台湾の国際機関への加盟妨害は不当 駐米代表が中国を非難
By Guy Taylor – The Washington Times – Thursday, September 19, 2024
中国共産党政府は、台湾の民主主義の正当性を認めないよう各国に圧力をかけ、国連やその他の主要な国際機関への加盟を阻止するため、世界的なキャンペーンを強化している――。台湾の在米外交官トップが語った。
台湾の駐米代表(大使に相当)、兪大●(さんずいに雷)氏は、来週ニューヨークで開催される国連総会を前にワシントン・タイムズの独占インタビューに応じ、中国の台湾に対する活動を中心に話をしたいと語った。
兪氏はワシントン・タイムズに対し、中国の活動の核となる戦術は、国連総会決議2758の解釈を誤らせることにあると語った。国連は台湾を加盟国として承認していたが、1971年のこの決議で初めて共産中国を承認した。兪氏によると、中国はこの決議の解釈を意図的に捻じ曲げて、台湾の国連加盟を否定するものだと訴えている。
さらに悪質なことに、中華人民共和国(PRC)は決議2758を、「台湾は中華人民共和国に属し、台湾は中華人民共和国のものであり、中国には台湾を統一する権利があることを示す法的な国際文書として利用している」という。
兪氏は、法律上の問題に聞こえるかもしれないが、中国のこの主張は、世界での台湾の地位に実際に深刻な影響を及ぼしていると述べた。
「だからこそ、決議2758のうそを暴くことが非常に重要になってくる。その決議文は短く、台湾についてまったく触れていないからだ。彼らの主張はでっち上げだ。決議はその点を明確にしておらず、台湾が自国のものであることを証明する法的な国際文書であるという主張もでっちあげだ」
「他国が台湾と交流できるかどうかについて触れていない。台湾が国連やその他の国際機関に加盟できるかできないかについても触れていない。私たちには国連に加盟する権利がある。私たちは主権を持つ独立国家だ」
12月にワシントンに赴任する前は欧州連合(EU)で勤務していたキャリア外交官の兪氏は、ワシントン・タイムズの動画シリーズ
「スレット・ステータス・インフルエンサー」(https://www.washingtontimes.com/specials/threat-status-videos/)で中国との緊張の高まりについて幅広く語った。インタビュー動画は19日に公開され、本紙ウェブサイトで見ることができる。
地域アナリストによれば、中国は台湾の友好国に国交を断絶させることに成功しており、それには開発援助の約束が付随することが多いという。最近では、太平洋の島国ナウルが1月、外交関係を台湾から中国に切り替えると発表した。この動きにより、台湾の正式な外交樹立国は世界で12カ国となった。
国際舞台で台湾を弱体化させようとする中国の活動は、中国の軍事行動という直接的な脅威の影に隠れている。
中国の軍事的脅威
中国の習近平国家主席は2019年以来、中国には台湾の民主主義を破壊し、共産党の支配下に吸収するために武力を行使する権利があると警告してきた。中国はウクライナに侵攻したロシアを支援しており、近年の台湾周辺での中国の軍事訓練によって、台湾に侵攻するのではないかという懸念が高まっている。
台湾は長い間、米国の重要なパートナーだ。民主主義体制のもとでインド太平洋地域で繁栄し、特に先端マイクロチップの分野では優れた技術を持っている。アップル、インテル、マイクロソフト、ロッキード・マーチンなど、米国を象徴する大手企業は、台湾のチップ産業に投資しているか、大きく依存している。
バイデン大統領はこれまでの米国の外交の伝統にとらわれず、中国が台湾に軍事侵攻すれば米軍は対応すると公言している。フィナンシャル・タイムズ紙は最近、2011年に国際テロ組織アルカイダのウサマ・ビンラディンを殺害した米海軍の特殊部隊シールズ・チーム6が、台湾が侵攻された場合に備えて、訓練を行っていると報じた。
