずどれにでも使用できる。小口径の狩猟用ライフルと同じ火薬が戦車や155㍉迫撃砲の砲弾に使用され、ウクライナとイスラエルの紛争で大量に使用されている」と述べた。
ファーガソン氏は、「従って、戦争での使用が増えており、私たちのような販売や法執行部門などの弾薬サプライチェーン(供給網)で不足が生じている」と語った。
同氏は、多くの弾薬がまだ市場で入手可能だが、価格は上昇していると述べた。
世界的な危機は主に米国では認識されていないが、欧州ではニュースで報じられている。フランスのマクロン大統領は3月、ウクライナの同盟国の会合でこの問題を提起した。