中国、台湾攻撃を想定した軍事演習を急拡大 米司令官が警告

2025年3月10日月曜日、イラン軍が発表した写真。イラン、中国との合同海軍演習のため、イラン領海に入ったロシア海軍の艦船。(Mohammad Mehdi Dara, Iranian Army via AP)。
By Bill Gertz – The Washington Times – Updated: 11:48 p.m. on Monday,May 5, 2025
米インド太平洋軍の司令官は、中国軍は台湾に対する軍事攻撃の準備をエスカレートさせていると強調、これを「急速な沸騰」と呼んだ。
サミュエル・パパロ司令官は公の場で、1年前にこの最大の軍隊を引き継ぐ前に、前任者から中国との衝突が自分の在任中に起こる可能性があると警告されていたと語った。
パパロ氏は2日のマケイン研究所主催の会議で人民解放軍(PLA)の作戦について、「ゆでガエルの話は知っていると思う。ゆっくりと加熱するとカエルは気づかずそのまま死んでしまうというたとえ話だ。だが現状は、急速に沸騰に近づいており、われわれもそれに気づいている」と語った。
PLAは2021年に台湾近海で1個旅団による演習を行い、2022年には6個旅団による演習、2024年には42個旅団による演習を行った。
2024年の演習では、PLA海軍の水陸両用艦隊の3分の2が参加し、数百台の突撃戦闘車両が水上で障壁や障害物を突破する練習を行い、その後、陸上で部隊を動かして都市での攻撃をシミュレートした。
米軍幹部によれば、この軍事作戦は、将来の台湾攻撃に向けた訓練と予行演習が着実に拡大されていることを意味するという。
中国軍はまた、台湾周辺で軍事封鎖区域の設定をシミュレートするような「圧力作戦」を頻繁に実施している。
パパロ氏は「これらは封鎖のための部分的な予行演習であり、今後は全体に及ぶ予行演習を目にするようになる。1から6、42へと段階的に環境は変化している」と語った。
「演習は深く、広く急速に拡大し、昨年私が目の当たりにしたようにその変化は連続的ではない。それは夜も眠れなくなるほどだ」
中国と米国の敵対国であるロシアと北朝鮮との結びつきが強まり、連携が強まっていることも気がかりだ。パパロ氏は、「この1年で、そのすべてが手に取るように分かるようになった」と語った。
中国による軍事リハーサルは、パパロ氏が昨年初めて指摘したもので、中国沿岸に近い台湾のような小さな島の奪取から、島が必要な資源を受け取れないようにする封鎖リハーサルのような大規模な作戦まで多岐にわたる。
軍事封鎖の中国の目的は、特定の物資の動きを妨害し、台北に譲歩を迫ることにある。
最後は、幅100マイル(160キロ)の台湾海峡を越える大規模な侵攻作戦のリハーサルで、「非常に説得力のあるモデル」として説明されている。
パパロ氏は、「(このリハーサルは)軍事作戦の全範囲を網羅し、彼らが望むであろうあらゆる選択肢に対処できる」と指摘、「これは本格的なリハーサルだ」と述べた。
中国の習近平国家主席が、2027年までに台湾に対する軍事行動の準備を整えるようPLAに命じていることについての質問にパパロ氏は、「その時までに実行する」ということではなく、その時点までに行動の準備を整えておくという命令との見方を示した。
中国は2005年、台湾が正式に独立を宣言したり、大陸の支配からさらに遠ざかったりした場合に併合を試みるために使用できる「反譲歩法」を可決し、軍事的支配の舞台を整えている。
PLAの攻撃の準備についてパパロ氏は、「侵攻やある種の強制的な行動に影響を与える可能性のある条件がいくつかあり、それが整えば完全に攻撃の準備が整ったと考えるはずだ」と述べた。
中国がこの地域で好戦的な姿勢を強めていることを示す他の兆候として、オーストラリアとニュージーランド周辺での最近の海軍によるパトロールや実弾演習がある。
PLAの艦艇がオーストラリア周辺を航行するのは、軍が「足を伸ばしている」ということだ。
パパロ氏は「少しずつ世界的な勢力になりつつある」と指摘した。
中国はまた、汚職官僚の粛清、金融危機や不動産危機といった深刻な経済問題、社会への不満、無力感から「寝そべり族」となる若者など、深刻な内部問題にも直面しているという。
与党の中国共産党は人口減少にも苦しんでいる。
米中間のパワーバランスについては、潜水艦戦、対宇宙戦、中国軍を「地表からカルマンライン」(地上62マイル上空)まで攻撃できる能力など、米国の軍事的優位性に基づいて、戦争になれば米国が「勝つ」と確信していると述べた。
しかし、対PLA戦力の趨勢は「悪い軌跡」を描いている。
中国が年間2隻の潜水艦を生産しているのに対し、米国は1.4隻、艦艇となると中国の6隻に対して米国は1.8隻だ。戦闘機では中国が年間120機生産しているのに対し、米国は約90機だ。
米国民が戦争に踏み切る準備ができているかどうかという質問に対し、パパロ氏は、自分の立場は大統領に軍事的選択肢を与えることであり、そんなことはどうでもよいと答えた。
「米国が戦争に踏み切るかどうかは、最高司令官次第だ」
また、歴史上、世界の多くの人々が、米国は戦争をする準備ができていないと誤解してきたと述べ、真珠湾攻撃と第2次世界大戦に続いて、朝鮮戦争、ベトナム戦争、ペルシャ湾戦争を戦ったと指摘した。
「つまり、米国は大きな脅威を感じると、一つになり、真剣に向き合う。そんな国ということだ」
パパロ氏は、北朝鮮の金正恩政権が、韓国とつながる道路を爆破したり、両国の軍事境界線の内側に壁を作ったりするなど、厄介な兆候を見ていると述べた。
「北朝鮮が同胞の韓国での暮らしぶりを知れば、面倒なことになりかねないという懸念は大きいと思う」
北朝鮮とロシアとの結びつきは、結果として北朝鮮の軍事力を高めることになる。
「北は危険で予測不可能な潜在的敵対国だ」とパパロ氏は述べた。