中国、独自の通信衛星群の配備急ぐ 米スターリンクを警戒
By Bill Gertz – The Washington Times – Thursday, June 6, 2024
中国は、イーロン・マスク氏の米スターリンクを模倣し、遠隔地からインターネットに簡単にアクセスできる小型衛星の開発に取り組んでいる。
オンラインニュースサイト「ワイヤー・チャイナ」は2日、上海格思航天科技(ジェネサット)が2023年末に、スターリンクの衛星に似たフラットパネル型衛星を公表したと報じた。この衛星はオートバイほどの大きさで、中国の宇宙開発競争の重要な部分を占め、スターリンクのように何千もの小型衛星を打ち上げ、中国版スターリンクを作ることを目指している。
ジェネサットのゼネラルマネジャー、カオ・ジン氏は、「以前は衛星の設計とカスタマイズに2、3カ月かかっていた。今、工場は1日半で1基の衛星を製造し、年間300機まで生産することができる」と語っている。
マスク氏のスターリンクは、ネットワーク用に6000基の低軌道衛星を配備している。同社の計画では、今後数年間で3万6000基を打ち上げる予定だ。一方のジェネサットが打ち上げた通信システム用の小型衛星は200基足らず。
中国はスターリンクを、国内の情報統制に対する脅威と見ている。アナリストによれば、中国のインターネットは、高度な検閲技術によって厳しく監視・管理されている。スターリンクに接続できれば、中国のネットユーザーがインターネットに自由にアクセスできるようになり、国民は中国政府が構築したネット検閲システム「グレートファイアウォール」を回避できるうようになる。
中国は2020年に通信衛星を使ったインターネット接続を国家の優先課題とし、1万3000基の衛星を打ち上げることを目指して「国網」を設立した。国網は中国衛星網絡集団(星網、チャイナ・サットネット)の管理下にあり、同集団は国有資産監督管理委員会の管理下にある。G60スターリンクと呼ばれる別の大規模衛星コンステレーションは、1万2000基の衛星を計画しており、そのうち648基が配備されている。
さらにもう一社、ロケット会社の上海陸宙紅青科技は、1万基の「鴻鵠3」衛星を配備する計画を発表した。
無数の衛星が軌道上を飛んでおり、それらは大量の宇宙ゴミになっていく可能性がある。しかし、軍にとってのメリットの一つは、多数の小型衛星があることで、将来紛争が起きた際にミサイルや妨害電波で衛星を狙う宇宙戦争の取り組みが複雑になることだ。
米陸軍は、主要な通信ネットワークが戦闘中に電子的に妨害された場合のバックアップシステムとして、高強度の暗号を使用した「スターシールド」と呼ばれるスターリンクの軍事バージョンを使用している。