「ゴールデン・ドーム」ミサイル防衛網構築へ-NORAD司令官

(2025年5月5日)

2023年7月26日(水)、ワシントンの国会議事堂で開かれた上院軍事委員会の公聴会で証言するグレゴリー・ギヨー空軍中将。(AP Photo/Stephanie Scarbrough)

By Mike Glenn – The Washington Times – Wednesday, April 30, 2025

 米加が共同で運用する北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)の司令官は下院軍事委員会で、トランプ大統領の「ゴールデン・ドーム」ミサイル防衛システムについて、高高度の弾道ミサイルから巡航ミサイルや無人航空機といった低空の脅威まで、すべてを撃退できる複数の防衛網が重なり合うようなものを想定していると語った。

 NORADとともに米北方軍司令部のトップを兼任するグレゴリー・ギロー空軍大将は30日、議員らを前にトランプ氏が1月27日に出した北米ミサイル防衛システム構築を指示する大統領令を実施するため、「直ちに行動を起こす」と語った。

 第1層の「ドーム」は、海底から宇宙までの領域に焦点を当てる。ギロー氏は、「国土に対するミサイルの脅威を抑止し、打ち負かすための最も重要な優先事項」だと述べた。

 第2層は、北朝鮮のような敵からのミサイル攻撃を完全に阻止できる米国の地上配備型ミッドコース防衛システムを利用する。第3層は、敵航空機、対地巡航ミサイル、無人航空機などの低高度の脅威から国土を守る。

 ギロー氏は「これら3つの層は、効果を確実にするために、弾力性があり、相互接続され、特定の脅威に対処できるように調整されなければならない。これらの防衛網とそれに関連する政策指針を整えることが、今後数年間は非常に重要になる。複雑な戦略的環境と危険にさらされている国土の現実を反映したものでなければならない」と述べた。

 戦略軍小委員会のスコット・デジャレ委員長(共和党、テネシー州)は、ミサイル防衛は重要な局面を迎えていると述べた。

 「近年、ミサイルの脅威が高まり、複雑化し、イスラエル、紅海、ウクライナの上空でミサイル防衛能力の価値が実証されたにもかかわらず、ミサイル防衛予算要求は近年、減少している」

 ギロー氏は、中国、ロシア、北朝鮮、イランという主要な敵対国のいずれかと米国が直接衝突する可能性が高まっていると主張、西側諸国が衰退しているという認識が、グローバルな舞台で米国に対抗する意欲を高め、危機にひんした際の誤算のリスクを高めていると述べた。

 「ロシアの残忍で誤ったウクライナ侵攻が4年目を迎え、戦争が米国との直接的な軍事衝突にエスカレートする可能性のある経路がいくつか残っている。同様に、ハマスが2023年10月にイスラエルを攻撃したことで発生した紛争は、中東の広範囲に拡大し、イランやその代理組織との直接的な軍事衝突に米国を巻き込む恐れがある」

 デジャレ氏によれば、昨年の国防総省予算は、2つの重要なミサイル防衛プログラム-滑空段階迎撃用誘導弾(GPI)と次世代迎撃ミサイル(NGI)-のコンペを排除し、海軍の迎撃ミサイルSM3ブロックIBの調達終了も提案した。

 「今、新政権が発足し、遅れが指摘されているミサイル防衛能力への投資と国土防衛に対する新たなビジョンが示された。敵対勢力が極超音速兵器、長距離巡航ミサイル、新型弾道ミサイル、さらには部分軌道爆撃システム(FOBS)などの新しい能力を開発・配備する中で、国土に対するミサイルの脅威は増大し、よりダイナミックになっている」

