中国のAI専門家、米企業・大学で訓練 米国で訓練受けたIT専門家が中国でAI開発
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2025年1月21日火曜日、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会でスピーチする中国の丁薛祥副首相。(AP Photo/Markus Schreiber)
By Bill Gertz – The Washington Times – Thursday, February 6, 2025
人工知能(AI)の研究に携わる52人の中国人科学者・当局者を対象にした調査で、16人以上がマイクロソフトなど米国のハイテク企業の元コンピューター専門家であり、約半数が米国の大学で学んでいたことが明らかになった。
ネット誌「ワイア・チャイナ」による調査で、米国の40年にわたる対中関与政策の弊害が浮き彫りになった。これは、連邦政府によって2016年に、中国が脅威とならない大国から戦略的競合相手・敵対国に格下げされるまで続いた。
専門家を雇用している中国のAI企業22社のうち8社は、中国軍との協力関係や西部の少数民族ウイグル人への弾圧に関与しているとして、米政府から制裁を受けている。
中国のAI産業は全体的に急成長しており、国家による実質的な支援によって、米国のAIモデルを追い越そうとしている。一方で米政府は、中国から輸入した先端半導体をスーパーコンピューターに使用するのを阻止しようとしている。
「(調査した中国のAI専門家の)約半数は欧米の大学院で教育を受け、16人は以前、米国や中国のマイクロソフト社で何らかの仕事をしていた。2人は米市民権を放棄している」
調査対象者の中で最も地位の高い中国共産党当局者は、習近平国家主席の側近で、7人の党政治局常務委員を務める丁雪祥氏である。丁氏は中国でのAI開発の最高指導者でもあり、技術開発を調整するために2023年に設置された中央科学技術委員会の責任者でもある。
他にも、米国の企業、研究機関とのつながりが明確な人物がいる。上海を拠点とするオープンソースモデル企業「ステップファン(階躍星辰)AI」の最高経営責任者、姜大昕氏は、マイクロソフトに16年間勤務し、バッファロー大学でコンピューターサイエンスの学位を取得している。同大学は、中国IT大手の百度(バイドゥ)とそのAI部門であるERNIEBotのチーフのロビン・リー氏も育てた。
もう一人のマイクロソフトの元コンピューターサイエンティスト、李開復氏は「01.AI(零一万物)」の最高経営責任者であり、アップルとグーグルでも働いていた。台湾出身で米国に帰化したリー氏は、カーネギーメロン大学で博士号を取得し、2011年に米国籍を放棄した。
同じくカーネギーメロン大学のコンピューター科学者である陸奇氏は、中国のAI企業を支援する「ミラクルプラス(奇績創壇)」社の創設者だ。陸氏はマイクロソフトとヤフーに勤務した後、オープンAIのトップ、サム・アルトマン氏によって同社にスカウトされた。
「センスタイム(商湯科技)」の共同設立者でAIインフラのチーフ科学者である林達華氏は、マサチューセッツ工科大学でコンピューターサイエンスの博士号を取得した。復旦大学人工知能イノベーション産業研究所の斉遠所長は、マサチューセッツ工科大学(MIT)で機械学習の博士号を取得している。
マイクロソフトで長年、ロボット工学専門家として働いていたハリー・シャム氏は現在、香港科学技術大学で働いており、カーネギーメロン大学でロボット工学の博士号を取得している。カーネギーメロン大学は、他にも2人の中国人AIリーダーを育てた。
もう一人の元マイクロソフト技術者は、ファーウェイ・テクノロジーズのAI部門、ファーウェイ・ターミナルBGのチーフサイエンティスト、田奇氏だ。
国営北京人工知能アカデミーの責任者である王忠源氏は、マイクロソフト・リサーチ・アジアとフェイスブックの研究員だった。
この調査は、企業の文書、政府声明、学術論文、メディア報道を基に行われた。
「米国はこのリストに掲載された個人に制裁を科しておらず、国営の研究機関10社のうち1社を制裁しているに過ぎない」と報告書は述べている。
この報告書は、中国のAIアプリ「ディープシーク」が、米国の数分の一のコストでAIモデルを開発したという驚くべき情報が公開されたことに続いて発表された。ディープシークのトップ、梁文峰氏は、このAIアプリに資金を提供している「ハイフライアー」というヘッジファンドも所有している。