中国人ネットワークが米国で46兆円を「洗浄」-財務省

2018年9月16日、北京で、三輪車の上に中国国旗とともに飾られたアメリカ国旗。(AP Photo/Andy Wong, File)
By Bill Gertz – The Washington Times – Thursday, August 28, 2025
中国人ネットワークが米国で大規模なマネーロンダリング(資金洗浄)に関与し、過去5年間で3120億ドル(46兆円)もの不正な資金を動かしていた疑いがあることが、28日に財務省によって明らかにされた。
財務省の金融犯罪取締ネットワーク局(FinCen)は、22ページに及ぶ報告書の中で、中国人ネットワークが、麻薬カルテルなどの犯罪組織の資金洗浄のために、中国人留学生や中国に関連した不動産取引を利用していると指摘した。
中国人による人身売買も、米国内のマネーロンダリングに利用されているという。
これらのマネーロンダリングは、1970年に制定された銀行秘密法に基づき財務省が入手した記録から明らかになった。
報告書によると、中国のマネーロンダリングは、中国の共産主義体制の支援を受けている。中国では、ドルの国外への持ち出しは5万ドルに制限されている。
中国のネットワークは、「(中華人民共和国が関与する)金融・貿易市場のグローバル化を利用し、世界的な商取引を通じて多額の不正資金を洗浄できるようなビジネスを世界中で立ち上げ、運営している」と報告書は述べている。
このネットワークにより、犯罪組織は中国の資本逃避規制を迂回し、複数の手法を駆使して不正資金の洗浄を行うことができる。
また、メキシコの麻薬密売ネットワークからの大量の現金が、中国のネットワークによって洗浄され、メキシコの犯罪グループに還元されている。
「過去5年間で、FinCenは、(中国のネットワークが)コントロールする複雑なマネーロンダリングのスキームが増加していることを確認した。このスキームは、現金収益の両替を繰り返すことによって、詐欺、人身売買と密輸、マリフアナ栽培施設の運営、脱税など、さまざまな違法行為に関与する他の無関係な犯罪ネットワークからの不正収益も洗浄している」と報告書は述べている。
中国のマネーロンダリング業者が犯罪組織に好まれるのは、手数料が安く、世界中で利用でき、米国の金融システムにアクセスできるからだと報告書は述べている。
中国のマネーロンダリングは、在米中国人を利用して行われるのが最も一般的で、この方法で2020年以降、マネーロンダリングの疑いのある銀行預金に330億ドル以上が預け入れられたことが分かっている。
「資金源が特定されていない、あるいはその職業から予想される収入と一致しない多額の現金預金は、疑わしいと考えられ、マネーロンダリングなどの違法行為を示す可能性がある」と報告書は述べている。
「(金融機関などの)報告者はまた、大口で不審な現金預け入れがあり、この現金が不動産関連の取引に使う銀行発行のキャッシャーズチェック(銀行小切手)の購入に使われていたことを明らかにしている。こうした取引はマネーロンダリングのスキームと結び付いていることがよくあり、中国系マネーロンダリングネットワーク(CMLN)が関与しているケースもある」
預け入れられた資金がすぐに中国の人物が管理する銀行口座へ送金されていたことから、違法行為への疑いが生じている。
中国のネットワークはまた、537億ドル以上を洗浄するために不動産購入を利用していた。
銀行の報告書によると、中国人が多額の現金を入金し、その出所を隠すために第三者宛ての小切手を購入したことが確認されており、多くの場合、親族を利用していたという。
不正な不動産スキームでは、建設会社やリフォーム会社、不動産仲介業者、不動産管理会社を通じて資金洗浄が行われていた。
マネーロンダリングに中国人留学生が利用されていることについて、報告書は約138億ドルが疑わしい活動として報告されたとしている。
「中国人留学生が、米国を拠点とする(CMLN)によって、金の運び屋としてリクルートされ、利用されている可能性がある。CMLNは、数多くの銀行口座を使用、管理して、頻繁に現金の預け入れを行い、違法な方法で手に入れた資金を米国の金融機関に入れる必要がある」
「米国を拠点とする中国人留学生が、自分の口座をCMLNに『貸して』いる可能性がある。その場合は通常、報酬が支払われる。その報酬はCMLNが学生の口座を通じて取引した金額に応じて変動する」
トランプ大統領が、60万人の中国人留学生を米国の大学で学ばせたいと発表し、国家安全保障の専門家から抗議の声が上がる中、中国人留学生が違法行為に利用されていることが明らかになった。
貿易を利用したマネーロンダリングは、中国人やメキシコの麻薬カルテルも利用している。
その例として報告書は、中国人のバイヤーが中国に輸出するために米国の携帯電話を購入し、その利益の一部がシナロアとハリスコの「新世代カルテル」に送金されていると指摘している。
人身売買に関しては、中国のマネーロンダリンググループが、約42億ドルもの人身売買にかかわっていたことが分かっている。
また、7億7600万ドルがニューヨークの83の成人・高齢者デイケアセンターで洗浄されていた。