不法移民の子供の人身売買被害が深刻化

2021年5月11日、テキサス州ローマで、米墨国境を越えて出頭した後、雨の中を収容施設で走る3人の若い移民。バイデン政権は、2021年に米国とメキシコの国境に到着した移民の子供たちを収容する施設を適切に審査し、監視するのに苦労した。これは、木曜日に発表された連邦政府監視団の報告書による。(AP Photo/Gregory Bull）

By Stephen Dinan – The Washington Times – Monday, July 8, 2024

　不法移民の子供たちが性的目的のためや労働力として売られていくという恐ろしい話を聞いたことがあるだろうか。人身売買の専門家であるジャロッド・サドルスキ氏が、そもそもどのようにしてこれらの子供たちがカルテルの手に渡ってしまうのかを教えてくれた。

　サドルスキ氏はカルテルを研究し、国境の両側で移民たちと話をして、人身売買業者が子供たちに何をしているかという恐るべき詳細を明らかにしている。

　中南米からの移民のほぼ全員が何らかの形で強盗に遭っていると同氏は語った。金を渡さず殺される者もいる。誘拐して、国際送金サービス「ウェスタンユニオン」に連れて行き、家族から金を受け取る場合もある。

　子供たちは国境の南で家族のもとから連れ去られ、米国で保護者のいない難民となる。米政府は彼らを米国内のあらゆるコミュニティーに送り込むが、そこではしばしば悲惨な運命が待ち受けている。性的人身売買もあるが、多くは強制労働である。

　「カルテルは、子供たちをスポンサーに預け、搾取することで、これを悪用している」とサドルスキ氏は語った。

　同氏は９日に共和党上院議員の円卓会議に出席し、自身の調査結果について話す予定だ。

　サドルスキ氏は最近、テキサス州マッカレンの保護施設訪問を含む国境訪問を終えた。施設の職員は、ある女性が自分の子供を手放すことを拒否したとサドルスキ氏に話した。女性は問い詰められると、職員に対し、自分に残されたのはその子だけなのだと言った。

　「その女性はメキシコのレイノサのすぐ南にある南西国境に向かう途中、シナロア・カルテルに襲われ、持ち物を奪われたと説明した。賄賂を払うお金がなかったため、すべての所持品だけでなく他の２人の子供も奪われた」とサドルスキ氏は話した。

　連れ去られた子供たちの多くは別々に国境に連れてこられ、保護者のいない未成年者として国境を越えるという。彼らは米当局から、身元引受人になり得る人の氏名を伝えるよう言われる。その身元引受人の元に引き渡されると、児童労働を強いられるのだ。

　サドルスキ氏が身元引受人宅にいる25人の子供を追跡する任務を負っている犯罪捜査官と話をしたところ、23人の子供は追跡できなかったという。

　「行方の分からない子供たちは、そもそも身元引受人と一緒に到着していないか、あるいは到着後に身元不明の人物に連れ去られたかだ」とサドルスキ氏は話した。「カルテルはクラウドを使ってこれを実行し、追跡している。つまり、ネット上に痕跡が残る」という。

　サドルスキ氏は、カルテルが人身売買経済の中心的存在であることと、国境の北へ連れてきた人々に対するカルテルによる冷酷な扱いを強調した。

　同氏によると、カルテルは移民集団の中や途中の避難所に工作員を配置し、強盗や誘拐の対象となる移民を探しているという。

　支払いができない移民は、さらに悲惨な運命をたどる可能性がある。サドルスキ氏は「ベネズエラ出身の人と話をしたところ、彼も（パナマとコロンビアの国境地帯にあり、移民の通過点となっている）ダリエン地峡で暴力に耐えてきた。彼はダリエン地峡にいる間、賄賂を持っていなかったために２人が強姦され殺害されるのを目撃した」と話した。

　メキシコのプログレソでは、移民たちが歩道で寝ているのを目にした。バイデン大統領の「仮釈放」プログラムで順番を待っているロシア人数人とも話をした。

　米政府は少なくとも1980年代から保護者のいない子供たちに悩まされてきたが、過去10年間でその数は増え、波のように押し寄せ、問題はさらに深刻化している。