米国防長官、中国視野に海洋監視プログラム創設をASEANに呼びかけ

(2025年11月4日)

2025年11月1日(土)、マレーシアのクアラルンプールで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)国防相会議の一環として、ピート・ヘグセス米国防長官がASEAN・米国国防相ハイティーに出席。(AP通信経由、ハスヌール・フセイン撮影)

By Bill Gertz – The Washington Times – Saturday, November 1, 2025

 【クアラルンプール(マレーシア)】ピート・ヘグセス国防長官は1日、東南アジア諸国の国防相らに対し、南シナ海で強まる中国の「侵略と威圧」を把握し、これに対応するための新たな海洋認識プログラムへの参加を呼び掛けた。

 米国が主催した東南アジア諸国連合(ASEAN)国防相会議でヘグセス氏は、5月に初めて、南シナ海での中国の挑発的な行動を警鐘と捉えるべきだと警告した。ヘグセス氏は、中国の活動として「南シナ海全域の領海内で発生している威嚇、嫌がらせ、違法行為」などを挙げた。

 「あれから数カ月、残念ながら、中国の不安定化をもたらす行動はますます激化している。あなた方も見たはずだ。世界も見ている。それはビデオテープにも記録されている。ここに、その行動の被害を直接受けた人もいる。船への体当たり、放水、根拠のない不法侵入の主張、自国の領海ではない海域に対する違法な管轄権の主張などだ」

 その他の攻撃的な活動としては、この地域での他国の平和的な軍事行動を制限しようとする試みなどが挙げられる。

 ヘグセス氏は前日、ASEAN国防相会議で中国の董軍国防相と初めて直接会談していた。

 会談では、台湾の問題、さらに台湾周辺で中国が行っている大規模軍事演習について率直な意見交換が行われた。米国は法律で、武器売却によって台湾を支援することを約束しており、また、台湾周辺での軍事演習について米軍幹部らは侵攻の予行演習とみている。

 この発言は、ASEAN11カ国の国防相による「ハイティー」と呼ばれる非公式会合で行われた。ヘグセス氏は、ASEAN各国の首脳に対し、南シナ海での共通の海洋情報認識プログラムの構築に取り組み、「活動状況の共有」を呼びかけた。

 この情報認識プログラムにより、ASEAN首脳は中国の侵略行為を識別し、それに対応するための能力を強化することが可能になる。

 「南シナ海などの海域での共通の海洋領域認識の構築と活動状況の共有に取り組むことを提案する。ある国に対する脅威がすべての人に知られるようになれば、侵略や挑発を受けた国が孤立しないようにする上で大きく貢献する」

 この取り組みでは、先進的なドローン技術、すなわち無人航空機、自律型水上・水中艇も活用される。これらの航空機や船が、従来の艦艇や航空機に取って代わることもありうる。

 ヘグセス氏は、ドローン兵器は低コストで、軍隊へのリスクも低く、軍事的に大きな効果をもたらすと述べた。

 「海上領域での認識向上を可能にする無人システムの運用コンセプトを共同で開発し、実戦投入することを提案する」

 「われわれが持つツールとスキルを融合させれば、より強力になる」

 ASEANは12月、米軍の海上演習に参加し、相互運用性を高め、「すべての国家の主権的権利」である航行の自由の作戦を実践する。

 ヘグセス氏によると、中国海軍は特にフィリピン海軍の艦艇を標的に嫌がらせを行っている。その威圧的な行動は、放水、衝突、ごく一部のケースでは、乗船中のフィリピン人船員の目を損傷させるレーザーの使用にまで及んでいる。

 ヘグセス氏はまた、中国が南沙諸島の紛争地域であるスカボロー礁を自然保護区と宣言したことについても言及した。

 「自然保護区に(武器の)プラットフォームを設置することなどありえない」と主張、宣言は「新たな領土主張を、他国の犠牲のもとに強要しようとする新たな試み」と非難した。

 ヘグセス氏はさらに、中国による海上での挑発的な行動は、地域諸国に対する敬意の欠如を示しており、「領土主権への挑戦であり脅威だ」と訴えた。

 その上で「南シナ海での中国の広範な領土・海洋権益の主張は、平和的解決への約束に真っ向から反する」と強調した。

 1日早朝、ヘグセス氏は、フィリピンのギルバート・テオドロ国防相とともに、南シナ海での中国の威圧的行為を阻止することを目的としたタスクフォースの設置を発表した。

 ヘグセス氏は「きょうここで、フィリピン・タスクフォースの設立を発表する。これは、両国の協力関係における新たな一歩となる。相互運用性の向上、演習、不測の事態への備えを通じて、危機や侵略に断固として対応し、南シナ海での抑止力を再構築していく」と述べた。

 米軍が南シナ海で、高機動ロケット砲システムHIMARS(ハイマース)によるミサイル発射など、武力示威の準備を進めているという報道について質問されたヘグセス氏は、インド太平洋軍司令官のサム・パパロ大将と緊密に連携し、「必要な時に必要な場所で、必要な能力を確保する」と述べた。

 「しかし、この具体的な報道は現状と一致しない。われわれは常にあらゆる事態に備え、起こりうる可能性と起こらない可能性の両方に備え、強固な態勢を保ちつつパートナーのフィリピンと連携している」

 「われわれはこの地域で多くの選択肢と能力を有しているが、最終的に具体的に何を実行するかは明らかにしない」

 トランプ大統領と中国の習近平国家主席による韓国での最近の首脳会談、ヘグセス氏と董国防相との会談は、中国人民解放軍との対話であり、歓迎すべきことだ。

 こういった対話にもかかわらず、米国は中国の行動を非常に注意深く監視している。

 「われわれは平和を求め、紛争を望んではいない。しかし中国がASEAN加盟国を含むいかなる国も支配しようとしていないことを確認しなければならない。南シナ海行動規範の策定に向けた取り組みを継続するよう強く促す。行動で裏付けられない規範は空虚な言葉に過ぎないことを肝に銘じてほしい」とヘグセス氏は述べた。

 ASEANは来年、合同軍事演習を実施する。中国による侵略に対応できる共同能力を開発するために、米国軍と協力する必要がある。

 ヘグセス氏は、米軍との協力には、中国の海洋活動の監視や、「主権を脅かす行動に迅速に対応できる手段」の開発も含まれると述べた。

 また、国防相らの見解を聞くことを楽しみにしていると述べ、トランプ氏の「米国第一」政策は、米国だけが主役になることを意味するものではないと指摘した。

 「われわれは、力による平和に力で貢献する」

 「協力し、共同訓練を行い、共同作戦を行えば、いっそう安定が得られる」

 ASEAN加盟11カ国の国防相がこの会合に参加した。ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、そして新たに加盟した東ティモールだ。

 非加盟国を迎えた3日間の「ASEANプラス」会合を通じてヘグセス氏は、マレーシア、インド、インドネシア、フィリピン、タイ、カンボジア、日本の国防相をはじめとする主要同盟国と会談を行った。

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