兪氏は、「PLA(中国人民解放軍)による台湾への軍事侵攻の可能性はある」と指摘。PLAは「確実にその準備をして」おり、「先週、彼らは上陸演習を行った。…台湾の対岸でだ」と話した。
兪氏は現在の状況を「中国から絶え間ない攻撃」を受けていると表現、中国の戦闘機や艦艇が定期的に台湾を周回していると述べた。中国はまた、台湾に対して「経済的圧力」戦術を仕掛けたり、サイバー攻撃を行ったりしている。
「私たちは、米国などの友好国が、台湾を守るための姿勢を示したり、具体的な行動を取ったりすることを歓迎する」と述べた上で、「私たちの郷土を守る決意はできている」と強調した。
「防衛費を大幅に増やした。軍事的なハードウェアや装備を大量に購入した。また、軍人をよく訓練し、…民間防衛のために社会全体の回復力強化に力を入れ、市民が攻撃されるかもしれない状況に対処する準備をしている」
兪氏はまた、台湾はエネルギーと食糧の安全保障を強化し、「中国本土からの攻撃に備えて、総合的なアプローチを取っている」と述べた。
中国からの圧力は、インタビューをしている今も強化されている。中国は今週、台湾に違法に武器や軍用の部品を販売したとして、米企業9社への制裁を発表した。18日には、台湾の独立派政府が「挑発的な措置」を取ったとして、三十数種類の果物、野菜など農産物への関税免除を撤廃すると発表した。
米議会の民主、共和両党の台湾支持者らは、バイデン政権に、台湾の防衛力強化のための取り組みを強化し、遅れている台湾軍への約190億ドル相当の米軍兵器供与の約束を実行するよう求めた。一部ではバイデン氏は、台湾軍を米国と同盟国との合同軍事演習に参加させる重要な機会を逃したと指摘されている。マイク・ポンペオ前国務長官は今週、台湾を主権ある独立国家として米国が完全に承認することを支持すると発言したが、米高官でここまで踏み込んだ発言したのは元職、現職を含めポンペオ氏が初めてだ。
トランプ前大統領のもとで国家安全保障担当補佐官を務めたロバート・オブライエン氏は、現政権が世界最大の国際海上訓練である環太平洋合同演習(リムパック)に台湾を招待しなかったのは誤りだったと指摘した。
同氏はフォーリン・アフェアーズ誌で最近、「議会は2022年、政府に台湾を演習に招待するよう求めた。しかし、バイデンはそれを拒否した」と指摘した。
そのような招待に台湾はどう応えるかとの質問に対し、兪氏は「台湾が防衛力を強化するための取り組みや行動は歓迎する」と答えた。
「私たちは非常に大きな相手と対峙しており、非対称の戦術を用いてそれにどう立ち向かうか、技術的な方法によって、よく準備することによって、台湾の海岸に侵攻軍や上陸軍が上陸する可能性にどう対抗するか…それに資するいかなる行動も歓迎する」
「理不尽だ」
兪氏は、「台湾を軍事的に攻撃しようとすれば、大きな代償を払うことになる、あるいは攻撃しても勝てないということを認識させることが重要だ」と述べた。
また、台湾の民主的パートナーである欧米諸国が、中国の圧力作戦に対抗して台湾を支持する声を上げることの重要性を強調した。
兪氏は、「それによってあちらに台湾は孤立してはいないことを分からせることができる」と指摘、人口約2350万人の台湾が国連に加盟することが許されれば、多大な貢献ができると強調した。
「考えてみてほしい。技術や通信でリードしているにもかかわらず、台湾は国際電気通信連合ITUに加盟していない。これは理にかなっていない」
「世界の貿易の半分以上が台湾海峡を通っているのに、それを規制する国際機関に加盟できない。毎年100万機以上の飛行機が台湾や台湾海峡を通過しているのに、国際民間航空機関ICAOに加盟していない」
「理不尽だ。PRCの妨害と圧力のせいで、私たちはまだこれらの組織に加盟できていない」
兪氏は、中国から日常的に圧力を受けているにもかかわらず、台湾は新たな支持を得ていると主張した。
「他国からの台湾への支持は強まっている。私たちの参加が妨げられ続けることは正当でなく、正しくないからだ」