バイデン大統領、退任控え米中技術協定を延長 議会は破棄を要求
By Bill Gertz – The Washington Times – Monday, December 16, 2024
バイデン政権は、中国が米国の技術を盗用し、ハッキングを支援していることで、米国が依然、被害を受けていると批判されているにもかかわらず、中国との科学技術協力協定(US-PRC STA)を更新した。
国務省は13日、この夏に失効した1979年の協定を5年間延長したと発表した。
国務省は短い声明を発表し、延長によって知的財産の保護を強化し、研究者を保護するための新しいルールを作ることができるようになると述べた。国務省は、この協定は「透明性とデータの相互利用に関する条項が新たに設けられ、強化されたことにより、米国の利益を促進する」と主張している。
中国政府は、科学協定の更新を包括的な関係改善への一歩として歓迎した。
共産党機関紙、人民日報系列の環球時報によると、中国外務省の林剣報道官は13日、「協定の延長は、両国の技術の進歩を促進し、社会経済の発展を促し、グローバルな課題に対する協力を強化し、世界中の人々の幸福を向上させる」と述べた。
しかし米議会では、中国共産党に関する下院特別委員会のジョン・ムールナー委員長(ミシガン州)をはじめ、複数の下院議員がこの措置を非難した。同委員会は、科学技術問題での協力が中国軍を強化しているとの懸念から、協定の破棄を求めていた。
ムールナー氏ら14人の下院議員は、バイデン大統領の任期終了間近のこの時期に協定を更新することは、トランプ次期政権の「手を縛る明らかな試み」であり、トランプ政権は協定を拒否することも、より良い協定を交渉することもできると述べた。
議員らはアントニー・ブリンケン国務長官に宛てた書簡で「2025年1月20日以前にUS-PRC STAを更新する取り組みを直ちに中断するよう強く求める」と訴えた。
中国の技術窃取に関する2018年のホワイトハウスの報告書は、中国による技術窃盗が米企業に毎年2250億~6000億ドルの損害を与えていると推定している。元国家安全保障局(NSA)局長のキース・アレグザンダー氏は、中国による米国からの技術窃取を「人類史上最大の富の移転」と表現している。
NSAは最近、中国の情報機関とつながったハッカーが、スパイ活動と将来の破壊工作の両方の目的で、米国の通信会社や重要インフラのコンピューターネットワークに侵入していると述べた。
下院は最近、中国との科学技術協定を延長する場合、15日前に議会に通告し、人権保護と軍民両用可能な研究の抑制を明記することを義務づける法案を可決した。
「まだ法制化されていないとはいえ、バイデン政権による、議会が明示した保護策を無視する決定は憂慮に値する」と同委員会は声明で述べた。
国務省の発表によれば、改正された協定は、連邦政府による中国との科学技術協力が米国に利益をもたらし、米国の国家安全保障に対するリスクを「最小化」することを保証するものだという。また、新しい協定は「基礎研究」に限定され、重要技術や新興技術の開発を促進するものではないという。
海洋環境科学局は、ワシントン・タイムズ紙への協定文のコピーの提供を拒否した。報道官は、この協定はいずれ国務省のウェブサイトで公表されると述べた。
国務省は協定発表の中で、この延長は中国との戦略的競争を「責任を持って管理する」というバイデン政権の方針の一環であり、広範な協議と数カ月にわたる交渉の結果だと述べた。
米中間の緊張が高まる中、協定の延長は6カ月に制限されており、8月27日に期限切れとなっていた。
米議会調査局の報告書によると、協定に基づく中国の協力は一貫性がなく、中国は特定の分野で米国の研究者のアクセスを制限していたという。
議会内には、「(中国は)データの制限や科学的成果の共有について誠意がなく、信頼できない、あるいは信用できない研究パートナー」とする批判がある。
例えば、中国は2019年、武漢ウイルス研究所で行われた米国からの補助金によるコロナウイルス研究へのアクセスを遮断した。この研究所から致死性の高いウイルスが流出した可能性があり、一部の情報機関は新型コロナウイルスの発生源になったとみなしている。
特別委員会はまた、極超音速兵器や核兵器、人工知能(AI)、半導体などの分野で、連邦政府の研究資金が中国の軍事関連技術の発展をいかに助けたかを強調する報告書を作成したばかりだ。
トランプ次期大統領の国務長官候補であるマルコ・ルビオ上院議員(共和党、フロリダ州)は、この協定に反対しており、米国をスパイし、知的財産を盗む共産主義政権と協定を結ぶことは「あってはならない」と警告した。
国務省の政策顧問だったマイルズ・ユー氏は、この協定は中止されるべきであり、中国に対する米国の誤った関与戦略を反映していると述べた。
現在、ハドソン研究所の中国センターに所属するユー氏は、「その関与戦略は党派を超えて全く支持されていない。関与戦略によって、(中国が)強化され、米国を苦しめるようになったためだ。それを可能にしたのは米国自身だ」と述べた。
しかし、アメリカン・エンタープライズ研究所のロジャー・ピルケ研究員は、協力は米国にとって有益として、協定の継続に賛成している。
ピルケ氏は、議会調査局の報告書によれば、中国での国家統制が「(中華人民共和国=PRC=が)米国と(科学技術を通じて)結びつき、研究のギャップを埋め、産業政策で目標とする優先分野の能力(と知的財産)を開発し、PRCの能力を高めることを可能にしてきた」と述べた。