露骨に軍事力誇示する中国「韜光養晦は過去のもの」―報告

2025年9月3日(水)、北京の天安門前で、日本の第二次世界大戦降伏80周年を記念する軍事パレードに先立ち、中国の習近平国家主席が閲兵を行う。(AP通信/アンディ・ウォン撮影)
By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, October 8, 2025
中国共産党と人民解放軍(PLA)は9月、40年にわたる「韜光養晦」戦略―軍事力、経済力を高めつつ低姿勢を保つ方針―から大きく転換したと、米空軍シンクタンクの報告書が伝えた。
中国の最高指導者、習近平国家主席は、新型兵器と軍事力を披露する大規模な軍事パレードを実施し、共産主義体制が米国に取って代わり、新たな世界秩序のリーダーになったと宣言した。
中国航空宇宙研究所(CASI)は報告書で「9月3日の北京での戦勝記念日のパレードは、軍事力を誇示するためのもので、数十年にわたる軍近代化の成果を示すことを目指したものだった」と指摘した。
「中国は、世界のリーダーとして自国をアピールし、米国主導の国際システムに代わる新たなビジョンを提供することを目指した。航空宇宙部隊が長安街を行進し、北京上空を飛行した。PLAが米軍を打ち負かす能力を持つ一流の航空宇宙大国であることを示すメッセージを伝える意図があった」
報告書は、このパレードが、有人・無人システムを駆使し、海上・空中・地上・宇宙・サイバー空間の全領域で攻撃可能な兵器を装備した新たな世界的な軍隊としてのPLAの台頭を示したと指摘した。
習氏はまた、第2次世界大戦終結を記念するこのパレードで演説し、「人類が再び平和か戦争かの選択に直面」していると主張、戦争を根絶するための新たな秩序が必要だと強調した。
演壇でロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩総書記の間に立った習氏は、西側は衰退し、米国の威圧に屈しない共産主義中国が主導するアジアが台頭していると宣言した。
パレードでは、中国の核戦力の三本柱である地上発射ミサイル、海上・海中発射ミサイル、戦略爆撃機のすべてが披露され、新型の無人兵器や対ドローン戦システムもパレードの主要部分で公開された。
報告書は「中国の戦勝記念パレードは、米国主導の国際秩序の中で米国に代わりうる国として自国をアピールするとともに、軍近代化の目標を断固とした姿勢で追求する姿勢を示す機会となった」と指摘した。
中国はまた、発展途上国にとっての模範的国家として自国を積極的に売り込み、米国の同盟国、パートナー国を取り込むことを目指していると報告書は指摘した。
「可能な限りこうした動きに対抗することが不可欠だ。軍事パレード自体は軍がどれだけ効率よく活動でき、どれだけ優れた能力を持っているかを示すものではないが、訓練のペースの加速、訓練内容の向上、人材獲得の改善という文脈で捉えれば、PLAが情報化された戦争、知能化された戦争を遂行できる軍隊へと着実に進化していることは明らかだ」
9ページの報告書のタイトルは「韜光養晦の時代は終わった―軍事パレードが意図したのは、中国が米国を抑止し、打ち負かせる世界のリーダーであるというメッセージの発信」。
「韜光養晦」とは、目立つことなく軍事的、経済的な力を強めることを指し、中国共産党は、悲惨な文化大革命が1976年に終わった後、何十年にもわたってこれを戦略としてきた。
これは当時の中国共産党指導者、鄧小平が打ち出したイデオロギー引き締め政策に基づくもので、鄧は中国の近代化を目立たせるべきでないと主張していた。その後継者である江沢民は権力を掌握する過程で、この政策を「韜光養晦」と表現した。
報告書は、エリ・ターク、ケビン・ポルペーター両氏が執筆した。ターク氏はSOSi情報・研究・分析センターの中国専門家であり、ポルペーター氏はCNA分析・ソリューションズの中国専門家だ。
中国専門家の元国防情報局(DIA)職員フランク・ミラー氏は、この軍事パレードは「中国が台頭し米国が衰退している」という中国共産党の主張を強調することを狙ったものだと述べた。
「中国は強大化しており、鄧小平時代の『韜光養晦』は過去のものだ。彼らはことあるごとに、われわれの面前でその強さを誇示してきた。今回の軍事パレードはその好例だ」