 デジャレ氏は、これらの能力は、敵対国が米国を攻撃し、有事の際に米国の指導力を脅かすことを可能にすると言う。

 「それらに対するわれわれの防衛能力は追いついていない」

 セス・モールトン下院議員(民主党、マサチューセッツ州)は、ミサイル防衛にはすでに旧式となったものがいくつもあるとしながらも、パトリオット、イージス艦防衛システム、高高度防衛ミサイル(THAAD)システムなど、戦場でその能力を発揮したいくつかの注目べき例を挙げた。また、米国は潜在的な脅威を抑止するために、核兵器と相互確証破壊の概念に依存してきたと述べた。

 「ゴールデン・ドームは、この70年間、核攻撃からわれわれを守ってきたこの政策を根底から覆すものだ。この6年間で、戦略的な情勢の基本が劇的に変化し、戦略的な防衛政策に大規模な転換が必要になったことを知るべきだ」

 モールトン氏は、米国のミサイル防衛システム整備の目的は、国民の安全を守ることにあり、ミサイル防衛を強化することで、戦略的安定性、つまり核戦争に発展しかねない核攻撃をどの国からも受けないようにする均衡を崩すのであれば、必ずしも良いとは言えないと言う。

 「だからこそ、相互確証破壊という恐ろしいコンセプトが、実は安定を促進する。核兵器を使用すれば、自国が消滅すると分かっていれば、核兵器を使用することはない」

新華社通信が公開したこの写真には、2026年7月6日(月)、南太平洋で中国の原子力潜水艦から発射された長距離弾道ミサイルが海面から飛び出す様子が写っている。(李向超/新華社通信提供、AP通信経由)

米、中国のSLBM発射実験を「事前通報が不十分」と非難

(2026年07月13日)
2024年8月4日、ウクライナ国内の非公開の場所に設置されたパトリオット防空ミサイルシステムの上空を、ウクライナ空軍のF-16戦闘機が飛行している。(AP通信/エフレム・ルカツキー撮影、資料写真)

トランプ氏、ウクライナが「パトリオット」製造 専門家は生産開始に数年

(2026年07月12日)
ウクライナの無人システム部隊K-2旅団の兵士が、2026年6月22日(月)、ウクライナのドネツク州前線で、ロシア軍陣地に向けて飛行する前に、中距離ドローンを離陸地点で運んでいる。(AP通信/エフゲニー・マロレトカ)

ウクライナ防衛産業、実戦経験生かし欧州との連携を深化

(2026年07月10日)
改造された輸送コンテナ内にサーバーラックと冷却ユニットを統合したポータブルデータセンターソリューション。すぐに展開可能。写真提供:Snide12(Shutterstock経由)

最前線で軍用移動式データセンターが活躍 イランの攻撃で開発加速

(2026年07月09日)
CCSの小型・移動式バージョンであるMeadowlandsシステムは、地上無線周波数ユニットを使用して衛星通信を妨害します。(L3Harris提供)

宇宙軍、新電子戦システムを配備 敵国の衛星通信を妨害

(2026年07月08日)
MQ-9 リーパー。著者:アメリカ空軍上級空軍兵ヘイリー・スティーブンス。(出典:DVIDS 2019)

中東で大型無人機リーパー3分の1喪失 補充巡り論争

(2026年06月16日)

特殊部隊トップがデジタル痕跡の危険性巡り警鐘 軍部隊の位置特定も

(2026年05月31日)

特殊部隊への「飽くなき需要」 任務に見合わない予算

(2026年05月22日)
2021年9月12日(日)、カリフォルニア州ヴァンデンバーグ宇宙軍基地から地上配備型迎撃ミサイルが発射された。(AP通信/マット・ハートマン)

宇宙に迎撃ミサイル配備 米軍が計画初公表

(2026年04月28日)
エネルギーを大量に消費するデータセンターは、米国経済の基盤となりつつあり、信頼性の高い電力供給と効率的なインフラ整備が、国際競争力にとって極めて重要となっている。(写真:マット・ガッシュ Shutterstock.com)

宇宙にデータセンター? AI活用拡大で現実味

(2026年04月27日)
→その他のニュース