マスク氏「軽蔑すべき愚か者」 専門技術者ビザ巡ってトランプ支持者と衝突

(2024年12月30日)

ドナルド・トランプ次期大統領は火曜日、テスラ創業者のイーロン・マスクと実業家のビベック・ラマスワミが、連邦予算の削減を任務とするホワイトハウスの新局面「政府効率化省」を率いることを発表した。(ブランドン・ベル/プール via AP)

By Alex Miller – The Washington Times – Friday, December 27, 2024

 トランプ次期政権で経費削減を担当するイーロン・マスク、ビベック・ラマスワミ両氏は、ハイテク業界での外国人労働者利用を支持したことで保守派から非難を浴びている。

 両氏は、トランプ氏の非公式な政府効率化部門を率いることになるが、彼らが経営するハイテク企業が機能するためには外国から労働者を取り込むする必要があると主張し、(専門技術者を対象とする)H-1Bビザの使用を擁護した。

 シリコンバレーは、専門的な外国人労働者にビザを与えるこのビザプログラムの恩恵を受けてきた。南アフリカ生まれのマスク氏は、米国籍を取得する前にH1-Bビザを取得していた。

 次期政権入りするこの2人の億万長者の主張と、「米国を再び偉大に(MAGA)」運動の中核をなす理念とは相いれないところがある。

 保守派のコメンテーター、ローラ・ルーマー氏は、Xでこの2人を非難、その後、Xのオーナーのマスク氏が自身のアカウントを検閲したと非難した。

 ルーマー氏はXに「私は誰よりもトランプ大統領と彼のアジェンダに忠誠を誓ってきた。そのことで批判もされてきた。MAGAに集中しよう。ハイテク大手がMAGAに浸透した今、あなた方も批判されるようになる。マスク大統領が現実に見えてきた」と投稿した。

 マスク氏は、米国はエンジニアの数を倍増させる必要があり、米国の「超有能」で 「超やる気」のあるエンジニアの数は「あまりにも少なすぎる

」と主張した。マスク氏は、H-1Bビザプログラムを、「勝ち続けるために」新しい才能を導入するスポーツチームに例えた。

 マスク氏の電気自動車(EV)会社テスラは今年、このビザを700以上取得した。

 「チームを優勝させたいのであれば、トップクラスの人材をどこにいても採用する必要がある。それがチーム全体の勝利につながる」とマスク氏はXで語った。

 マスク氏と、インドから移住してきた両親を持つラマスワミ氏は、この問題でトランプ氏やその支持者と衝突している。

 マスク氏は27日、自身とラマスワミ氏に対して暴言を吐いたMAGA支持者の一群を「軽蔑すべき愚か者」と呼び、その溝をさらに広げた。

 マスク氏の発言は、漫画「ディルバート」の作者スコット・アダムス氏の主張を受けたものだ。同氏は、熟練移民労働者に反対することは「MAGAが…民主党のまねをして、選挙に負ける一方で自分たちはいい気になっている」と言うのに等しいと訴えた。

 マスク氏はこの主張を支持し、「その上、そのような軽蔑すべき愚か者は、共和党から根こそぎ排除しなければならない」と強調した。

 彼は後に、「軽蔑すべき愚か者」とは「共和党内の憎悪に満ちた、反省することのない人種差別主義者たち」のことであり、「彼らを排除しなければ、共和党は必ず没落する」と釈明した。

 トランプ氏は1期目に、H-1Bビザの賃金要件を、同じ仕事で米国の労働者に支払われる一般的な賃金よりもはるかに高く引き上げた。連邦裁判所はこの規則を阻止した。

トランプ氏はまた、H-1Bビザの対象となる「特殊職業」の定義を狭めようとした。また、2020年のH-1Bビザを一時的に停止した。

 バイデン大統領はトランプ氏が行ったH-1Bビザプログラムへの変更を撤回した。

 トランプ氏が2期目にH-1Bビザをどのように変更する可能性があるかは不明だ。トランプ氏は「オールイン・ポッドキャスト」で、米国の大学を卒業する外国生まれの学生が卒業証書とともに「自動的に」グリーンカード(永住ビザ)を取得できるようにしたいと述べた。

 トランプ-バンス政権移行チームのあるメンバーは、ワシントン・タイムズに、トランプ氏が大統領次席補佐官(政策担当)に抜擢したスティーブン・ミラー氏のXへの投稿を紹介した。ミラー氏は、2020年の独立記念日にトランプ氏が行った発言の原稿をシェアしてネットで話題を呼んだことがある。

 ラシュモア山の下で行われたこの演説では、米国文化と、電気の利用、原子力、月面着陸といった功績に焦点が当てられた。

 「米国民は、この奇跡的な物語を決して見失ってはならない。私たちは、誰も成し遂げられなかったことを成し遂げたのだから」

 それでもトランプ氏の熱烈な支持者らは、マスク氏とラマスワミ氏に対して激しく反発した。ラマスワミ氏はこの問題を、米国で「平凡を崇拝」してきた文化的問題だと呼び、ソーシャルメディアの大炎上に拍車をかけた。

 「一流のハイテク企業が『生粋の』米国人よりも外国生まれや移民1世のエンジニアを雇うことが多いのは、米国人のIQが生まれつき低いからではない(いい加減で間違った説明だ)。重要なのは要するに文化だ」

 ラマスワミ氏は「数学オリンピックのチャンピオンよりもプロム(卒業記念パーティー)の女王が、卒業生総代よりもジョック(男子スポーツ選手)がたたえられるような文化では、最高のエンジニアは生まれない」と主張。これらの発言は、元国連大使のニッキー・ヘイリー氏を含む保守派の神経を逆なでした。ヘイリー氏自身も、両親がインドから移民した1世だ。

 ヘイリー氏はXに「米国の労働者や米国の文化に悪いところは何もない。国境を見るだけで、どれだけ多くの人々が米国に来たがっているかが分かる。外国人労働者ではなく、米国人に投資し、優先順位をつけるべきだ」と投稿した。

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